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2010年6月

2010年6月30日 (水)

asahi.com顔面蒼白?なんだサッカーかよ。失業率増加とG20バーゼルⅢの先送り。非常に鬱陶しい梅雨のような話と、他ブログからパーッと晴れ渡るような話。

 非常に鬱陶しい天気に加えasahi.comが真っ青になっていたので何事か?と思ったらサッカーかよ。民主党の広告が新聞社のHPで散見されるのと同じように非常にうっとーしー。別に日ごろの憂さを晴らすお祭り騒ぎに水を差すつもりはないが、(昨日はおもっきし水を差したが)ちょっと度が過ぎてはいないか?

 

5月の失業率5・2%で連続悪化

2010629()99分配信 共同通信

以下引用

 「総務省が29日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0・1ポイント上昇の5・2%で、3カ月連続で悪化した。厚生労働省が同日発表した求職者1人に対する求人数を示す5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0・02ポイント上昇の0・50倍で、2カ月ぶりに改善した。男女別の失業率は、男性が5・5%、女性が4・7%で、いずれも前月と同じだった。完全失業者数は前年同月と同じ347万人。」

引用終わり

政府は確かGDP成長率 2・6%に上方修正したはずだ。放っておけば法人税の税収が見込めるはずなのに消費税増税、法人税減税。そして失業率は連続悪化、株主総会での高額役員報酬の相次ぐ発表。民主党の消費税増税の選挙目当てのトーンダウン。国民を舐めきっているのか、へたれなのか、まあ両方だろう。本当に迫力が無い。自らの政策に対しての信念が感じられないふらふら菅なのだが、これも官僚にいいようにやられている証拠だろう。民主党の力が削がれても、増しても、すでに閣僚を手玉に取った官僚どもには関係ない。腹を抱えて笑っているだろう。

ここで、非常にうっとーしー話を一つ。

先のG20で新新BIS規制(バーゼルⅢ)が2012年まで先延ばしになった。

金融安定理事会、新銀行自己資本規制の移行期間延長を支持

引用開始

[トロント 27日 ロイター] 「金融安定理事会(FSB)は27日、20カ国・地域(G20)首脳が新たな銀行自己資本規制(バーゼルIII)導入までの移行期間を延ばす方針で一致したことについて、規制案を緩めることを回避できるとの見方を示した。

 G20首脳は昨年末、金融危機の教訓から2012年末までに新たな銀行規制を導入することで合意したが、当地で開催中の首脳会議(サミット)では27日、2012年をバーゼルIII導入の完了ではなく開始時期とすべきとし、移行期間を延ばす方針で一致した。」引用終わり

先延ばしになったのは、少しは喜ばしいのだが。2015年は新国際会計基準導入のリミットになっている。

日本のバブル崩壊後BIS規制が導入され銀行の貸し渋り、貸し剥がしに拍車がかかった。2002年の国際会計基準導入に向け、雇用規制の破壊が進んだ。そしてこの時期の半ばに消費税増税と法人税減税が橋本政権下で行われ日本の景気はドスンと落ち込み、財政規律は霧散し自殺者は毎年3万人を超えることになった。

バーゼルⅢは先送りになったが、新BIS規制(バーゼルⅡ)は2006年末より導入されている。そして、消費税増税、法人税減税、新国際会計基準の導入と90年代の悪夢を再現するようなパターンが現出している。

98年頃から始まった過酷なリストラの時期に脚光を浴びた社員は総務、人事畑の事務屋いわゆる営業や企画で使い物にならない社員。それまでは何といっても売り上げを上げる営業職、もしくはヒット商品をたたき出す企画職が花形だった。共感能力が低く顧客のニーズも拾えない、柔軟さや華やかさにも欠ける事務屋がなぜこの頃から脚光を浴びたのか。その低い共感能力をフルに発揮して、ばっさばっさと退職強要を敢行し首を切りまくったからだ。その頃の中高年を一人切れば給与と雇用保険、健康保険、厚生年金の掛け金も含め一人純利ベースで1千万はカットできた。5人も切れば5千万円。これだけの金額を純利ベースでたたき出すのはトップセールスマンでも無理だ。しかも手間要らず。首を切られた社員のやっていた仕事は残った社員の労働強化で穴埋めし、丸々儲けとなりさらに将来の数千万の~一億の固定費もカットできるのだから会社としては万々歳だ。あれから10年以上。順調に首切り実績を積んだ中堅社員はすでに幹部社員となっているだろう。もしも、あなたの会社の社長が総務、人事、財務畑の人間だったら要注意だ。さらに過酷なリストラが待ち受けているかも知れない。

いや、もうすでに起こっているかもしれない。JALや大手デパートなどの割り増し退職金をたっぷりもらえる早期退職者ばかりが注目されるが、そこで働いていた、派遣や非正規雇用者はどうなった。目立たない会社での正社員のリストラはどうなっている。じりじりと上がる失業率にとても嫌な予感がするのだ。我が身も含めて。

うっとーしー話はこれくらいにして明るい話題をいくつか。

大相撲の賭博事件が賑やかだ。日本を揺るがす大事件だそうだ。どこがだ?たかが、銭目当てのプロスポーツ選手の不祥事だろう。周りで銭を吸い取る有象無象と国民の視線をあっちに向けたいマスコミにとっては大事件かも知れないがこっちには何の関係も無い。  

それよりも警察は絡んでないのか。力士暴行死事件では警察幹部と親方衆の仲良しぶりが露見したはずだ。暴力団関係なら当然警察にも情報が入っていたはずだ。雑誌ですっぱ抜かれて慌てて自らの癒着関係を隠蔽したのではないか。学校の授業に武道として相撲をねじ込んだ文部省はどうなのだ。警察も、文部官僚も正義の味方面しているが実際はどうなのだ?

あくまでも公権力に関心のある僕としてはそんな疑問がちょっこし有ったが、この疑問に関連するブログを見つけたので報告する。

永田町異聞」さんの「相撲協会が元東京高検検事長を必要とする理由」と「毒蛇山荘日記」さんの「相撲協会も「元検事」の支配下に…。」どちらも検察官僚の胡散臭さに言及しており、なるほどと思った。警察の上の親分が乗り出して、自らの悪は隠蔽しつつ、裏社会の親分と手打ちをするという構図らしい。文科省の胡散臭さも是非槍玉に挙げて欲しい。

さんざん疲弊耐菅僚内閣とぼろくそにけなし、消費税増税、法人税減税に批判を加えてきたが、それらをまとめて一刀両断、すっきりとまとめてある記事を見つけたのでこれも報告しておこう。

THE JOURNAL二見伸明:なぜ、消費税増税? ── 「官」が「菅」を支配する

以下一部抜粋

「「国債と税金の違いは、国が国民に「○○円、お借りしました」という借用証書が国債で、国(=官僚)が、国民から有無を言わせず取り立てるのが税金である。消費税を増税して「国の借金を返す」だの「増税した分で経済を活性化する」など、「バカも休み休み言え」と言いたい。「官僚」は、エリート中のエリートだと自負し、政党や政治家を見下す、万能で、超然たる存在だと思い込んでいる。そして、マスコミは「国民も成熟して、消費税についての理解が深まった」と報道し、批判派に「時流を知らない馬鹿者」と烙印を押して、「官僚」にゴマをすっている。「官僚ファシズム」の完成である。」

「経済が委縮し続けているデフレのど真ん中で、消費税の増税は絶対にしてはいけない禁じ手である。消費は抑えられ、経済は縮小し、非正規社員、失業者が増え、貧富の格差は拡大する。地方の疲弊は計り知れないものになるだろう。また、赤字穴埋めのための増税が赤字拡大の悪循環を生じかねないのだ。1930年代の金解禁デフレを教訓にすべきだ。」

以上抜粋終わり

 さすがにプロはすごい。僕が言いたかったことをほとんど網羅して、まさしく一刀両断だ。これぞジャーナリズム。

 もう一つ、「すくらむ」さん「法人税減税は究極のバラマキ -大企業の国際競争力強化が経済・財政悪化と貧困化の悪循環生む

 このブログもすごくためになった。付け焼刃でも日本の財政を調べて、同じような内容がもっと洗練された形で出ているのを読むのは本当に気持ちが良い。このブログには何回にも分けて重要な情報が記されているようなので、勉強させていただきたい。

最後に、「裏切られた?革命」のexod-USさんより始めてトラックバックを頂いたのだが、このブログからダウンロードできる「静かなる革命パンフレット【第一弾】税制を変えれば政治が変わる:一般取引税を導入して夢のジパングへ」というのがすごい。これが実現できれば政府の資金調達はばっちりだ。ベーシックインカムによる資金配分、そして雇用規制の修復。これらが実現できれば日本は本当にパラダイスのような国になるのではないか。鬱陶しい梅雨空がパーット晴れ渡るような爽快感を覚えた。又、「えらぼーとで遊ぼう2010年参院選:推薦候補者リスト選挙区編」は大変分かりやすい。「ラターシュに魅せられて」さんのリスト「反戦ないえづくり」さんのアンケート結果と共に、民主党への思い入れの強い方々は是非ご参照あれ。

2010年6月29日 (火)

消費税増税、法人税減税は少数者の生存権の問題だ。

フランスで新自由主義に親和的な政権が、新規雇用の若者を好き勝手に解雇できる初期雇用計画(CPE)を導入しようとしたとき、フランス全土で若者のみならず老若男女が立ち上がりデモ、ストライキによってこれを撤回させた。誰も若者を見捨てようとはしなかった。自らが選択した政権でも、若者の雇用を破壊する公権力の行使には断固として反対する。なぜか。憲法の理念がその連帯と団結の結節点、共通言語だからだ。(フランス ジュネスの反乱―主張し行動する若者たち 参照)

北欧諸国でも右派政権は誕生する。しかし、その強固とした福祉政策は崩壊しない。なぜか。国民に対しての憲法理念、民主主義、そしてその観点からの歴史教育が徹底しているからだ。それぞれの国民が自ら憲法を解釈し、日常会話において、その観点での政治に対する議論が当たり前となっているからだ。

デンマークでは国民の国王に対する敬愛の念は深い。自分自身の誕生日、結婚記念日には国旗を掲揚する。集会では必ず国家が歌われる。徴兵制もある。外形上は、まさに右翼垂涎の国家だ。

デンマーク国王は第二次世界大戦前に自ら立憲主義の導入に尽力した。ナチス侵攻の際には国王自らがレジスタンス闘争を国民に呼びかけた。

デンマークの国民は憲法の理念を共有している。そしてその理念に基づき打ち立てた自らの国家に、その民主主義の真髄に強い誇りを抱いている。自らの国を自らの意思で守る。その礎を築いた自らの国王に対して深い尊敬の念を持っている。(なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか 参照)

そのような国民に応援されるサッカーチーム。たとえそのチームが負けたとしてもデンマーク国民の愛国心、自らの国家に対する自信と誇りは微動だにしない。かたや、立憲主義を教わることも無く、国民の連帯が自己責任論でずたずたにされたわが国の偽りの愛国心など、ワールドカップが終わればあっという間に商業主義のかなたの泡沫として消えてゆく。残るのは少数者に対する、弱者に対する差別と迫害、公権力に分断され破壊しつくされた連帯の残瑳である。

人権、反差別、護憲を掲げる市民運動なるものこそが、市民の分断を促進する。なぜか。何よりも公権力に対峙するという意識が希薄だからだ。公権力に対峙するために連帯を紡ぎだすという理念が上滑りだからだ。公権力に対峙するよりも差別意識や反人権意識を持った一般私人を敵と見なし攻撃するほうが容易いからだ。鼻持ちなら無い優越感を味わえるからだ。

「憲法9条を護りましょー」とゆるい集会やデモで気勢を上げて、憲法の条文変更を拒絶しても、憲法は国民精神の血肉とはならない。

幸か不幸か、すでに時代は余裕のある高齢者、60年安保闘争世代、70年代全共闘世代の趣味でやってる市民運動ごときでは、救うことのできないぎりぎりの局面に至っている。    

まさに命を救うか、見殺しにするのか、その観点での憲法25条と9条の僕ら独自の解釈が求められている。現に死んでゆく国民を見殺しにしても高額な兵器に金を注ぎ込み、米軍の他国侵略のための兵站機能を担い続けるべきなのか。生命、身体、財産という基本的な権利を侵害され続け基地負担を押し付けられる沖縄県民を見殺しにするのか。

裁判官は言う。生存権の保障は行政裁量にゆだねるべきだと。国に金が無ければある程度の国民が見殺しにされても止むを得ないと。憲法学者は裁判官の判決を基にプログラム規定説がどうのこうのとへ理屈を書き散らす。

 憲法の解釈は学者にお任せすべきものではない。まして、公権力を担う法務省官僚や裁判官の専権事項などでは、断じて無い。僕らは日々接する日常から独自の憲法解釈を、僕ら自身の解釈を持つべきなのだ。そして、金持ちも貧乏人も中間層も憲法を共通言語として、公権力のあり方を監視、批判すべきなのだ。メディアが公権力の監視、批判をちゃんとやってるのかという観点でメディアの価値を、視聴、購読する価値があるかを判断すべきなのだ。

正当な選挙で選ばれた国民の代表が多数決で法案、予算案、の審議議決、条約案の承認を行うのが日本の民主主義だ。しかし、どんなに多数者が肯定していても、それで少数者の生存権が脅かされて良いということにはならない。なぜか。たとえ多数意見であってもこれをやっちゃあお終いよという根本規範が有るからだ。底支えがあるからだ。それが公権力の行使を制限する根本規範、主権者による公権力への命令書、立憲主義に基づく憲法だ。

だから、憲法は少数者の最後の砦である。

それでは、少数者は、文句があるときは憲法訴訟で闘うしか術が無いのか。これも否である。憲法は全ての国民の連帯の結節点、共通言語だからだ。国民全てが、税金で禄を食む者全てを監視し拘束する根本規範だからだ。

 民主党がやろうとしている税制改革、消費税増税と法人税減税はまさに少数者の生存権にかかわる問題だ。非正規雇用者三十数パーセントのうち、家計そのものを非正規雇用で担っている、いわゆるワーキングプアの人々、生活保護費以下で生活している人々はもっと少数であろう。勤労世帯のみではなく、日本国民全体を視野に入れればその割合はもっと減る。

 その少数者を見殺しにして良いのか。それは日本国憲法の理念に沿ったものなのか。

 まして、日本の国家財政の世界での優位性、個人金融資産、貿易黒字がたっぷりあるという優位性を破棄してまで、消費税増税と法人税減税により日本独自の内需振興と財政再建のチャンスをみすみす捨て去ろうとする財務官僚およびその傀儡政権に堕してしまった民主党。これこそが憲法で制約されるべき公権力、徹底的に批判監視されるべき公権力ではないのか。

2010年6月28日 (月)

トービン税、財政緊縮、ソブリンリスクを巡るG20の動き。日本が法人税を下げると産業はますます空洞化する。

 ほんの数日、日本の財政について調べただけで世界経済について述べるのはど素人の浅はかさの極み。しかし、別に文筆で銭を取っているわけでもないので気楽に書き散らしてみるのはど素人の特権。ろくな報道や評論がない中で、自分なりの視点を定めてものを見るのも必要だろう。

 僕が世界経済についてどんな風に見ているのかまず述べてみよう。

・トービン税が注目された背景

 アメリカの詐欺のような金融工学と博打のような投機経済によってサブプライムローンのような詐欺博打金融商品が世界中にばら撒かれた。その金融商品をしこたま買い込んだアメリカ、ヨーロッパの金融機関は激震に見舞われ深刻な金融不安が生じた。その金融不安を抑えるために各国が国費を金融機関につぎ込んだ。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどで多額の国費が金融機関に注入されたが、その注入された金を各国の国民の負担とするのはおかしいじゃないかという真っ当な意見が出された。そこで、金融機関の取引に薄く課税して金融危機に対しての支出を金融機関自身に負わせようということでトービン税が注目された。昨年10月のG20でも話題になったが今回のG20ではどうなったのか。

・緊縮財政が注目される背景

 さて、各国は金融危機を抑えるために国費を注入したのだから当然財政状態は悪くなる。特にEU圏では「EU各国の財政健全度が「財政赤字が対GDP比が3%を超えているかどうか。」及び「公的債務残高の対GDP比が60%を超えているかどうか。」で判断されることとなった。」(社会実情データ図録政府債務残高の推移の国際比較より引用)ため、財政再建のための緊縮財政が議論されている。

・ソブリンリスクが注目される背景

 そんななか、ギリシャの財政危機が表面化した。ギリシャの前政権が粉飾していた財政赤字が表面化したことが発端となりギリシャ国債が大暴落、国債の70%にのぼる対外債務に対しての債務不履行危機が勃発した。それがユーロ全体の信用を揺るがし、世界の株価下落という混乱を引き起こし、国家へ金を貸しても返してもらえないというリスク、ソブリンリスクという言葉が注目された。

対策としてドイツ、フランスやIMFがギリシャの国債を買い支え、その代わりにギリシャへの厳しい緊縮財政を求めた。ドイツ、フランスの国民は何故自分達の税金を他国のために使うのかと反発したがその反発は何とか押さえられた。しかし、ギリシャの国民はこの緊縮財政政策に対して怒った。国家が勝手に粉飾し、税の補足率が異様に低く金持ちがまっとうに税金を払っていないのに何故、俺達労働者がその付を払わせられるのか?というこれまた真っ当な怒りだ。(この辺の事情はマスコミに載らない海外記事「ギリシャ人は分かっている-Chris Hedges」が詳しい。)菅総理がギリシャに固執するのは、総理自身が市民派だから市民の自発的な抵抗が大好きで大いに共感するんだろう。心の底では沖縄の市民の反乱を待ち望んでいるんだろう。(皮肉です)

ここで、注意しなければならないのは、ソブリンリスクが問題となるのはポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャなど財政状況が悪い国でイギリス、ドイツ、フランスなどの財政状況が良い国とでは緊縮財政の意味合いが違うということだ。

以上が世界経済に対する僕の見方

それでは、トービン税、緊縮財政、ソブリンリスクに対してG20ではどんな議論がされどのような声明が出されるのか。

一応注目したい。

 一応というのはG20の前哨戦であるG8ではつまらない議論がされたようだからだ。

 アメリカはG20直前に金融規制改革法案の一本化に成功した。抜本的な金融規制改革が実現するめどをつけている。

 一方英、独、仏は銀行税の導入に合意している。

 両勢力ともやることをやって自分の正当性を主張するために参加している。

 そしてこういうことになる。(下記のロイター記事がG8について一応網羅的に報じている。)

G8は財政再建で欧米が歩み寄り、各国状況に応じた計画許容」[ムスコカ/トロント 26日 ロイター]より抜粋

 「カナダのムスコカで開催された主要8カ国(G8)首脳会議では、日米欧の間での財政再建と成長のバランスについての対立を回避しおおむね合意に達した。

 財政再建の重要性について確認しつつ、成長に配慮して各国の経済財政状況に応じて進める方向となった。」

「ただ銀行課税については、メルケル独首相が「残念ながら銀行課税についても金融取引税についても共通の立場は持っていない」と述べ、今回のG20では合意に至らない可能性を示した。」

抜粋終わり

要するにトービン税についても緊縮財政についても世界的な方向性は認めつつも各国の対応に任せましょうということになった。何のために雁首そろえて集まったのか?いつも感じるGなんとかへの不信感だ。

注目したいのはアメリカが寛大にも、賢明にも日本に対して、もうちょっと勉強しなさい、と貴重なアドバイスを賜ったことだ。

「米国からは財政再建により世界経済に悪影響を与えるよりも、内需拡大を求められている。」

抜粋終わり

これに対して選挙をほっぽり投げて、消費税に対しての発言も定まらない、カナダ漫遊の旅に出てご満悦のわれらが菅総理は

「「経済・財政の問題では私の方から成長と財政再建の両立がわが国だけでなくすべてのG8諸国にとって重要だと指摘した」と述べた。」

抜粋終わり。

この発言は国辱ものだ。

上記縷々述べたが、トービン税、緊縮財政、ソブリンリスクが現在の世界経済の問題である。

トービン税については日本は幸運にも関係がない。日本の金融機関は企業へ融資することもなく、アメリカの詐欺証券に手を出しすぎて大やけどをしたわけでもなく、おとなしく日本国債を買っていたのである。だから、日本ではサブプライムローンで信用不安が激化することはなかった。トービン税の世界同時導入など勝手にやってくれという立場だ。

緊縮財政についても金融機関への財政投入で財政が悪化したわけではないので関係ない。

まして、ソブリンリスクなど日本の経済規模と対外債務の少なさからは問題にもならない。

世界各国に比べて、実は日本は莫大な金融資産と貿易黒字という大きな優位性を持っている。G20で焦点になるような問題は日本には無関係で、むしろ日本は日本の優位性を利用して緊縮財政よりも内需拡大に努めたほうが良いのでは?とわざわざアメリカ様に言って頂いたわけだ。

各国はそれぞれの国の問題にどのような解決策の道筋をつけるのか、ある程度形をつけて参加した。日本だけが問題の把握と解決策が見当違いのまま参加した。そういう状況も全く解らず、官僚からアホなレクチャーを受けて、日本の総理だけが全く的外れな発言を記者会見で口走ったわけだ。多分、「こいつ、何にも解っていないなー」と各国首脳に無視された発言をわざわざ記者会見で発表したのだろう。物笑いの種だ。

そして

 「ロイターが入手したG20声明草案では 「先進国は(成長と財政健全化の間の)こうしたバランスを反映して、2013年までに財政赤字を少なくとも半減し、2016年までに政府債務の対GDP比率を安定もしくは低下させる財政計画にコミットしている」 と、今後3年間での赤字半減など具体的な目標を盛り込んでいる。ただし「財政の持続可能性を実現するため、(中略)成長に配慮した計画をまとめる必要がある」として、成長への配慮も謳っている。」抜粋終わり

 このような、日本の優位性をぶっ潰すような声明をよもや受け入れて、だから消費税だなどとのたまうつもりじゃないだろうな。

 せっかくアメリカ様からもお墨付きをもらったのだ。

日本の財政問題の核心は莫大な個人金融資産が末端まで循環せず、結果消費低迷、デフレによる財政支出の乗数効果が失われていることである。だから、労働規制を修復し、同時に金持ち増税を行い必要な景気刺激策をとる。そうすれば税収も増え財政の健全化ははかれる。だから日本は独自の財政再建を行うことができるので2013年までに財政赤字を少なくとも半減するなどという声明に与することはない。それはあんた達の問題であり、あんた達で勝手にやってくれ。これぐらいのことを言って欲しかったものだ。(まあ無理だわな)

G20でどのような声明が出されるか注目される。特に中国の出方が。世界市場を視野に入れれば、日本が本当に消費税増税と法人税減税で対処すれば何がおきるか。減税された資金は需要の旺盛な中国への投資へ流れる可能性がある。中国との合弁による企業設立には投資効果が望めるだろう。需要は中国に有る。日本の技術も流出するだろう。そうすれば在外企業は潤い、中国には税金が落ちる。中国の労働者にも恩恵はあるだろう。しかし、空洞化後、残された日本の企業はますます中国との過酷な価格競争に巻き込まれる。日本の労働者への恩恵は無い。ますます日本の労働者は塗炭の苦しみを舐める。そこに、消費税増税が追い討ちをかける。日本没落のシナリオである。

今日の、NHK7時のニュースではG8については北朝鮮への非難声明、米韓の戦時作戦統制権の移管先送り、おまけにサッカーだ。世界の経済状況と日本の財政事情を見据えた報道は皆無。アメリカの貴重な助言も完全無視だ。きな臭い動きを歓迎するような姿勢での報道が目立つ。

サッカーの商業主義の構造については「マスコミに載らない海外記事」「ワールド・カップと南アフリカ」が詳しく述べている。こんなもののためにメディアが占領され、愛国心の物騙りを刷り込まれ、金をたっぷりと関係者に流すことに協力し、その間に世界の舞台ではわれらが菅総理大臣が日本亡国の方針を得々と話して、又お荷物をしょわされる。ばかばかしくて話にならない。 

2010年6月27日 (日)

消費税増税、民主党の裏切り行為、世論調査、反貧困活動。僕にとっての当たり前のこと。

 消費税を上げれば消費は冷え込む。消費が冷え込めば企業は新たな設備投資や新規事業の展開に尻込みする。そんな状況で法人税を下げてもその金は従業員には回らない。良くて社内留保、悪くすれば役員報酬と株主配当に回るだけだ。最近発表された大企業の役員報酬やそれにぶーたれる株主どもの文句を見ればわかるだろう。

 橋本内閣が97年に2%消費税を上げ、景気が急降下し、翌年法人税を下げ大量の国債を発行し財政支出を増やしても景気は回復しなかった。税収はさらに落ち込み法人税減税分を消費税が補っただけだった。そして小泉の緊縮財政により一般庶民は塗炭の苦しみにあえぎ金持ちはこの世の春を謳歌した。

 消費が弱くデフレが進み、雇用破壊が進んでいるという今の現状は橋本政権時よりもはるかに条件が悪化していることを示している。民主党が橋本政権と同じ轍を踏むことは火を見るよりも明らかだ。小泉のときは「自民党をぶっ壊す!」「構造改革!」「抵抗勢力を排除する!」などのキャッチフレーズに国民が熱狂した。再び国民の目をそらし、熱狂の渦に巻き込むにはもう一工夫必要だ。今度はもっと強力なキャッチフレーズが必要だ。それは戦争。間違いをごまかすためには憲法改正とファシズムの強化が必要なことも明らかだ。

 知り合いが手ひどい裏切りをすれば手を切る。二度も騙されれば決定的だ。それでも付き合おうというのはよほど金銭的なメリットがあるのか色仕掛けで謀られている時ぐらいだろう。

 取引先が手ひどい背信行為をする。一度は我慢するかもしれないが二度目は無い。きっちり契約をたたき切る。もしその取引先が地元の有力企業であれば、大抵議員やヤクザを使って圧力をかけてくる。その瞬間ほどほっとできる時はない。判断に間違いが無かったことを確信するからだ。

普天間基地移設問題で手ひどい背信行為をし、消費税増税で再び裏切り、それでも恬として恥じない。そんな民主党をまだ支持しようということは倒錯したマゾヒズムか、よっぽど直接的な利益を受けているかのどちらかだろう。

日本をぶち壊した自民党とその分派の有象無象、及び公明党は論外。その論外の奴らと手を組んだ共産党も話にならない。地元でがんばっている共産党の地方議員や組合員にはほとほと頭が下がるが国会議員は全く信用できない。お話にならないそいつらの甘言に乗せられることほど馬鹿なことはない。

残るは社民党と国民新党。

僕は選択制夫婦別姓を法制化しないことにより、現実に多大な不利益を被り家族破壊の一歩手前まで行っている人を何人か知っている。だから選択制夫婦別姓が家族を破壊するという話には何のリアリティも感じない。単に家族制度を守ることが目的で、実際にそれで家族そのものが破壊されようと関係ない、ということが反対論者の本音だと思っている。だから、国民新党もダメ。

支持できるのは社民党しかない。

選挙でソフトバンクのコマーシャルに出てくるわんこの名前を書く人が増えれば良いと思う。投票に行って敢えて無効票を投じる。それも立派な民意の表明だ。投票率70%無効票20%にでもなれば、それは立派な反乱の、愉快な、狼煙になる。

何も悩むことは無い。

僕が学生だった頃、世論調査のアルバイトというものがあった。

これが結構な人気だった。なぜならちょっとした旅行気分が味わえ、しかもその経費は新聞社持ち、日当までもらえるという好条件だ。

新聞社の会議室に集まり、くじでどこへ行くかを決める。遠いほうがラッキーだ。名簿と質問票と経費分のお金をもらっていざ出発。

いつもは夜行列車や周遊券を使ってしか遠出の列車には乗らないのだが、今回はなんとダイレクトに特急列車の自由席だ。

現地に着いても当然土地勘は無い。地図は資料としてもらっていたがまず親切そうな人を捕まえて大体の雰囲気をつかむ。そして、選ばれた対象者の家へGO

対象者は老若男女、勤め人もいれば無職の人もいる。すぐにつかまる場合は良いのだが、出かけていたり、すでに引っ越したりしている場合もある。出かけている場合はその家の人や近所の人に、その対象者がいそうな場所を聞く、訪ね歩く。まるで刑事のように執拗に追いかける。ようやく辿り着いた時には、その人が「よくここがわかりましたね」と吃驚する。

そんなこんなで対面式でその人から質問の答えを聞いて質問票に書き込んでゆく。遠いところから来たよそ者に対して、みな真剣に親切に答えてくれる。

その日は何人かを残して終了。旅館に泊まる。いつもは寝袋とリュックをしょって旅をしているので食事付風呂付の旅館に泊まることなどめったに無い。どんなボロでも嬉しかった。

翌日、半日かけて残りの人の所在を突き止め終了。特急自由席で帰って行く。

これに比べて、現在の世論調査のなんと安直なことか。週末、きっちりと休みが取れる人々。固定電話の有る家に昼間いる人々。録音された質問に律儀に答えられる人々。年金がたっぷりもらえ、蓄えもある高齢者。日本の将来にこだわることも無く、現在の安寧が少しでも続いてくれれば御の字の人々。

こんな人々が答えた安直な世論調査など全く信用に値しない。

生活保護申請に付き添い手伝うこと。困っている人に手を差し伸べること。自分が困ったときに手を差し伸べてくれるであろう仲間がいること。サボったり、怠けたりしているのではない、本当は働きたい、自分の過去の仕事の自慢話に花を咲かせる生活保護受給者の面々。仕事が本当に無いというリアルな現実。そんな身近な現実と国を動かす権力とのあまりに大きな乖離。権利を自覚しその権利の獲得のために闘うという現実世界での小さなレジスタンス、反乱。

僕にとっての当たり前のこと。

2010年6月26日 (土)

ドラマ「臨場」について喉に刺さったままの骨。 伏魔殿、特別会計。

今日は短いコラムを2

・ドラマ「臨場」について喉に刺さった骨

テレビ朝日のドラマ「臨場」が今週最終回を迎えた。わりと好きなドラマだったので時々見ていたが、一つ気になることがあってずっと喉に刺さった骨のように引っかかっている。

ドラマが始まった頃、面白そうだったので横山秀夫の原作も読んでみた。それで気がついたのだが「声」というエピソードの時、設定が原作と大きく違うところがあった。

原作では死んでしまうヒロインは司法修習生で検察に実務修習に来ていた。そこで妻子ある検事と検察事務官がそのヒロインに惚れてしまって、セクハラまがいの行為に及び、そのヒロインの死に何か関係が?というような筋だったのだが。

テレビではセクハラの舞台は検察ではなくて雑誌社になっていた。原作では、検事がヒロインに女性の遺体の司法解剖を見学させるということが結構ポイントだったのだが、テレビでは雑誌記者のヒロインが殺人事件の現場取材中に、犠牲者の女性が搬送されるのを見るというシーンに変わっていた。

司法解剖の場面は他のエピソードにも何回か登場していたのでそれが特に問題になるということはないと思うのだが。わざわざ設定を変える必要があったのだろうか。しかも、テレビが設定を検察から雑誌社にわざわざ変更したところにテレビの悪意と優越感が現れているというのは穿ち過ぎだろうか。

多分テレビにとっては検察が悪く見える番組はご法度なのだろう。それが自主規制なのか、何らかの圧力があったのかは知らない。

テレビに出てくる警察や検察はみんな正義の味方だ。警察、検察に悪役がいたとしても同じ警察や組織の正義の味方がその悪役も退治するという筋書きが一般的だ。警察や検察が完全に悪者で、それを一般市民が暴いて懲らしめるとう番組なんて見たこと無い。

そうして、警察や検察の無謬性神話がしっかりと国民に植え付けられる。冤罪事件や裏金問題、マル暴とヤクザの癒着などの不祥事が発覚したぐらいでは全く揺るがないほど強力に。そして、有罪推定の事件報道で、疑われた人々は厳しい非難と差別にみまわれ事実上社会から抹殺されてゆく。

 今、テレビはサッカーに占領されている。何を洗脳しているのやら。決勝トーナメント進出お疲れ様でした。

・伏魔殿、特別会計

 先週の金曜日の夜あたりから週末一杯、財務省のHPを文字通りさ迷い歩いた。財政の門外漢にとっては財務省のデータは本当に解りにくい。

 そんななかで特別会計のデータもちらちらと見てみたのだが、これが又ものすごい。2010年度予算の特別会計予算書だけでPDFファイル約700ページ。しかもどこからどんな金が入ってきて何に使われているのかが非常に解りにくい。

 まあ、そんななかでも興味のある費目を見てみると。

 

米国債を買いまくっている外為特会。

10040 外国為替資金特別会計2,695,891,889(千円)27千億円

このなかに貸借対照表というものがあって、外貨証券85,440,494,732,732()854千億というのがある。約694000億円といわれる米国債はここに含まれるのか?

そのほか外国為替資金証券106,869,730,000,000()1068千億というのもある。最初は単位が(千円)だと思ってビックラこいてしまったのだが。それでもヒャクロクチョーですよ。一体これはなに?と調べてみると。

外国為替取引(FX取引)・金融用語集より引用

「外国為替資金証券とは外国為替資金証券とは為替介入に必要な資金を調達する為に発行される政府短期証券。外国為替資金証券を売却して介入資金を調達する。外国通貨を売る為替介入の場合は、外国為替資金特別会計にある外貨を使用して行われる。」引用終わり

だそうです。一見なんのことか解らない言葉がごろごろある。

90030 財政投融資特別会計36,965,938,632(千円)37兆円

昔は郵貯のお金が預託されていたが今は財投債で資金調達している。郵貯がどれだけ財投債を買っているのかは興味があるところだが。

90020 エネルギー対策特別会計 2,029,929,392(千円)2兆円

電源立地対策費63 原子力の推進及び電源立地地域の振興に必要な経費

156,699,811(1500億円)

 これが原発に使われるわけですね。日本のエネルギー政策はここが握っているのかしら。

  

15010 社会資本整備事業特別会計1,061,706,2811兆円)

   15014 空港整備勘定461,299,732(4千600億円)

茨城空港はとうとうスカイマークが9月から運休へ。国内線定期路線が無いという空港ができてしまった。それでもヨンセンロッピャクオク。さすがです。

一般会計でも特別会計でも、全ての費目にコードが振られているので、当然、財務省にはすごいデータベースがあるんだろう。大臣や国会議員はそのデータに楽にアクセスできるのだろうか。予算の構造を変えようと思えばいろいろなシュミレーションが必要だと思うがそういうことも全部官僚任せなのだろうか。まして、全体を俯瞰するなんて本当に大変だろうな。ねえ、菅総理、前財務大臣。

あんな分厚い予算書を読み込む手間をかけるより、自分の利権の分捕りに腐心したほうが楽だったろうな、自民党政調会の族議員の方々。ねえ、玄葉政調会長。

2010年6月25日 (金)

選挙が公示されたが。民主党の耐えられない軽さ。仙谷官房長官発言への違和感。

 たった一つの新聞記事でどうのこうのとあげつらうのもどうかと思うが、それにしても・・。

以下引用

仙谷官房長官、消費税の使途「国民の声聞く仕組みを作る」

仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見で、参院選で菅直人首相が掲げる消費税率引き上げを巡り「使途は個人的には医療が一番だが、教育、介護、年金もある。与野党の検討会議なり、広く国民の声を聞く仕組みを作って、その議論の中から優先順位を決めていく」との考えを示した。

 各党が消費税増税の是非を争点としていることについては「(民主党は)社会保障、経済、財政の一体的改革の実現を掲げている。消費税だけ取り出していっているが、そういうやり方でこれからの時代を経営できるのか」と批判した。

日本経済新聞2010年6月24日

引用終わり

一見「民主的」なようにも見えるが、僕には「取り敢えず消費税増税で金を集めますが、まだ何に使うかは決めていません。官房長官という要職にありながら内閣もこの点ではてんでんばらばらでまとめることはできていません。個人的には医療かなーとも思いますがどんなもんでしょ、まあアリバイ作りに「国民の声」を利用すれば何とかなるんじゃない。へへへ・・・」と読めてしまうのだが。

普通、企業が何らかの資金調達を考える時にはその目的を明確にすることが求められる。

「我が社は赤字で借金も膨大だ。だから借金の穴埋めのためにさらに社員の給料を減らします。」というのは無能な経営者。

「我が社は赤字で借金も膨大だ。だからこれこれの無駄を削減し、より効果的な事業に対してこれこれの資金を投下する。それによってこれこれの業績改善をはかり借金の返済と社員への還元に使います。だから一時資金調達のための賃金削減に応じて欲しい」というのはまあまともな経営者。まあまともというのは赤字にして借金を膨らませたこと自体がすでに無能の証だから。

「我が社は赤字で借金も膨大だ。だからさらに社員の給料を減らします。けれどそこで浮いた金はまだ何に使うか決めてません」というのが仙谷官房長官。

大した時代の経営者だ。

資金の調達と配分には経営者のビジョン、戦略、意思、信念、が反映される。もしそこに負担増を伴う資金調達があるならば、なぜそれが必要か、どういうことに使うのか、それによってどんな効果があるのかを明確に筋を通して述べる論理が必要となる。そしてそれを必ず実行するという迫力が伴わなければリーダーシップは取れない。

この国の経営者にそれがあるのか。マニュフェストなるものに明確な筋の通った理論があるのか。必ずやり遂げるという迫力があるのか。

これは僕の勝手な印象だが、民主党の閣僚がみな同じ顔に見える。なんだかぼんやりしたもやに包まれたような不確かな表情。それぞれが勝手に発言する上滑りな言葉。

消費税増税を決めたときもこんな感じではなかったのかと想像する。

「手取り月30万円で20万を使うとするわな。消費税5%上げると月1万円年12万円の出費増だわな。まあ大したことない。

年に2000万稼ぐ人がいるとするわな。所得税40%を50%に上げると年80万円の出費が100万円!(ここで、後援会幹部のなんとか社長や労働貴族のなんとかの顔が浮かぶ。)

株で年1000万稼ぐ人がいるとするわな。キャピタルゲイン課税を10%から30%に引き上げるとするわな。市場から資金が流出する、企業の資金調達が難しくなり経済が停滞する、などど経済評論家やアナリストから非難ごーごーだわな。

やっぱ消費税しかないんじゃない」

だって、財政状況を精査し、何に資金投下すれば効果的か、そのためにはどんな資金調達方法が最適なのか、だから消費税しかないんだという説得的な説明など聞いたことがありますか。僕の記憶ではない。マニュフェストにも書いていない。

パート仕事を掛持ちし月123万の稼ぎで子供を養う母親が100円の出費を削るためにどれほど腐心するかなんていうことに思いを馳せることもない。

選挙が始まって菅首相の第一声がこれだ

参院選公示 民主党政権に初審判 菅首相の消費税公約問う」より抜粋

「菅首相は24日午前、大阪市で「日本を成長軌道に乗せる。消費税を上げると言いたくないが、このままだとギリシャみたいになる」と消費税引き上げの必要性に言及したうえで「約束したことを実行する力をもう一度与えてほしい」と訴えた。」

毎日新聞 2010624日 東京夕刊

抜粋終わり

まだ、この期に及んでギリシャを持ち出すのか。ギリシャといえばミコノス島、ミコノス島といえば、パラダイスビーチ、パラダイスビーチといえばスーパーパラダイスビーチ、そんなにギリシャがお気に入りか。

Daily Cafeteria

遂に英国が、独仏と連携した。(無能日本官僚は世界から相手にされていない)より引用

遂に英国が、独仏と連携した。

(無能日本官僚は、どうして良いか分からず、「日本をギリシャ化するな」とか言う空々しいデマを自国民に向けて飛ばすのがせいぜいで、自国の立場を世界に表明する事さえ出来ない。

日本がギリシャ化する危険性が差し迫っているのなら、なぜ「円」がリスク回避通貨として買われ続けるのか、国民に対して分かりやすく説明せよ。

無能集団は、世界に対しては何も言えない反動で、自国の大衆に大増税を仕掛けてウサ晴らしをしている。その程度の犯罪的無能集団の口車に乗せられる謂れは私たちにはない。」

引用終わり

この国の政治の耐えられない軽さ。それにたやすく迎合する国民の耐えられない軽さ。

2010年6月24日 (木)

日本の財政をざっと俯瞰する。3.国債の正体 財政問題とはつまるところ雇用規制破壊問題である。民主党は破滅的な亡国の道を歩んでいる。

前回、前々回のエントリーをまとめると次のようになる。

 86年から所得税、法人税、キャピタルゲイン課税の税率が継続して下がっており、逆に消費税は0%から3%へそして5%に上がっている。

 97年橋本政権下、消費税を3%から5%へ上げたために景気は腰折れした。そこで98年に法人税を減税し、前年の2倍の国債を発行し公共投資を増額したが景気浮揚の効果は無かった。単に法人税、所得税の下落分を消費税がカバーしたのみであった。

 翌年の小渕政権ではさらに法人税を減税し、所得税も減税し、前年を凌駕する国債を発行したがここでも景気浮揚の効果は無かった。法人税、所得税の下落分は消費税でもカバーしきれない状態となった。

 そして、小泉政権下では緊縮財政とキャピタルゲイン課税の減税が行われた。表向きGDPは上昇し、法人税は増収に転じたが、これは株取引の活発化とトヨタ、キャノンなどの外需によるものだった。

 その後、サブプライムローン問題、リーマンショックにより外需が激減した。鳩山政権下では法人税収、所得税収は大幅に下落し、現行の消費税率ではこの下落幅は全くカバーできず、大量の国債発行に頼らざるを得なくなり現在に至っている。

以上の概観から2つのことが言える。

一つは所得税、法人税、キャピタルゲイン課税の税率を引き下げたため財政の所得再分配機能が失われたということ。

もう一つ重要な点は、雇用規制の破壊により財政支出による乗数効果が失われたということだ。乗数効果とは一定の条件下において有効需要を増加させたときに、増加させた額より大きく国民所得が拡大する現象である。(菅首相が財務大臣のときに乗数効果の内容を問われ答えられなかったことは象徴的である)

前回のエントリーでは私的な経験から97年頃から雇用規制の破壊が顕著になったと述べたが、具体的なデータを見つけたので掲載しておく。(総務省統計局HP労働力調査 長期時系列データ【全国】雇用形態別雇用者数より筆者作成)

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 このグラフでの前年比とは、非正規雇用者の人数が前年から何%増加したかを示している。明らかに97年に顕著な増加が見られる。そして、97年からの雇用の破壊により非正規雇用者が増大、非正規雇用者に引きずられる形での正規雇用者の賃金水準の低下も起こり、労働分配率の低下を招いている。

 結果、莫大な額の国債を発行し公共事業などに資金を投下しても、その金は富裕層に留まり、消費性向の高い中間層、貧困層に回らず、消費を喚起することができず、結果、内需の拡大による景気回復への道が閉ざされることとなった。

 そこで生まれた国家財政の形とはどういうものであろうか。

俗に「金は天下の回りもの」といわれる。現状は「金は天上のみでの回りもの」となっている。

又、お金は経済の血液であるとも言われる。その比喩に従えば、国家財政という心臓からは潤沢な血液が流れ出ている。その血液は大企業、富裕層、天下り高給官僚までは潤沢に流れる。しかし雇用規制の破壊という血栓によりそれ以降の血流は阻害され、大部分の組織は虚血状態に陥っている。さらに末端組織は年間自殺者3万人以上という壊死を引き起こし、それが10年以上続いているということだ。そして、大企業、富裕層、天下り高給官僚で滞留した血液は個人金融資産という巨大なプールに流れ込む。そしてその血液が再び公債金という形で国家財政へと還流する。

国庫から富裕層へ、富裕層から個人金融資産へ、個人金融資産から再び国庫へという天上世界の金の循環が延々と続いているわけだ。

以上からメディアや政治家から発せられる言説に批判を加えてゆこう。

まず、ギリシャの財政を引き合いに出し日本の財政に対する危機感を煽る言説について。

これは国債を引き受ける「個人金融資産という巨大なプール」の内訳を見れば一目瞭然である。(Garbagenews世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる」参照 このページの記事及び「日本の対外債務は? 世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる(追補編)」の記事は大変わかりやすいので是非ご参照ください)

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さらに世界の国々の対外債務の状況は以下のとおり。日本は入っていない。

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日本の国債を引き受けている海外勢はたったの6%だ。そして、対外債務と対国内債務の決定的な違いは、対外には自国の徴税権は及ばないが対国内には及ぶ、ということだ。国内の個人金融資産のプールから利子を払ってお金を借りる代わりに、個人金融資産へ流れ込む前のお金を、徴税権力を行使して税金として徴収することが可能だということだ。要するに、キャピタルゲイン課税や所得税、法人税、の税率を上げてきちんと徴税権を行使し、所得の再分配機能を復活させればわざわざ利子を払って公債金を借り入れる必要は無いのだ。

従って、ギリシャの財政危機を引き合いに出す言説は、日本の国債残高に占める対外債務の少なさを隠蔽すると同時に、国の徴税権不行使の不当性をも隠蔽しているということで二重の悪質性をはらむものである。一顧だにする価値もない論外の暴論だということである。

もう一つ国民の情動に訴え恐怖を喚起する恫喝的言説として、国の借金は862兆円、国民一人あたり670万円の借金、これが子供達にそのまま引き継がれて良いのですか?という類のものがある。

国民一人一人が誰から借金をしたというのだろう。借金をしたのは国だ。そして、その肩代わりを富裕層に重く、庶民に軽く負わせることこそが徴税権力を持つ国家の役割ではないのか。

日本国憲法においては、納税、勤労、教育が国民の義務とされている。なぜ、公権力の行使を制限するための国家への命令書である憲法に、敢えて、国民の納税の義務その他が規定されているのか。刑事司法権力の次に強力な徴税権力を甘んじて公権力に与えているのはなぜか。その理由は自明のようにも思える。税金で禄を食む公僕は、その徴税権力を適切に行使して、国民の生存権、財産権をしっかり守り抜け、そのためには国民は納税の義務を敢えて受け入れるという意味ではないのか。

ここでも、国の徴税権力不行使の不当性の隠蔽が見られる。なおかつ、借金の肩代わりに限って平等性を標榜するところに、表向きは公平な負担という、消費税への誘導を始めからもくろむ悪質な暴言といわざるを得ない。

それでは、キャピタルゲイン課税、所得税、法人税、相続税などの直接税の累進性復活を主張する言説はどうであろうか。

僕はこれも不十分だと考える。なぜなら上述したように、雇用規制の破壊により財政支出による乗数効果が失われたということを重視したいからだ。

乗数効果が望めなければ、国の資金調達が借金から直接税に振り替わるだけに終わる可能性がある。なるほど、国家財政のバランスは改善するだろう。しかし、そこで支出されるお金は富裕層へ流れ込み、個人金融資産というプールを通らずに、富裕層から国家へそのまま還流することになる。末端へのお金の流れは改善されず、相変わらず国民の大部分の困難は解決されない。所得の再分配機能を真に復活させるためには乗数効果の復活が同時に図られなければならない。そして、消費を拡大し、内需を拡大し、その結果国家の税収増に結びつける、これこそが強い経済、強い財政、強い社会保障ではないのか。

又、社会保障費に増収分を当てるということにも注意が必要だ。社会保障といっても生活保護費、社会福祉費のように必要な人に直接給付される部分が増額されるのなら良いのだが、現在ニーズの高い介護保険給付費に重点がおかれる場合はコムスンのような前例がある。現場を担う介護職員の所得増に結びつけるためにはやはり雇用規制の修復が不可欠であろう。

従って、財政問題の解決には雇用規制修復を切り離しては解決できない問題だと思う。まさしく官庁の縦割り行政を超えた戦略的な対応が必要な問題なのだ。

この観点から言えば、どの政党も満足な回答をしているとはいえない。社民党の福島党首も消費税増税よりも法人税増税が財政再建に有効だといっているに過ぎない。

この点で唯一注目すべき発言をしていたのは亀井元大臣だけではないのだろうか。果敢な財政支出を唱え結果としての税収増は後からついてくると発言していた。と同時に、郵政社員の正社員化にも言及していた。明言はしていなかったが乗数効果に注目していたことは間違いないと思う。だからこそ閣僚から排除されたとも言えるかもしれない。

 民主党はいまのところ消費税増税、法人税減税を進めるといっている。なおかつ鳩山政権時に掲げられていた

●常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します。

●中小企業を支援し、時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。

という雇用規制の修復を謳う項目は放棄してしまった。

 このままでは橋本政権が97年、98年に犯した過ちをさらにひどい形で再び繰り返すことになる。そしてその後再び小泉政権のような新自由主義的路線が選択される可能性は限りなく高い。仙谷、前原、枝野、野田、玄葉。やはり民主党に参議院での過半数の議席は与えてはならない。

2010年6月23日 (水)

日本の財政をざっと俯瞰する。2.歳出 国家支出は富裕層へ、そして巨大な個人金融資産というプールへ流れ込む 

前回は歳入について見てみた。国の資金調達先推移の特徴をもう一度記しておく。

98年以降、税率の低下によって所得税、法人税の税収は、GDPが増加しているにもかかわらず、実額でも低下傾向を示し、構成比ではバブル経済以前の構成比に比べると半分以下となっている。

・消費税はその穴埋めとして機能してきたが、それでも所得税、法人税の落ち込みをカバーしきれなくなった。

98年以降公債金の額がそれ以前の約二倍に跳ね上がり、その後その傾向は継続している。

・公債金激増の原資として個人金融資産額も98年以降増大し1,400兆円前後で推移している。

・低下傾向を示している税率であるが、特に個人所得課税の低さは国際比較によっても群を抜いている。

以上の特徴を持つ歳入だが、その歳入がどのような形で使われているのかを今回は見てみる。(財務省HP 予算・決算より筆者作成)

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まず、目に付くのは国債費である。国債費とは、国債に関する償還、利払い、事務取扱費の総コストのことである。要するに借金の返済と利払いであるが、構成比では一貫して歳出の20%前後を占めている。実額も増加傾向にある。

次に注目したいのは小泉政権下の緊縮財政である。特に社会福祉費の減額が酷い。実額ベースでも構成比でも小さな部門にもかかわらず激減させられていることがはっきりとわかる。これは生活保護費と同じく必要としている人への直接的な給付だ。それゆえこの部門には、後で述べる労働分配率の低下が影響しにくい。だからこそこの部門を徹底的に破壊したという点で、特筆に価する。

又、公共事業関係費も削減されている。公共事業関係費は橋本政権下、消費税増税による景気冷え込みをカバーするためぐっと増額された。しかし景気浮揚効果は無かった。公共事業に金をつぎ込んでも景気対策にならないとして、それ以降は暫減され小泉政権下ではさらに切り詰められた。地方が疲弊しシャッター街が問題になったことは記憶に新しい。そしてこのような緊縮財政にも関らずきっちりと温存されてきた費目が防衛関係費である。

この緊縮財政下、減額を補うように増加してきたのが年金医療介護保険給付費である。

さて、データをつらつら眺めていても資金配分の本質的な問題は見えてこない。

ここで労働分配率の低下という視点を導入し推論を展開したいと思う。

労働分配率の低下はいろいろなところで言及される。主にワーキングプアの問題、労働環境の苛酷さなどで取り上げられ改善を求める声が上がる。しかし、ここではこの労働分配率の低下が国庫の歳出(資金投下)にどのような影響を与え、回りまわって歳入(資金調達)にどのような形態変化をもたらしたかを考察するために取り上げる。

下記の表を見て欲しい。(厚生労働省HP白書平成18年版 労働経済の分析参照)

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注目して欲しいのは86年と06年の労働分配率だ。ほぼ同じだがGDPは昨日見たとおり約1.5倍、税率も86年に比べると所得税最高税率が70%から40%へ、法人税が40%から30%へキャピタルゲイン課税が26%から10%へ減率されている。さらに付け加えると有価証券取引税と取引所税は99年に廃止されている。

何が言いたいかと言うと、86年に比べ、一般会計から支出されたお金が一般の庶民に行き渡らずに富裕層に流れ込み、しかもそれに対する課税率が国際的に見ても極端に低く直接税で捕捉され国庫に還流するという流れがかなり狭まっているのではないか、ということである。

例えば公共事業。大手ゼネコンが多くを分捕り、役員報酬、株主配当、幹部正社員の給与へ結実する。そこで雇われている非正規雇用や派遣社員には文字通り滴り落ちる(トリクルダウン)のみだ。

そして残りが下請けの土建屋に流れる。ここでも土建屋の経営者が多くを分捕り現場の作業員は安い労賃で働かされる。結局大多数の消費余力は伸びず、地方ではシャッター通りが無残な骸をさらす。

86年頃といえば僕はちょうど学生だった頃だ。夏休みはよく土方仕事のバイトをしたが、日当はこの時代で1万円位、結構良い稼ぎだった。当然その仕事を本職としている二十歳前後の兄ちゃんたちと仲良くなるのだが、彼らの稼ぎが半端ではないのだ。月3040万にはなっていたと思う。学校ではヤンチャをしていたので怖いもの知らず、若くてガタイが良くて、意匠を凝らした車に乗って金があるんだからとにかくモテる。彼らのナンパの大本営発表を聞くたびに羨望を禁じえなかった。今とは隔世の感がある。

年金医療介護保険給付費にも同じことが言える。コムスンの不祥事は記憶に新しいが介護ビジネスを企業活動に利用し大もうけする奴がいる反面、現場の介護士たちは重労働、低賃金にあえいでいる。

そして、あらゆる歳出に官僚天下りが寄生しピンはねをするという構造である。

もう一つ注目して欲しい時期がある。98年だ。なるほど、この時期は不況期ということで労働分配率は上昇している。しかし、僕の実体験からすると、まさにこの時期に労働破壊は始まっている。

 実は95年頃から雇用制度の激変が用意されていた。95年頃から突然、能力給導入、雇用形態の多様化が会社から発表され、御用組合は一応反対する姿勢は見せながらもその必要性を組合員にせっせと説いてまわりはじめた。表向きは景気低迷や雇用ニーズの多様化に対応するとの建前だった。しかし、この頃に「国際化への対応」をテーマとしたセミナーに参加して知ったのだが、実は多くの企業が国際会計基準導入への対応を迫られて同じような人事、賃金制度の変更に取り組まざるを得ず、このセミナーでは会計基準の変更がどれほどの衝撃を日本経済に与えるかという話に終始していた。どうりで、猫も杓子もほとんど同時に能力給導入と叫び始めたわけだ。 

このときの国際会計基準の要点は資産の時価評価、連結決算、退職金給付債務の決算書への記載などで2002年までの完全実施されることになっていた。このため、経営陣にとっては財務内容の大幅な改善が必須となっていた。そのために大幅な人件費削減が最重要課題となり人事制度、賃金制度の変更が画策されていたのだ。そして、97年に能力評価給、非正規社員の大量導入、正社員の異動の可否による賃金格差の設定などそれまでの制度をかなぐり捨てた大改悪が導入された。そして98年、苛烈なリストラの嵐が吹き荒れ多くの中高年社員が退職を余儀なくされた。

このような経験からすると、98年に個人金融資産が激増し、歳入に占める公債費の突如とした増額にも納得がいくのである。この頃にすでに今の財政の形が作られ始め、小泉がこれを仕上げたと見るのが妥当であろう。

整理しよう。

一般会計の歳出は雇用規制の破壊により富裕層に流れ込む。そして現在の低い税率により、その流れから直接税を捕捉することが困難になっている。この金の流れは富裕層の個人金融資産という巨大なプールに流れ込む。そして国はせっせとその巨大なプールから国債という借金で資金調達をする。法人や金持ちから直接税のおこぼれを頂き、貧乏人からは消費税として税金を巻き上げる。そして毎年莫大な国債費、国債の償還が利子付でこの巨大なプールに還元される。その他の支出を通して再び富裕層や高給官僚に金が流れ込む。それが又巨大なプールに流れ込み・・・・

これが大まかなこの国の資金調達と資金投下の流れのからくりだ。

このように見てくると国債は単なる借金などとはとても言えない。

次回は国家の徴税権不行使と国債の関係を俯瞰しながら、この国の財政に対するまやかしを暴いてゆきたいと思う。

2010年6月22日 (火)

日本の財政をざっと俯瞰する。1.歳入 消費税増税、法人税減税で財政再建は不可能だ。

消費税増税が規定路線であるかのようなマスコミの論調が喧伝されているが、日本の財政状況を大まかにでも把握しなければマスコミへの有効な反論ができない。

借金の累計が900兆に近い、ギリシャよりも深刻だ、だから消費税増税と法人税減税で解決するという政治家の言葉も鵜呑みにはできない。

そこで、自分の勉強のためにも、財務省のデータから一般会計の歳入歳出の動向を大雑把に把握し、消費税増税、法人税減税の妥当性について、とりあえず1.歳入 2.歳出3.国債の正体の3回に分けて検証してゆく。

日本の財政をざっと俯瞰する。1.歳入 消費税増税、法人税減税で財政再建は不可能だ。

税率が変化した年度を中心に一般会計の歳入状況は棒グラフで、各種税率は折れ線グラフで同時に把握できるようにグラフを作成した。(財務省HP 予算・決算より筆者作成)

又、このグラフと同じ年度の実質GDPウィキペディア国内総生産参照)と個人金融資産の推移(備忘録-日本の個人金融資産1979-2004 金融資産と負債参照)を作成した。

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まず吃驚したのは、86年の中曽根政権下では所得税、法人税の合計が約29.5兆円あるのに対し、GDP1.4倍から1.5倍になっているにもかかわらず、バブル崩壊後この額を上回ったのは、このグラフでは06年のみだ。鳩山政権になってからは約18兆円しかない。

 また、吃驚したのは法人税、所得税、など減税を行っても必ずしも後の税収には結びつかず、むしろ国債費の増大を招いていることだ。要するにGDPが増加しているにもかかわらず減税分はそのまま減収と公債費の激増に結びついている。

 そして、その公債費の原資となる個人金融資産が99年に1,400兆円を超え以後も1,400兆円前後で推移している。

 少し細かく見てゆく。

 税収の構造が、がらっと変わったのは97年~98年だ。

 97年に橋本内閣は消費税を3%~5%へ増税した。‘98年には法人税最高税率を37.5%から34.5%へ減税し、公債費が突然前年の約二倍に激増している。表面的には消費税増税による景気後退に対応するため、法人税を下げ、公共事業を増額したといえるかもしれない。しかし、効果は無かった。所得税と法人税の下落分を消費税が補っただけだった。

99年には小渕政権に変わり、さらに所得税最高税率を34.5%から30%へ、法人税最高税率を34.5%から30%へ減税した。公債費は前年の34兆円を凌駕し386千億円、しかし、これも効果が無かった。

 ここで注目されるのは公債費が‘98以降歳入の40%以上を占めるようになり、逆に所得税、法人税の合計は30%前後2009年以降はなんと20%前後に落ち込むようになってしまったことだ。‘98年以降所得税、法人税の減税、公債費の拡大は全くといって良いほど税収の増加に貢献していない。

 逆に公債費の原資となる個人金融資産は99年以降1,400兆円前後で推移し公債費の増加を支えている。

00年森政権下ではようやく税収増効果が現れたのか、法人税、所得税が若干回復し始めた。しかし小泉政権の構造改革路線、緊縮財政下、再び所得税、法人税の税収は落ち込んだ。

特に小泉政権下では輸出依存型のGDP上昇が見られたため法人税収は持ち直したが、キャピタルゲイン課税を10%に下げたことでGDP上昇に見合うだけの所得税増収は無かった。キャピタルゲイン課税最大の特徴は。大金持ちが金融商品の売買で大もうけしても、多額の配当金を得てもたった、10%の税率で済むことでありこれが今でも続いている。資金力があればあるほど、信用取引や空売りで、例え株価が下がっても大もうけできる資産家の税負担が最も軽くなってしまっている。

 06年に再び増収傾向が見えたが翌年のサブプライムローン問題、08年のリーマンショックにより外需依存型の日本経済はかなりの打撃を受け、09年の法人税は5兆円まで激減した。

以上、歳入の推移を見ると、法人税減税が必ずしも経済の強化には結びつかず従ってその後の税の増収に結びつく構造にはなっていないことが指摘できる。従って、消費税増税はその増税分のみが所得税、法人税の減少を補うだけに終わる可能性が高い。

 民主党は消費税増税と法人税減税で経済の強化と財政再建を果たすというが、98年の橋本政権と同じ轍を踏むことになるのではないか。

それにしても、なぜ、98年以降減税や公債費の増大にもかかわらず経済が浮揚し後の税収増に結びつかなかったのか、むしろ公債費の肥大化が止まらないのはなぜか。その答えのヒントは以下の図に示されている。(財務省HP租税負担率の内訳の国際比較参照)

Sozeifutan2007_4

Sozeifutanritsu2009_4

端的にいうと日本の個人所得課税が極端に低いのである。先に挙げたキャピタルゲイン課税が大きな役割を果たしている。法人税減税論者は他国と比較して法人税率が高いので競争力が損なわれるというが所得税に言及されることは無い。

異様に低い個人所得課税は個人金融資産増大につながり公債費の増大を支える。

次回は個人所得課税が低いことと労働分配率に着目しつつ、資金の分配、歳出について見てゆきたい。

2010年6月21日 (月)

消費税10%増税についてのとりあえずのまとめと問題点の投げかけ

まず消費税についての発言をいくつか

民主党内

賛成派

・玄葉光一郎公務員制度改革相(民主党政調会長)は「10%」が党の公約となるかについて「当然そうなる」と強調。

・前原誠司国土交通相も会見で「首相を全面的にサポートしたい」と語った。

・官邸側は「首相の決断で責任与党を示せた」(首相周辺)と胸を張る。

・枝野氏は18日、記者団に対し「超党派で議論する時に、第2党の自民党の考え方を参考にするのは当たり前」と語った。

反対、懸念派

・マニフェストを取りまとめた11日の政権公約会議に出席した党幹部も「マニフェストの表現は事前に了承したが、10%はまったく聞いていない」と不快感を示した。

・小沢氏と近い原口一博総務相は「10%の数字は私たちではなく、自民党の数字」とけん制。

・非小沢系の閣僚も「参院選候補者には『消費税をあげると決まったわけではない』と徹底させなければ」と懸念する。

以上 菅首相:「消費税10%」言及 閣内に亀裂も 亀井氏、「離脱」ちらつかす

毎日新聞2010619日 東京朝刊より抜粋

相変わらず閣内でも意見が分かれ「10%」の税率についても政権公約会議に出席した党幹部すら聞いていなかったようだ。

民主党の閣僚は、政策すりあわせの泊まりこみ合宿でも開いたらどうか。それぞれが別のことを言い合っていてまともな政治ができるのだろうか。

他党の反応

・社民党 福島瑞穂党首

 --民主党はマニフェストで消費税問題に踏み込みました。

 ◆民主、自民連合による消費税値上げ隊には反対だ。国民の生活が見えていないのではないか。いま消費税率を10%に上げると生活が成り立たない人が増えるだろう。「最小不幸社会」というなら生活困窮者を切り捨ててはいけない。

 --参院選で何を訴え、目標は何議席ですか。

 ◆「普天間」「政治とカネ」「消費税」。消費税増税ではなく、法人税と所得税の最高税率を10年前に戻すことで4・2兆円が捻出(ねんしゅつ)できる。スローガンは「生活再建まっしぐら」だ。比例代表で3人以上、選挙区で推薦も含め複数名の当選を目指す。

・国民新党 亀井静香代表

 ◆自民党と「混ぜご飯」みたいな状況になってきてしまっている。消費税が共通の具。ある面でゆゆしき事態だ。それと(米軍)普天間(飛行場の移設問題)。日米対等と鳩山(由紀夫前首相)さんが言っていた基本的な立場は大丈夫なのか。

 --消費税の引き上げをどう思いますか。

 ◆民が生活に苦しんでいる中で、税金をさらに取り上げようと考えるのは、政治姿勢として間違いだ。国民が豊かになる手立てをしながら税負担をどうするのか考えるべきだ。(消費税などの増税に)断じて賛成しない。

 --民主党が消費増税にかじを切った場合、連立を組めないと判断することは。

 ◆消費税アップを決めるのであれば、そういう事態も予想される。民主党は前回の衆院選で(消費税率を)4年間上げないと言っている。上げるのであれば、解党しなければならない。

以上党首に問う:’10参院選 社民・福島瑞穂党首/国民新・亀井静香代表

毎日新聞 2010619日 東京朝刊より抜粋

・自民党の谷垣禎一総裁は20日、秋田市の街頭演説で参院選を中間試験に例え、「菅さんは自民党の答案を全部カンニングして、丸写ししている」と強調した。

・公明党の井上義久幹事長はNHKの番組で「消費増税は(菅首相の言う社会保障の充実ではなく)借金穴埋めのためにやるということだ」と批判。

・共産党の市田忠義書記局長は、民主党がマニフェストで法人税率引き下げを掲げたことに絡めて「(企業に)課税強化しないで国民に増税するのは、(民主党が提唱する)『生活第一』に矛盾している」と指摘した。」

以上Asahi.com消費増税めぐり与野党の議論活発に 首相の10%発言で2010620日より抜粋

自民党以外は増税に反対しているようだ。特に社民党福島党首は「消費税増税ではなく、法人税と所得税の最高税率を10年前に戻すことで4・2兆円が捻出(ねんしゅつ)できる。」と明言しているところに注目したい。

それでは何故今消費税10%なのか?

「◇税収増、6.8兆円?社会保障費の穴埋めに 成長促すには、さらに増税必要

 菅首相は18日、消費税率10%を目安とする根拠について、「高齢者(の福祉)にかかる費用は10兆円ほど足りておらず、毎年増えていくことを考えると、この程度の財源が必要」と述べ、増税分は社会保障の財源に充てる考えを示した。」

「しかし消費税収は地方に回す分を除くと6・8兆円しかなく、配分割合が同じなら10%にしても財源は単純計算で6・8兆円増えるだけ。しかも少子高齢化の進展で社会保障費は毎年1兆円以上増加する見通しだ。

 一方で、政府は来週発表予定の財政運営戦略と中期財政フレームで、国と地方の基礎的財政収支を20年度に黒字化するとの目標を示す方針。10年度は33・5兆円の赤字見通しで、消費税だけで赤字を埋めるには単純計算で10%を超える引き上げが必要になる。

 菅首相は、「増税しても使い道を間違わなければ景気は良くなる」として、増税で確保した財源を経済成長につながる分野に集中投資する考えを示してきた。社会保障費の不足額を埋めるだけでは、経済成長を促すことはできない。成長のために財源を使うことになれば更に増税幅が広がる可能性がある。」

以上 菅首相:「消費税10%」言及 閣内に亀裂も 亀井氏、「離脱」ちらつかす

毎日新聞2010619日 東京朝刊より抜粋

この毎日新聞の記事が一番纏まっているように思う。

 ひどいのは朝日新聞の社説である。民主党と自民党が同じ路線に向うことを大いに歓迎しながら、消費税が何故必要かということについては、あろうことかギリシャの財政危機しか挙げていない。対外債務と国内からの資金調達とは根本的に違うのだが、わざとそこに触れずに危機感を煽るのみだ。朝日新聞の劣化には心底辟易する。購読を止めて良かったとつくづく思う。

以下参院選マニフェスト―「消費税タブー」を超えて 7月の参院選は、日本の政治をもう一歩前進させる可能性がある。 朝日新聞2010618日(金)付 社説より抜粋

「有権者に負担を求める不人気政策からは逃げる。そんな政治の無責任が続いた結果、国と地方の長期債務は今年度末に860兆円に達し、国内総生産の1.8倍になる見込みだ。

 借金が税収を上回る惨状に加え、ギリシャに端を発したユーロ危機と世界の動揺。さすがの2大政党も、もう逃げられないと観念したのだろう。」

以上抜粋終わり

読売新聞の社説は消費税増税ありき、さらに10%では足りないという論旨であるが、まだ論理的な流れがあり朝日よりはましである。

以下消費税公約 引き上げを国民に堂々訴えよ620日付・読売社説)より抜粋

「先進国で最悪の財政状況を立て直し、社会保障制度を持続可能なものにすることが、多くの国民の願いだろう。それには、消費税率引き上げが避けて通れないことは明らかだ。」

何故明らかなのかというと

「国と地方の長期債務残高は、今年度末に860兆円と国内総生産(GDP)の1・8倍に膨らむ見込みだ。

 10年度予算は、税収が37兆円余りに落ち込み、44兆円に膨らんだ新規国債発行額を下回る異常な事態である。」から。

その上

「菅内閣が掲げる「経済・財政・社会保障の一体改革」を成し遂げるには、安定した財源があってこそである。

 だが、国の税収を支えてきた所得税や法人税は、長期不況や度重なる減税措置で大幅に減少している。頼みの綱は、景気による変動が少なく、国民が広く負担を分け合える消費税しかない。」

 先に見た社民党の福島党首が述べていた所得税・法人税の増税はまったく眼中にないようだ。

 

「世界的に見ても、25%の北欧諸国を筆頭に16~20%のスペイン、英国、イタリア、10%の韓国などと比べ、日本の消費税率5%は例外的に低い水準だ。

 読売新聞が6月に実施した世論調査では、消費税率の引き上げが必要と答えたのは66%で、必要ないとした29%を大きく上回った。国民の多くは、消費税の増税やむなしとの考えに傾いている。」

上の論理の補強として海外の税率と世論調査が引き合いに出されているが必ずしも消費税増税の積極的論拠にはなっているとは言いがたい。

しかし、消費税増税のみを解決策とするならば当然10%では足りないということには正直に言及している。

「5%の消費税率の1%分は、地方に回すことが決められている。さらに、地方交付税に配分される分もある。その結果、国が使える消費税は7兆円程度しかないのが現実だ。

 これでは10%に引き上げても十分とは言えないだろう。将来的には、欧州並みの15%以上への引き上げも考えるべきではないか。」

さらにご丁寧に低所得者の負担軽減にも触れている。

「低所得者の負担をどう軽減するかという問題もある。

 消費税は誰でも同じ税率がかかるため、所得の多い人より少ない人に相対的に負担感が増す。

 海外では、食料品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率を導入している。わが国でも検討すべきだろう。

 生活必需品の消費税額相当分を低所得者に還元する手法もある。対象となる世帯の所得を把握するには、税と社会保障の共通番号制度の検討を急ぐ必要がある。」

これに呼応するように菅首相は

「「消費税10%」に言及し、この問題の火付け役となった菅直人首相は20日、首都圏の2カ所で演説に立ったが、税率には触れなかった。ただし、横浜市の演説では「(低所得者ほど負担感が増す)逆進性をなくすため、軽減税率や税の還付をしっかりやることを前提に、野党にも議論を呼びかけている」と述べた。」

以上Asahi.com消費増税めぐり与野党の議論活発に 首相の10%発言で2010620日より引用

さらにテレビの映像で菅首相はギリシャを引き合いに出していたので朝日、読売の社説氏は鼻高々だろう。メディアの権力ここに極まれりというところだ。

以上をまとめると次のようになる。

・消費税増税について民主党内でもコンセンサスが取れているとは言いがたい。

・自民党を除く他党でも反対が多いがその論拠は社民党以外明確ではない。

そこで以下の疑問が生ずる

・社民党が言う所得税、法人税の増税は現実的なのか?

・民主党菅首相によると、社会保障費を捻出するため消費税10%が必要とのことだがどうやら10%では足りないようだ。実体はどうなのか?

・ギリシャの債務危機が引き合いに出されているが国債の引受先が海外か国内かで状況は一変する。日本の国債引受先とその意味するものは何か?

・ヨーロッパの効率の消費税が増税論の支援に使われているが、法人税、企業の社会保障負担、労働分配率など他の要素はどうなっているのか?

まず、今までの日本の財政をある程度俯瞰把握することが必要のようである。

明日から何回かに分けて書いてゆこうと思う。

2010年6月19日 (土)

消費税増税と居直強盗殺人犯、官僚を監視せよ他のブログや週間金曜日から、太っ腹NHKとテレビ朝日のワールドカップ見事な連係プレー、DAYS JAPANからなど

小泉が消費税について言っていたこと。

阿修羅より 引用はじめ

「増税してくれというまで削れ」首相、諮問会議で発言 asahi.com(リンク切れ)

 小泉首相が22日の経済財政諮問会議で「歳出をどんどん切り詰めていけば『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」200606272256

引用終わり

 

死屍累々のなか「命が惜しければもっと金を出せ」と匕首を首に突きつけて脅しをかける居直り強盗殺人犯が自公政権。

「この家土台がずいぶん傷んでますねー。すぐに直さないと家がつぶれちゃいますよ。」とやんわり恫喝して、やらずボッタくりのリフォーム詐欺が菅僚内閣。

「ラ・ターシュに魅せられて」谷垣サン! 大連立でいきましょ! あと、1ヶ月・・国民を欺けば・・その先には、バラ色の長期政権が待ってます! 菅直人」より引用

「ある人が・・はじめて君を欺いたとき・・・

貴方は・・その人を軽蔑すべきです。

しかし・・その人が再び・・貴方を欺いたとしたら・・・

そのときは・・、貴方は自分自身を恥じるべきです。」

引用終わり

小泉政権に熱狂した国民は官僚内閣にも大きな支持率を(今のところ)与えている。

キーワードは「高給官僚」の監視だろうか。

再び

「ラ・ターシュに魅せられて」より引用

「ではなぜ・・洗脳されちゃったのか・・・。

それは・・・100回言われたのでは無いのですね・・。

800回・・だそうです。

それも・・現官僚どもだけでなく・・・

過去官僚の・・Oとか・・Fなども一緒になって・・・」

引用終わり

植草一秀の『知られざる真実』菅政権=悪徳ペンタゴン派の疑いを検証すべき」より引用

「新政権発足からまだ10日しか経っていないが、新政権の基本スタンスが、米国、官僚、大資本の利害を代表する者にしか見えないことは極めて重大な問題である。

霞が関権力の中枢は財務省と法務省にある。菅新政権は財務省と法務省の利害との調和を求める方向に向かい始めているようにしか見えない。」

引用終わり

週間金曜日618日号「福島瑞穂前大臣鳩山由紀夫・小沢一郎・菅直人を語る」P15

「鳩山さんはなんとか国外、県外でまとめようと思っていたんですよ。それを支える鳩山チームがなく、官僚達による強烈な巻き返しにあったと思っています。」

同じく週間金曜日同号P18~P21「国策捜査 石川 知裕衆議院議員 収支報告書記載の日付ズレだけで逮捕してよいのか」青木 理

P19より引用 石川議員本人の言葉

「民主党政権では司法の分野が同変わっていくのかに検察庁がずいぶんと関心を持ち、民主党政権では取り調べ可視化などが現実に行われてしまうのではないかという恐れを抱いている印象を強く持ちました」

引用終わり

官僚は「官僚の無謬性」に基づく法律にがっちりと守られている。様々な政策では黒幕としてその実体は見えにくい。注視してゆかなければ行けないのは「高給官僚」。

金曜日の表紙の写真。福島瑞穂さん、人差し指ではなくて中指立てればよかったのに。

週間金曜日のHPここ。是非定期購読を。

DAYS JAPAN 20107月号 ToPICsより

・イスラエル軍ガザ支援船急襲P6~P7

・新宿御苑でミサイル訓練P8~P9

・裏切られ続ける沖縄の怒りP10~P11

日本とアメリカとの関係、アメリカの正体を考えざるを得ない写真三枚。

DAYS JAPANHPここ。是非定期購読を。

独立系のメディアは何とか生き残って欲しいものだ。

Daily Cafeteria崩壊しつつある米連邦国家。(誰がこのような国になりたいと思うのか)

より引用

「ニフティの『ご隠居系ブログ』というブログを読んでいたところ、『I eep』という名称の翻訳ニュース系ブログの存在を知った。

副題が「地球最期のニュースと資料」とあるように、その手のニュースを集めたブログには違いないが、きちんとソースを明らかにしている点で、信憑性に乏しい情報を興味本意でばらまくような類似のブログとは一線を画している事が分かる。

いくつか興味深いニュースが取り上げられており、特に最近の米国関連のニュースを抽出しただけでも、もはや、合衆()国としての紐帯も連帯も失われつつ恐るべき米国の“影の現実”が浮かび上がってくる。」

引用終わり

海外についても現場のニュースが重要なのだが実情はほとんど入ってこない。

南アフリカを襲った極端な寒波でペンギンが多数死亡」『I eep』本日の新着記事

ワールドカップで沸き立っているように見せかけている影でこんなことが起こっているわけだ。

イラクでのアメリカ軍ヘリコプターによる虐殺を写したショッキングなビデオがWikiLeaksから流れたがそのWikiLeaksが窮地のようである。

マスコミに載らない海外記事」「WikiLeaksに干渉するな!!」より引用

2010614

「イラクでアメリカ軍が行った虐殺を写した、政治上不利なビデオが公開されたのがきっかけとなって始めた取り締まり強化の中で、ペンタゴン当局は、ブラッドリー・マニング陸軍一等兵の拘留と、WikiLeaksウェブ・サイトの創始者ジュリアン・アサンジの居場所を見つけ出すための取り組みを強化することを発表した。

67日、国防省当局は、“軍事機密を漏らしたとされている”かどで、マニングがクウェートで監禁状態にあることを発表した。三日後、ペンタゴン捜査官は、マニング捜査に関連して、アサンジを探していると、ウェブ・サイトのデイリー・ビーストに語った。オーストラリア生まれのWikiLeak創始者は、先週ニューヨーク市とラスベガスで講演会出演を予定していたが、“警備上の配慮”を理由にキャンセルした。」

引用終わり

日本国内に目を向けてもメディアが伝える情報と身の回りの現実の落差には目を覆うばかりだ。

農と島のありんくりん宮崎口蹄疫事件 その32  もっとも恐れていた梅雨が来てしまった」より引用

「「みやざき」様の報告では(感謝!)、まだ川南地区の処分が終了していないそうです。理由は埋却地がないということらしいです。自分で探せとまで言われているとか。と言われてもあの狭い地域で見つかるはずもなく、折からの梅雨入りの大雨と重なって、いっそう困難さを増しているようです。

また宮崎市内の跡江地区では、先行して発症した豚のウイルス汚染された糞尿が下水(小川)を通して別の農家に流れ込み感染を拡大した可能性も報告されています。増水した排水路に流出した口蹄疫ウイルスは、その排水系統にある農家をことごとく汚染していきます。

現に大規模養豚農家がこの下流にあるようです。無事を祈ります。また宮崎市内といった交通が頻繁な場所にあるために、交通制限が難しく一般車両をとおした感染拡大も心配されています。」

引用終わり

もう宮崎口蹄疫はほとんど報道されていない。天気予報で南九州は豪雨の危険との情報が流れているにもかかわらず。

そして、表層の情報の位相がこれだ。

毎日NHKがサッカーワールドカップを長時間垂れ流し今日の7時のニュースもトップがワールドカップ、日本オランダ戦はテレビ朝日独占。受信料と税金使って、連日民放テレビ朝日のためのセールスプロモーション。今日の試合NHKBSで放映。さすが太っ腹NHK

オランダ1-0日本 お疲れ様でした。

2010年6月18日 (金)

民主党の新マニュフェストをざっと見てみる。英字サインは売国奴の証。新自由主義回帰宣言、疲弊耐菅僚内閣の「退散の道」

 まず、ざっと見てみた感想。

菅直人の署名が英字なのはなぜだ。気取っているのか。オバマへの恭順のメッセージか。売国奴の証か。

市民運動出身です、市民派ですと有権者におもねる菅直人HISTORYがうざい。

立憲主義が消えた。前回のマニュフェストで最後に恥かしげに掲げられていた

「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です」との文言は跡形もなくなった。憲法マニアの僕としては淋しい限りである。

中身について。

まず課題設定の焦点をずらしている。

「政治のリーダーシップを欠いたまま、産業構造や社会構造の変化に対応できていない政策を続けた結果、経済の長期低迷、財政赤字の拡大、社会保障の不安定化が進みました。」(マニュフェストP2)

 僕は雇用規制の破壊、社会福祉の破壊は過去の自公政権の強力な政治のリーダーシップにより完成されたと考えている。「政治のリーダーシップを欠いたまま」という認識には強い違和感を持つ。政権交代によって政権を得た民主党はこの前政権の政策に対するアンチテーゼを立てて推進すべきだと僕は思っていた。

 現に前鳩山政権のマニュフェストでは不十分ながら「命を大事にすることも、ムダづかいをなくすことも、当たり前のことかもしれません。しかし、その「当たり前」が、壊れてしまっているのです。」と主張していた。

 「政治のリーダーシップを欠いたまま」という認識から出発する菅政権は自公政権へのアンチテーゼを建てるという姿勢を捨てたと見るべきだろう。後で述べるが、自民党の提案する消費税10%を「わが意を得たり」と受け売りするところにその姿勢が如実に現れている。

 そして出てくるのが「第三の道」である。ちなみにマニュフェストの「第三の道」は「日本の新たな「第三の道」 」アンソニー・ギデンズ著の剽窃であろう。アマゾンの記述によれば、ギデンズは「自由市場主義」と「福祉国家主義」の弊害を乗り越え、両者をより高い段階で統合するという弁証法的な枠組みでの「第三の道」を提言しているようである。

 しかし、菅政権が掲げているマニュフェストによると「第一の道」は企業にお金をジャブジャブ注ぎ込みました、「第二の道」は企業に好き勝手させました、といことである。その後に続くのは「だから企業にはこういった政策はできなくなりましたのでこうします」というべきところ、これを隠蔽するために「第三の道」というキャッチフレーズが用いられ、誤魔化し韜晦しているに過ぎないと見るべきだろう。弁証法など入る余地もない。

だから採るべき「第三の道」の喫緊な課題は「環境問題」や「少子高齢化」という方向にずらさざるを得ない。企業にこうしますとの明言でもなく、人の命にかかわる雇用規制や福祉の修復でもない。そして出てくる結論は、企業に対して行う積極策および雇用規制破壊の放置により企業経済の拡大(強い経済)をはかります、それによって税収が伸び財政の再建(強い財政)がはれます、税収がのびれば「トリクルダウン」効果で社会保障の充実(強い社会保障)も図れますということだろう。

このマニュフェストの本質は「退散の道」であり新自由主義回帰宣言である。

 ギデンズの「第三の道」を僕は読んでいない。アマゾンの紹介を読んだだけで、北欧型の社会民主主義に対する見解がまったく異なっていると思ったからだ。僕は北欧型の社会民主主義は企業活動を規制しまくっているとは考えていない。労働分配の公平性と社会負担義務、消費者の安全で縛っておりその他の余計な企業規制は行っておらず、むしろ教育によって強く支援していると考えている。そして北欧型社会民主主義でも市場経済は十分に機能し、しかも教育に力を入れることにより国際競争力も維持していると思っている。

なぜなら、高負担、短い労働時間で十分国内需要を満たすことのできる高い品質の商品を供給することができ、しかも国際市場においても、日本でも話題となったスウェーデン・アパレル「HM」、フィンランドのNokiaなど十分に国際競争力を有する企業があるからだ。

 

話が横道にそれた。

マニュフェストに挙げられている「しかし、不幸の原因となる戦争や犯罪を排除し、病気や失業を予防、回復することは可能です。政治は権力であり、権力は人々の不幸の原因を取り除くことにこそ使うべきだと考えています。」(マニュフェストP4)という能天気な主張には次の言葉を引用しておこう。

引用はじめ

「全体主義は、近現代国家の明確な傾向特性である、と私は主張したい。全体主義の起源を明らかに二十世紀的現象として理解することは、監視技術の発達と工業化を遂げた戦争テクノロジーとの合体が生み出した、そうした政治的権力の基盤強化の分析を前提にしている。」「国民国家と暴力 」P337 アンソニー・ギデンズ著 

引用終わり

さて、「第三の道」という誤魔化し、韜晦に続く政策の具体例にも若干ふれておこう。

ざっと見渡してまず気になるのは次の二点だ。

一点目はP9の6雇用という項目である。

 鳩山政権時に掲げられていた

●常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します。

●中小企業を支援し、時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。

という項目はすっぽり抜け落ちてしまった。

 今回のマニュフェストに残った

「●2011年度中に「求職者支援制度」を法制化するとともに、失業により住まいを失った人に対する支援を強化します。」という制度については、生活保護申請における門前払い、水際作戦に大いに貢献していることを指摘しておこう。

「●非正規労働者や長期失業者に対して、マンツーマンで就職を支援する体制を整備します。」については現在もハローワークで様々な制度が紹介されているが、このような制度で救われるほど雇用情勢は好転していない。しかも様々な要件での縛りがあり非常に使い勝手の悪い制度となっている。もちろん生活保護の門前払い、水際作戦には大いに貢献している。

雇用規制の修復は捨て去り、おざなりの項目になっていると言わざるを得ない。

二点目は税制改革だ。

消費税についてはP8の「今すぐやること」のなかで

「●早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します。」とたった一言触れられている。たった一言のみだ。なぜそれが必要か、それがどのような効果を挙げるのかもっと丁寧な説明があってしかるべきだと思うのだが。

消費税を除いた税制の抜本改革の内容は法人税についてしか述べられていない。

 法人税については前回のマニュフェストにあった「●中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ、融資に対する個人保証を見直します。」を拡大具体化し

「●法人税率引き下げ

法人税制は簡素化を前提に、国際競争力の維持・強化、対日投資促進の観点から見直しを実施します。

あわせて、中小企業向けの法人税率の引き下げ(18%11%)、連帯保証人制度、個人保証の廃止を含めた見直しを進めます。」(マニュフェストP6)となっている。

 もちろん注目点は「国際競争力の維持・強化、対日投資促進の観点から見直しを実施します。」という文言だ。前回のマニュフェストでは中小企業の法人税率のみが掲載されていたが今回は全般的に見直すことが明記されている。

上述したP8今すぐやることには「●新たな政策の財源は、既存予算の削減または収入増によって捻出することを原則とします。」「2011年度の国債発行額は、2010年度発行額を上回らないよう、全力をあげます。」と述べられている。

法人税を減税してなおかつ国債発行額を抑えるために消費税がその穴埋めとして導入されると言うことなのであろう。所得税の最高税率の上昇や累進性見直しには、残念ながらというか、当然というか、一言も触れられていない。

そして、早くも10%に消費税を上げるという発言が菅総理の口からなされ、喜んでメディアが取り上げている。

Asahi.comより引用

「菅首相「消費税率、自民提案の10%を参考にしたい」」2010617

 「菅直人首相は17日夕、将来の消費増税について、東京都内で開いた民主党の参院選マニフェスト発表会見で、「今年度中に税率や逆進性対策を取りまとめたい。税率については自民党が提案している10%を参考にしたい」と述べた。税率を上げる前に解散・総選挙で民意を問う可能性については「あるべきことだ」と述べ、前向きな考えを示した。」

引用終わり

 10%という数字はすでに200658日に、経済アナリスト 森永 卓郎氏が「第30回消費税10%にこだわる財務省と自民党~増税なくして財政再建は可能~」で指摘している数字である。

 

 ところで、こんな記事を見つけた。

ロイター企業調査:成長阻害要因、「需要不足」が43 2010 06 17

引用はじめ

 「[東京 17日 ロイター] ロイターが実施した「6月ロイター企業調査」で、企業の成長を阻害している最大の要因を聞いたところ、「需要不足」が43%と最も多く、次いで「デフレによる収益伸び悩み」が21%に上った。」

引用終わり

そして、この記事の終わりは次の言葉で結ばれている。

引用はじめ(下線筆者)

「法人税率の高さ」を懸念する企業は複数あるものの、企業の成長を阻害する最大の要因として選択する企業はなかった。なお「その他」に回答した企業からは、原材料価格の高騰や欧州経済の鈍化などが挙げられていた。(ロイター日本語ニュース 寺脇 麻理記者)」

引用終わり

さて、ここで大きな疑問が沸き起こる。

「国際競争力維持のため法人税減税が必要」というのは企業のニーズにも合致していないのではないか。

そして、その穴埋めとして、さらに「需要不足」引き起こしかねない、消費税増税は新しく喧伝される「第三の道」として効果はあるのか。

菅直人は財務大臣時代に財務官僚から「学べば学ぶほど」必要だと吹き込まれ、自民と官僚が作った4年前の政策を、企業のニーズも国民のニーズも無視して、ただ焼きなおしただけではないのか。

 日本の国債引き受け先は約95%が国内だ。対外債務を抱えるギリシャとは根本的に異なる。本当に日本の財政は危機なのか。もう80年代から財政危機は叫ばれていたが、そのときよりも国債残高は膨大になっているが、いっかな破綻する様子はない。

 仮に財政が危機的状況だとして、その実体はどうなっているのか。その問題解決のために法人税減税と穴埋めの消費税増税が最適解なのか。

 そもそも日本はどのような国家像を模索しているのか。

 

 そのほかの項目も、今回は詳述しないがアメリカへの恭順と新自由主義への回帰という観点で読めば合点がゆくものが多い。

2010年6月17日 (木)

琴光喜の野球賭博とサッカーワールドカップ。同じ「物騙り」を感じる。

 子供の頃は相撲も野球も大好きだった。夕方、母親が晩御飯の仕度をしている台所からの良い香りにうきうきしながらばあちゃんと見ていた相撲中継。夏の夜にすいかを食べながら父親と一緒に観戦したナイター。どれも良い思い出だ。僕自身は球技よりも格闘技が得意なのでK-1が始まったときにはそれこそ熱中して見ていた。

そして、それももう昔話になってしまった。

 

今やメディアスポーツが騙る「物語」に辟易してしまうからだ。

メディアスポーツ解体―“見えない権力”をあぶり出す (NHKブックス) P78~P79 森田 浩之著

引用はじめ

「だが、それでも考えてみるべきなのは「なぜその物語なのか」である。甲子園について「自由奔放」「独創性」「アイデア」が語られないのはなぜか。高橋尚子の優勝について「偶然が生んだ金メダル」というストーリーがほとんど聞こえてこなかったのはなぜなのか。それは物語が作られるときの「動機のボキャブラリー」が文化のなかで決まっているためだと考えられる。

 私たちは「動機」というものを、行為や行動の原動力となる心の状態と捕らえがちだ。あの行為は「嫉妬」のためだろう、この行為は「保身の」ために違いないといった具合である。しかし、そのように与えられた動機を示す言葉は、いわば「後付」に過ぎないという見方を示したのが、社会学者のC・W・ミルズだった。

 ミルズは「状況化された行為と動機の語彙」と題する論文の中で、動機というものを、むしろ人々が他者や自分自身の行為を解釈し、説明するために使う「類型的なボキャブラリー」と位置づけた。動機は人間の内面にあるのではない。動機とはボキャブラリーであり、行為者の外側にある言語世界、社会的なシンボルの世界に位置するものだという。ミルズによれば、どんな社会にも動機に関する「類型的なボキャブラリー」が存在している。人々はあらかじめ用意されたボキャブラリーから適切なものを選んで、他者あるいは自己の行為を説明し、理解しようとしている。

 メディアスポーツの作る物語にも同じことが言えるだろう。「今度こそリベンジを果たそうとチームが一丸になったことが勝利につながった」「あのプレイが大事なところでできるのは、日ごろから集中してトレーニングしているからだ」といったゲームやプレイを理解しようとするための語彙は、あらかじめ文化の中に用意されているものだ。」

引用終わり

 そして、日本の文化のなかであらかじめ用意されている語彙や「物語」というものの貧弱さ、あざとさには心底うんざりさせられる。

 それは「日の丸」「君が代」であり「倫理」や「道徳」を表向きは異常に尊ぶ「社会」であり「自己責任」と「勝ち組」の「物騙り」だ。

日の丸を背負った選手達が勝った、日本はすばらしい。岡田監督の采配、戦略が云々。

又、勝った時にも負けた時にもビジネスとのアナロジーが喧伝される。実際は会社での昼飯時や飲み会での暇つぶしのネタとしてだらだらと消費されるだけだ。

 日本の国技である相撲の関取が賭博に関っていた。けしからん。朝青龍のときもそうだ。あれがけしからんこれがけしからん。文部科学省などという、それこそ日の丸君が代洗脳教育にまい進し、ご丁寧にも学校教育の武道に相撲まで入れた輩。こんなのが絡んでくるので、日本の国技という建前の「物語」にはなんとしても傷をつけたくないのだろう。どうせ体裁だけ取り繕っておんなじことが又続いてゆくだろう。問題の本質を隠し通す。それが官僚の最大の役割だ。

そもそも相撲など昔から胡散臭い噂が絶えなかったではないか。プロ野球だって相撲だって暴力団との関係なんて僕が子供のときから見聞きしていた。そんなものは周知の事実だろう。だいたい、銭金を目的に精進するのがプロのスポーツ選手だ。これに道徳だの倫理などを盾に偉そうに「かくあるべし」と宣伝する奴ら。そいつらの言説のほうがよっぽど胡散臭い。

 プロスポーツやそれに準じるスポーツにメディアが席巻されるときいつも感じることがある。

 いわゆるスター選手やそれを放映するメディアの莫大な報酬はどこから来るのか。偉そうに御託を並べるテレビのコメンテーターの報酬はどこから来るのか。派遣や非正規雇用、今や正社員も含めて、企業が社員から搾り取った銭ではないか。その銭がスポンサー料、広告宣伝費としてどぼどぼ流れ込んでいるのではないか。そして、スポーツに熱狂する人々に恥かしげもなく「物騙り」を刷り込み、銭を巻き上げ、銭に群がる有象無象がたっぷりと潤う。

 スター選手になれなかった人々はどうなっているのだ。努力をしても才能と運に恵まれなかった人々が極貧にあえいでいてもそれは「自己責任」か?

 そんな構造から垂れ流される、「ニッポン」だの「努力」だの「家族愛」だの「倫理」だのといった「物騙り」には心底うんざりする。

 小泉が日本を壊してから、スポーツ観戦も心から楽しめなくなった。

 せめて、選手の素晴しいプレイに集中できるように、余計な解説やタレントの馬鹿話、アナウンサーの戯言で煽るのは止めたらどうか。

2010年6月16日 (水)

貧困ビジネス?に遭遇。刺青の男が!

週末の土曜日。ようやく生活保護申請にこぎつけたAさんが、今まで身を寄せていたところから若干の着替えや炊事道具を運び出し、住む家を探すことに。

 朝、車で今まで住んでいた家に行き荷物の片付けと搬出をお手伝い。とにかく、今にもつぶれそうなあばら家。トイレも風呂もなく、水道と電気が使えるだけ。一体築何十年の家なんだ。中でごそごそやっていると、外から人の気配が・・・

「誰に断って中に入っているんだ!!」との怒鳴り声。

「ここは俺の家だ。不法侵入で警察呼ぶぞ!!」

見ると、腕に刺青の入った怖そうなオジサンが目をむいて睨みつけている。しかし、どうもホンマモンのその筋の方々が放つ凶暴なオーラは感じられない。

 不法侵入とはしゃらくさい。

「お騒がせして申し訳ございません。すぐ出てゆきますのでもう少々お待ちください」

相手の目を見据えながら軽く頭を下げ、えらく慇懃無礼なせりふが口をついて出る。

 そのオジサン、コロッと態度を変えて

「まあ、俺もあんまりうるさいことは言いたくないんだけどね・・・」

しかし、Aさんのビビリかたが半端じゃない。いったいこのオジサンにどんな目に合わされていたんだ?

スポーツバック一つと、小さなダンボールを車に運び込み、不動産屋への道すがら。

 脱出に成功したAさんよほど嬉しかったのか、いつもより饒舌だ。

「さっきのオジサンが身を寄せていた家の持ち主なの?」

「そうだけどあいつの持ち物かどうかなんてわかったもんじゃない。」

「何かあんまり友達、とか知人って感じじゃなかったけど」

そこでAさんあのオジサンに対しての悪態、恨みつらみを滔々と。

「あの家、ほかにも誰か住んでるみたいだったけど?」

3人住んでる。一人から月2万円取ってる」

「えーっ?ただで住まわせてもらっていたんじゃないの?あの家で3人で6万円?ボーリをむさぼってたんだな、あのオヤジ。前の話だと好意で身を寄せていたんだと思ってた。」

「いや、実は金が払えなくなったから追い出しかけられていた。」

「あのオジサンはなにやってる人なの?隣があの人の家でしょう?あっちもずいぶんひどいあばら家でまるでごみ屋敷みたいだったけど。」

「わからん。時々使えそうなごみ拾ってきてちょっと直して売ってるみたいだったけど。」

Aさんはその家に転がり込む前はホンマモンのヤクザがやってる土建現場のたこ部屋にいて、働いても働いても寮の家賃やら一日一回しか出ない食事代やらに金を差っぴかれてちょっとしか手元に残らなかったそうだ。そこを逃げ出すときに、かのオジサンのことを同じ職場の人から聞いて頼っていったそうだ。そして、そのなけなしの蓄えも食い物にされたというわけだ。

貧困ビジネスという言葉がある。しかし、これはビジネスというほど洗練されたものではない。弱いものがさらに弱いものの足元を見て食い物にする。ただそれだけだ。そしてそのネットワークが口コミで広がり、追い詰められた人々がその網に易々と引っかかる。

その日は、生活保護でまかなえる家賃のアパートがなんとか見つかり、保証人の問題ですったもんだしたがなんとかけりがつき、夕刻大急ぎで不動産屋さんと一緒に大家の豪邸に行き契約。

そのまま、即日入居となって一件落着。支援物資を届けてその日一日は終わった。

心地よい疲労感とちょっとした達成感。のはずだったが。

「最小不幸社会」という、菅直人の人を食った下衆なキャッチフレーズを思い出し、むかむかむかー。

2010年6月15日 (火)

宮崎県口蹄疫拡大。官僚クーデターの疑惑は深まる。

69日のエントリー「RNAウイルスの疾病に官僚が介入すると問題は極めて重篤化する。その3.口蹄疫の場合 赤松農林大臣はなぜ辞めたのか」で

宮崎の口蹄疫問題で抱く素朴な疑問。

1.なぜ、これほど被害が拡大したのか。

2.なぜ、あれほど大量な家畜が殺処分されなければならないのか。

という2点の疑問を挙げた。

1.について農と島のありんくりん」というブログが丁寧にフォローされている。

特に宮崎口蹄疫事件 その14  被災農家が受け取るべきなのは、「補償」ではなく、「賠償」だ!というエントリーは実際に農業畜産を営む方の率直なそして理知的な怒りがひしひしと伝わる。口蹄疫をまじめに考える方々には必読のブログだと思う。

又、「池田香代子ブログ」「宮崎の家畜はなぜ殺される」からたどり着いた原田 和明氏による「宮崎口蹄疫騒動を検証する」も読み応えがある。第4回から以下引用

「自作自演の騒動に最初から翻弄されている農水省というお粗末な構図ならば、世界の口蹄疫封じ込めの経験と知識を持つFAOの専門家チームなど受け入れられるはずがありません。この仮説に矛盾はないのか、これからもう少し検証を重ねていきます。」

引用終わり

上述した農と島のありんくりん」の「宮崎口蹄疫事件 その21  NHKクローズアップ現代「口蹄疫初動はなぜ遅れたか」を見て」ではイギリスの対応政策を評価しているが、僕は別の観点から非常にいやーな感じをうけた。巨大なブルドーザーで運ばれる大量の豚の死骸、焼かれ、埋められる現場の映像に、ホロコーストや日本での原爆投下、東京大空襲などで無造作に扱われた大量の死体を思い起こしてしまったからだ。そもそも、イギリスは肉骨粉を使った牛の共食いを推進し、BSEによる多大な被害を被った国である。

1998年頃「死の病原体プリオン」を読んで、BSEやクロイツフェルト・ヤコブ病に「共食い」という共通の原因があることを知り、当時猛威を振るっていたいわゆる職場のリストラも同じような「共食い」で、会社の脳のスポンジ化が進むのだろうな、との非常にいやーな感じを思い出してしまったからである。

それで、僕としては2.なぜ、あれほど大量な家畜が殺処分されなければならないのか、という疑問を追求してゆきたい。

まず、口蹄疫は伝染性が強い、感染した牛や豚は摂食や歩行障害を起こすので畜肉としての経済価値が失われる。だから患蓄や擬似患蓄は速やかに殺処分しなければならない。という言い分に対して。

口蹄疫非清浄国である中国での豚肉の生産高は世界トップである。又、牛肉についても中国はアメリカ、ブラジル、EUに次いで第四位、オーストラリアを上回る生産量を誇る。

「独立行政法人農畜産業振興機構 統計資料一覧」

主要国の畜産物概況 肉牛・牛肉(2009年)肉豚・豚肉(2009年)参照

(一番下のbeef2009 pork2009 エクセルファイルを参照してください)

口蹄疫非清浄国だからといって畜産が壊滅するわけではないのである。

 それでは、なぜ殺しまくらなければならないのか?

法律上の根拠は

家畜伝染病予防法

(定義)第2条 この法律において「家畜伝染病」とは、次の表の上欄に掲げる伝染性疾病であつてそれぞれ相当下欄に掲げる家畜及び当該伝染性疾病ごとに政令で定めるその他の家畜についてのものをいう。

2 この法律において「患畜」とは、家畜伝染病(腐疽病を除く。)にかかつている家畜をいい、「疑似患畜」とは、患畜である疑いがある家畜及び牛疫、牛肺疫、口蹄疫、狂犬病、鼻疽又はアフリカ豚コレラの病原体に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう。

(と殺の義務)第16条 次に掲げる家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。

1.牛疫、牛肺疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの患畜

2.牛疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの疑似患畜

前項の家畜の所有者は、同項ただし書の場合を除き、同項の指示があるまでは、当該家畜を殺してはならない。

 家畜防疫員は、第1項ただし書の場合を除き、家畜伝染病のまん延を防止するため緊急の必要があるときは、同項の家畜について、同項の指示に代えて、自らこれを殺すことができる。

そして、これに違反すると刑罰の対象となる。

第6章 罰 則 第63条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

1.第13条第1項(第62条第1項において準用する場合を含む。)の規定に違反した獣医師又は所有者

そして、新たに定められた口蹄疫対策特別措置法では

(患畜等以外の家畜の殺処分等)

第六条 都道府県知事は、法第三章に規定する措置だけでは口蹄疫のまん延の防止が困難であり、かつ、急速かつ広範囲にわたる口蹄疫のまん延を防止するためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が口蹄疫のまん延を防止するために患畜等以外の家畜の殺処分を行う必要がある地域として指定する地域内において都道府県知事が指定する家畜(患畜及び疑似患畜を除く。)を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができる。

前項の勧告を受けた者が当該勧告に従わないとき又は家畜の所有者若しくはその所在が知れないため同項の勧告をすることができない場合において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができる。(下線筆者)

と規定され、患蓄、擬似患蓄以外もいくらでも殺処分ができるようになった。

なぜこれほど殺戮を拡げなければならないのか?これらの法律を成立させるための根拠は何か?ということについて僕はOIE(国際獣疫事務局)のRecovery of free status (清浄地位の回復)の条件が決定的に重要だということを示した。

 すなわち、清浄地位の早期回復にはOIEの定めるstamping-out policy、いってみれば「皆殺し政策」を踏襲し、緊急ワクチン接種をした場合にはワクチン接種をした家畜を全て殺処分しなければ3ヶ月の待機期間では済まないということが重要だと指摘した。

(OIEの条文については鹿児島大学獣医公衆衛生学教授 岡本嘉六氏が「口蹄疫に関する陸生動物衛生規約の条項」において翻訳をされているので、僕の拙い翻訳よりもこちらを参照願いたい。又、岡本教授による口蹄疫情報Foot-and-mouth disease (FMD)も専門的見地からの豊富な情報が満載されているので是非ご参照ください)

 さらに、OIEは清浄国、清浄地域について

1.FMD free where vaccination is not practised(緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国)

  このリストは20105月に改定されたものなので、もちろん日本の名前は無い。日本が多くの食肉を輸入しているオーストラリア、USAなどはこのカテゴリーに含まれる。

2.FMD free where vaccination is practised(ワクチン接種をしている清浄国)

  これはウルグアイのみだ。

3.FMD free zone where vaccination is not practised(緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄地域

  このカテゴリーには世界でも有数の牛の産地アルゼンチン、ブラジルの特定の地域が含まれている。

4.FMD free zone where vaccination is practised(ワクチン接種をしている清浄地域

  このカテゴリーにはアルゼンチン、ブラジルのより多くの地域が含まれている。

以上4つのカテゴリーを設けているにもかかわらず、日本政府は1.の「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」への復帰にこだわるのかという疑問を掲げ、それは畜肉の輸出よりも輸入が問題になり、日本が「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」へ復帰できない場合、他のカテゴリー国、地域からの輸出圧力が強まる、結果豚、牛共に日本への大きな輸出シェアを占めるアメリカの怒りを買うことになるからではないかという推論を述べた。

上記の推論を裏付けるデータを以下いくつか提供してゆきたいと思う。

OIEリスト「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」65カ国

家畜伝染病予防法施行規則(輸入の禁止)第43条で対象外となっている国41カ国(内2カ国は清浄国以外リヒテンシュタイン、北マリアナ諸島)

2009年牛肉輸入対象国7カ国

2009年豚肉輸入対象国20カ国(清浄国以外、タイ、韓国含む)

清浄国、輸入国突合せリスト参照(OIEリスト、家畜伝染病予防法施行規則、財務省貿易統計より筆者作成)(一番下のtukiawase エクセルファイルを参照ください)

実際の輸入国はぐっと絞られている。この絞りはだれがかけているのか。

日本の輸入対象国は農水省で決めている。国会会議録検索システムより2000年の口蹄疫後の農林水産委員会で下記のような問答がある。以下引用

- 農林水産委員会 - 5号 平成130322

○風間昶君 ありがとうございます。

 話題を変えまして、口蹄疫についてちょっとお伺いしたいんですけれども。

 どうもマスコミ報道が、過大報道もあるわけでありますけれども、いずれにしても、イギリスを中心として被害が拡大してEUにも大きな影響を及ぼしている。じゃ、我が国に対してはどうなのか。きょうちょっと新聞記事にも出ておりましたけれども、食品はオーケーで、化粧品はだめだと。牛や豚の胎盤から出るやつですけれども、ちょっと新聞報道もありましたが。

 まず、禁輸地域の拡大についてどう考えているのかが一つ。

 

○政府参考人(小林芳雄君農林水産事務次官) まず、私の方から今の禁輸の状況等について御説明申し上げます。

 御承知のように、口蹄疫につきましては、これは従来から南米とかそういったところでも結構発生しております。そういう中で、いわゆる清浄国ということで認められている国は、OIE、国際獣疫事務局でいきますと大体五十カ国、その中で、私ども現在清浄国として日本として認めている国は二十九カ国でございます。(下線筆者)

もう一つOIEの日本代表は農水省、消費安全局の衛生管理課長らしい。(OIEとBSE関連の国際基準について)

財務省貿易統計から作成した「牛肉豚肉輸入推移」(筆者作成)からは面白いことが判る。

(一番下のsuii エクセルファイルを参照ください)

牛肉については08年から09年にかけてアメリカからの輸入が顕著に増加、逆にオーストラリアからの輸入は減っている。100g単価が高いにもかかわらずだ。

なおかつOIEのBSE清浄国リストを見ると

free from BSE  Australia, Argentina, New Zealand and Uruguay.

provisionally free from BSE  Chile, Iceland, Paraguay and Singapore.

となっている。なぜBSE清浄国のオーストラリアからの輸入が減ったのだろうか。

豚肉については豚インフルエンザの影響もあり輸入量全体が減少しているがアメリカはシェアはキープしている。なおかつ、輸入豚肉の100g単価は輸入牛肉の100g単価よりも高い。

日本国内の高い牛肉価格を基準として、アメリカも日本の輸入業者も小売業者も高い利益率を維持している構造が透けて見える。

さらに過去のBSE、口蹄疫が問題になった時期の議事録を「国際獣疫」で検索してみると、必ず農水省の官僚がその基準などを答弁している。

しかし、今回の口蹄疫問題で検索するとたった1件だけしかも自民党議員が2000年の実績を誇る言葉に出てきているに過ぎない。以下引用

「衆 - 本会議 - 33号平成220531

日○小里泰弘君 自由民主党の小里泰弘でございます。

自民党農林部会を朝昼晩と毎日開催し、悲壮なまでの激論を交わし、関係者一丸となって臨んだこのときの初動防疫は、OIE、国際獣疫事務局により、日本の畜産、獣医の底力が世界に示された快挙、関係機関一体となった対応は世界に類を見ないと、極めて高い評価を得たのであります。」

引用終わり

しかも特別措置法についてはろくな議論もされないまま決まっている。とにかく現状の感染拡大を抑えるために、この特措法の背景も、国家としての方向性も、畜産における国家戦略も何も官僚から知らされずに、ただただあわてて特措法成立に急いだ雰囲気が濃厚である。

午後31分休憩直前

以下引用

「衆 - 農林水産委員会 - 14 平成220526

特措法の必要性について

○赤松国務大臣 これは与野党間で協議をされているということで、その協議の最中で、まだ結論はどうなったかも聞いていませんので、そういう段階で、ここは必要だ、ここは必要じゃないとかいうのはいささか問題があるんじゃないかと思います。

 しっかりと委員の皆さん方が、今の制度、法律の中ではここが足りないんだ、ここを補強しなきゃだめなんだということを議論していただくことは大変ありがたいことだと思っておりますし、その中身が合意のもとにもし出されるということであれば、それは決して否定するものでもない。むしろ、私どもがそれでよりやりやすくなれば、歓迎すべきことだというふうに思っております。」

引用終わり

赤松大臣はこの時点では特措法については知らない。しかし約4時間半後

740分開議以下引用

「○筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、口蹄疫対策特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

○筒井委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕」

引用終わり

という形で衆議院農林水産委員会であっという間に可決されている。

参議院ではたった7分間だ。以下引用

- 農林水産委員会 - 10 平成22052891分開議

○委員長(小川敏夫君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。

 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。

 口蹄疫対策特別措置法案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

7分間」

引用終わり

東国原知事は自らのブログ525日付け「家伝法及びガイドライン」でこう述べている。

以下引用

 「どうも、現行の法に忠実にということである。 種雄牛49頭については、国はPCR検査・抗体検査等はしてくれないであろう。何故なら、疑似患畜同一農場と見なされているからである。そもそも、飼養管理者が同一の場合、農場が離れていても他の農場の牛豚も全て疑似患畜とされること自体が些か疑問である。」

引用終わり

まさしく、なぜこれほど殺さなければならないのか、その根拠を知らされていないことを自ら吐露しているのである。

僕の推論をまとめてみる

口蹄疫の発生からの初動が遅れたのは2000年の経験に寄りかかって県や国の官僚がRNAウイルスを甘く見た可能性が高い。

又、農水省の官僚は口蹄疫の拡大により民主党にダメージを与えられるという「未必の故意」があったのではないか。それゆえ、赤松前大臣に重要性を進言せず外遊へ誘ったのではないか。

そして、予想外の感染のスピードと広がりに、これも大臣や知事さらには殺処分の対象となった畜産家に対しても、ろくな説明をせずに、法を盾にするだけの強攻策に突っ走ったのではないか。特措法をスピード成立させたのではないか。

日本の畜産のあり方、貿易戦略は規定のまま、アメリカの権益は所与の前提で、しかもそのことはおくびにも出さず、大臣、議員、知事、畜産農家をたばかりながら強攻策を進めているのではないか。

赤松前大臣が辞任したことにより、民主党内閣は農水省の力、官僚クーデターの恐ろしさを思い知ったのではないのか。

以上は全て官僚クーデターの間接証拠、状況証拠から導いた僕の推論に過ぎない。もし、僕がプロのジャーナリストならばこのような推論をもとに実際の取材を進めるだろう。しかし、今の日本のジャーナリズムにそんなことを求めるのはないものねだりなのだろうか。

以下毎日新聞より引用

口蹄疫:20日までに処分終えるめど立つ 官房長官報告

仙谷由人官房長官は14日午前、首相官邸で開かれた口蹄疫(こうていえき)対策本部の会合で、宮崎県内で感染が確認されたり、感染の疑いのある牛や豚(感畜・疑似感畜)について、20日までに処分を終えるめどが立ったと報告した。内閣官房によると、感畜と疑似感畜計20万頭のうち、これまで約17万頭を処分したが、3万頭は処分の見通しが立っていなかった。

 菅直人首相は対策本部で「九州全土に広がるか広がらないかの瀬戸際だ。どーんと人を派遣したい」と述べ、防疫や牛・豚の埋却処分に携わる警察官や自衛隊員の増派を検討する考えを表明。その上で、感染拡大防止を第一に全力で取り組み、経営再建にも国が責任を持って支援する▽国、県、市町が役割分担し作業を進める--ことを指示した。

 現地には、既に警察官、自衛隊員がそれぞれ約300人規模で派遣されているが、首相は12日の宮崎県視察を踏まえ「現地からすると『何でもっと来てくれないんだ』とやり場のないいらだちを、強く国に向けて言われた」と説明した。【青木純】

毎日新聞 2010614

引用終わり 

殺処分や埋却処分が終われ全て終わりという能天気な調子。何が「どーんと人を派遣したい」だ。まったくことの本質を理解せず、畜産農家の悲しみに思いをはせることもなく、調子よく「どーんと」だって。すっかり官僚の手玉に取られてずいぶんご機嫌のようだ。その能天気さに虫唾が走る。おまけにこの記事、患畜を感畜と間違えてやがる。せめて菅畜にしておけばまだ良かった。菅畜生め。もとい、こん畜生め。

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2010年6月14日 (月)

亀井静香も切られた。目を覆うばかりの民主党の変質

普天間移設問題で社民党の福島瑞穂が切られた。

普天間移設問題で官僚に屈服し外交案件の国会チェックを無力化し、福島瑞穂を切った鳩山由紀夫は用済みとなり切られた。

小沢一郎が切られた。

「政治と金」の問題に矮小化された特捜検察、検察審査会の攻撃は効を奏した。

鳩山の後任は菅直人。

菅直人はとっくに官僚に屈服していた。以下、池田 香代子さんのブログより引用する。

池田 香代子ブログ菅さんが官僚の術中に陥った瞬間を憶えておく」より。

「市民派で政策通で、出処進退や攻め時攻めどころの見極めに鋭い勘をもちあわせ、なにより官僚との対決も厭わないといった評判の菅さんですが、財務相時代は、うつむいて官僚が書いたペーパーを棒読みする姿ばかりが目立ちました。野党時代のあの舌鋒鋭くまくしたてた菅直人はどこへ行ったのか、と思わざるを得ませんでした。

その謎の答は、今年1月26日の国会答弁にあります。子ども手当にまつわる消費性向と乗数効果を質問されて、立ち往生してしまったのです。官僚が、参考資料をつくらなかったのです。官僚の典型的なサボタージュです。財務大臣がこれしきの質問に答えられないというのは、たしかに問題ではありましょう。けれど、自分たちが仕える大臣の、経済理論にかんする認識に弱点があると察知したら、フォローするのが官僚の仕事です。それをあえてさぼった。財務大臣になって19日目、菅さんは衆人環視のなかで恥をかかされ、それ以来、官僚のペーパーをひたすら読み上げるようになりました。ほかのいろんなことでも、財務官僚の言いなりになってしまったのではないでしょうか。

財務省は今、自分たちが牛耳ることに成功した元大臣が総理大臣になったのですから、笑いが止まらないでしょう。これで、菅内閣のもとで悲願の税制改革(消費税率上げ)ができるのです。以下に問題の答弁映像を引用するのは、菅さんには申し訳ないけれど、役人はこういうことをするということを忘れないため、ただでさえ見えにくい官僚組織の動きに、今後私たち市民が少しでも監視の目を光らせることができるようになるためです。そして、これから菅さんが官僚の旧体質とたたかいつつ、本来の公僕としてその力を発揮してもらおうとするなら、それにかんしては応援を惜しまないと申し添えておきます。」

引用終わり

その菅直人が敷いた布陣

切られた小沢幹事長の後任は枝野。

切られた平野官房長官の後任は仙北。消費税推進論者。平野は用済み。

切られた赤松の後任は山田。口蹄疫問題で詰め腹を切らされた可能性。

荒井が入閣。すでに事務所費問題で恫喝済み。

野田が入閣。消費税推進論者。

蓮舫が入閣。すでに事務所費問題で恫喝済み。

玄葉が入閣。消費税推進論者。政調会長兼務。

そして、亀井静香が切られた。郵政問題も後戻りする可能性大。

すでに、民主党内閣は官僚の手に落ちたと見ざるを得ない。

今後は官僚組織への監視と批判を強めていかなければならない。普天間問題、政治と金については官僚の逆襲についてかなり書いた。口蹄疫、消費税、郵政についても取り上げてゆきたい。

最後に以前のエントリーで示した「公権力の形、憲法の規定、政権交代前の実態、現状イメージ図」を再掲する。

現状イメージ図は政権交代前の実体にかなり近づきつつある。

憲法の規定

政権交代前の実体

現状イメージ図

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2010年6月11日 (金)

蓮舫、川端両氏にも事務所費疑惑。ファシズムへの暗い予兆

蓮舫、川端両氏にも事務所費疑惑。ファシズムへの暗い予兆

 すでに官僚の手のひらで転がされている疲弊耐内閣の菅僚どもだが、駄目押しの恫喝が行われているようだ。

事務所費疑惑 蓮舫・川端両氏も追及へ 自民、質問主意書を提出

 産経新聞 2010610日(木) 以下引用

 「自民党は9日、荒井聡国家戦略担当相に加え、蓮舫行政刷新担当相と川端達夫文部科学相にも事務所費を不正処理した疑いがあるとして、事実関係を政府にただす質問主意書を衆院に提出した。」

引用終わり

 このブログを読んでいただいてる方々はとっくに気づいていると思うが、僕は民主党を支持する、支持しない、小沢氏を支持する、支持しないというような立場には立っていない。

 僕がいつも注目するのは、国会、行政府、司法の公権力行使が、憲法の立憲主義に照らして妥当なのか、又、本来、一般国民に代わって、常に公権力行使を監視、批判し警鐘を鳴らすべきジャーナリズムの役割を、現在のマスコミが真っ当に果たしているのかという点だ。

 そして、この観点から、昨日の荒井大臣、今回の枝野、川端大臣に対する事務所費問題の発覚は二つの点で重大な問題をはらんでいると思うのだ。

 まず一点目

 政治資金規正法の刑罰規定が大変曖昧だということだ。そして、この点を利用して、警察及び検察官僚が怪しげな市民団体やマスコミと結託し、恣意的な刑罰権の発動により、国民の代表たる国会議員、又、住民の代表である知事、地方議会議員の地位をほしいままに蹂躙しているということである。

News Spiral 2010430

郷原信郎:検察審査会の「起訴相当」議決について...とんでもない議決、あぜんとした

から、あらためて引用する

 「まさか、支出の時期が、土地代金の取得時期がズレたのに伴って、代金の支払いの事実が2カ月ほどずれていた、たまたまそれが年度をまたいだということが、虚偽記入でとらえられるとはまったく思っていなかったし、それが、国会議員を起訴に値する事実だとは私には到底思えません。」

引用終わり

以上を僕なりに解説してみる。

政治資金規正法では何が「虚偽の記載」に当たるのかは明示していない。それゆえ、警察、検察の恣意的な解釈によって「虚偽の記載」の内容が不当に拡大される恐れがある。

石川議員の行為が本当に「虚偽の記載」という構成要件に該当するのか?

また、仮に、「虚偽の記載」という行為が認められても、それが果たして刑罰を加えるだけの悪質性を持ち、非難に値するのか、その悪質性は立証されているのか?という問題点が指摘されている。

そして、小沢氏に石川議員との共謀共同正犯が成立するのかという部分では、先のエントリーで指摘したように共謀概念の不当な拡張が検察審査会の「善良な市民」によってなされているという問題がある。

本来刑罰は過酷な人権侵害を伴う公権力の行使なので、謙抑的に発動されなければならない、というのが刑事司法の原則である。憲法の規範である。これに、妥当するだけの立証がされていない、なおかつ、国民の代表である国会議員の地位を、検察特捜及び検察審査会の恣意的な判断によって、危険にさらすことは民主主義の破壊につながる。

自民党の議員は事務所費問題によって閣僚辞任に追い込まれたが、刑事事件化することは無かった。しかし、政権交代後これを善しとしないしない勢力や官僚によって自由に刑事事件化することも、恫喝を加えて事件化しないことも可能となった。そして、荒井大臣、枝野幹事長、川端大臣の事務所費問題が、この種の攻撃が手を変え品を変え頻繁に行われうるということを示している。何が「虚偽の記載」に当たるのかが明確ではないので荒井大臣、枝野幹事長、川端大臣がどれほど問題は無いと主張し、領収書を公開しても、その当否は警察や検察、刑事告発をする側に事実上ゆだねられている。どの国会議員もいつどんなことで不意打ちを食らうのかと恐れながら、官僚組織に迎合しながら活動をしなければならなくなった。この件が立ち消えようと、事件化しようと民主主義の危機が深化していることは間違いが無い。

第二の問題として、有権者国民がうんざりするということがある。せっかくの政権交代によって、政治への関心が上向いたが、このような問題が頻発することによって政治への失望感が広がるだろう。時の政権が何をしようとしているのか、という問題から目をそらされ、妬み嫉みを刺激するスキャンダルにとらわれ有権者国民が政治の本質への関心を失うことは、公権力、特に官僚にとっては誠に都合が良い。マスコミと結託した官僚どもがこれから何度でも国民の怒りを誘発し失望に誘う事件を捏造してゆくだろう。

すでに日本はファシズムに侵食されている。

国民は政治では何も変わらないと諦める。日々のつらい生活、日々のつらい労働、不測の事態による突然の生活破綻への不安。自分が公権力によって何をされているのかさえ理解できないまま孤独と無力感にさいなまれる。しかし、

「この個人の孤独と無力の感情を、一般の普通人たちはまったく意識していない。それはかれらにはあまりに恐ろしすぎるのである。それは毎日の型のような活動、個人的また社会的な関係において見出す確信と賞賛、事業における成功、あらゆる種類の気晴らし、「たのしみ」「つきあい」「遊覧」などによって、覆い隠される。しかし、暗闇で口笛を吹いても光は現れない。孤独や恐怖や混迷は依然として残る。ひとはいつまでもそれにたえることはできない。かれは「・・・からの自由」の重荷にたえていくことはできない。かれらは消極的な自由から積極的な自由へと進むことができない限り、結局自由から逃れようとするほかないであろう。」(「自由からの逃走 新版64P150エーリッヒ・フロム著)

 

僕が想定しているファシズムとは国民経済の疲弊で社会が不安定化するときに、行政権力が議会や主権者のチェックやコントロールを封殺、権力を独占し、なおかつ大部分の国民がその独裁権力に盲目的に隷従する体制をいう。通常、行政権力の中でも国内的には警察や検察、対外的には軍隊という実力部隊、いわゆる暴力装置が肥大化し、反体制分子の社会的、肉体的な抹殺により国民の統制を強化する。

すでに、国会の行政官僚に対するチェック、コントロールは機能不全を起こしている。警察、検察官僚による隠蔽され、巧妙かつ不当な刑罰権行使(これは国会議員に対してだけではない。普通の庶民にもあてはまるものだ)は拡大し、多くの人々はそれを絶賛している。

「強者への愛、弱者に対する嫌悪、小心、敵意、金についても感情についてもけち臭いこと、そして本質的には禁欲主義というようなことである。かれらの人生観は狭く、未知の人間を猜疑嫌悪し、知人に対しては詮索好きで嫉妬深く、しかもその嫉妬を道徳的公憤として合理化していた。」(同上P234

「独占資本主義によって脅かされたのは中産階級、特に下層中産階級であった。こうして中産階級の不安とそこから生ずる憎悪が生まれた。そして中産階級は恐慌の状態に陥り、無力な人間を支配しようとする渇望と、隷属しようとする渇望でいっぱいになった。」(同上P242

かくして、フロムのいうところのサド・マゾヒズム的性格、すなわち権威には盲従し弱者には徹底的な憎悪を向ける、現代風にいえば、重篤な多重性人格障害を抱えた人々が熱狂的な独裁者崇拝へつながってゆく。

「自由からの逃走」はナチズムの社会心理を見事に描き出した名著である。日本での初版発行は19511230日。すでに古典である。しかし、その記述は現在でも色あせることはなく、むしろ迫真の現実性をもって迫ってくる。

ヒットラーの率いる政党は「国家社会主義ドイツ労働者党」であった。はじめは福祉国家の仮面をかぶった政党だった。

日本は戦前戦中を通じ軍部官僚が特高警察と軍隊による徹底的な強権政治を推進した。そして大部分の日本人は天皇を現人神として崇め、天皇の赤子としてその体制を支持した。

福祉の仮面を被ったファシズムか、強権的なファシズムか、両方が複雑に絡み合ったより巧妙なファシズムか。相変わらず続いている世界的な経済危機と極身近にある困窮と不幸。

事務所費問題の頻発にファシズムの暗い予兆を見ることは、決して大げさなことではない。

2010年6月10日 (木)

奇兵隊内閣?疲弊耐内閣ではないのか?菅さん いわんこっちゃ無い 秒殺 荒井事務所問題

63日のエントリー「鳩山氏辞任、小沢氏辞任。辺野古移設閣議決定は覆せるか」で僕は

「憲法が規定する民主主義を破壊する」という観点で、問題となる三点を挙げておいた。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロール機能が封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢

1.について

菅総理は普天間基地の辺野古移設閣議決定を覆す気などさらさら無いようだ。とっとと官僚の軍門にくだり、華やかな総理大臣生活を満喫したいのだろう。岡田、北沢、前原が残留した時点でこの内閣の姿勢がはっきりした。国会のチェック、コントロール機能はますます劣化の一途をたどるだろう。

2.について

菅総理は自ら率先して小沢氏に対する検察官僚の直接攻撃を「政治と金」という曖昧な問題に矮小化した。

小沢氏の影響力排除をアピールし、マスコミ及びマスコミを鵜呑みにする有権者に媚へつらう姿は醜い。

その山車に使われたのが事業仕分けでマスコミに顔を売った枝野氏、蓮舫氏だ。そもそも事業仕分けには法的拘束力は無い。実際に削減するかどうかは官僚に任されている。国家予算の編成という大元には何の関係もない枝葉末節のいじましい経費削減だ。それがさも革命的なもののように喧伝され、まるでこの国の財政構造が変革されるという幻惑と、役人をつるし上げる隠微な喜びとを人々に与え大喝采を受けただけだ。まともな感覚を持っている人達はとっくのとうにその欺瞞性に吐き気を催していた。こんな枝葉末節の透明性より、鳩山前総理が抑止力の内容についての説明を、機密を盾に拒んだ不透明性のほうがよほど大きな問題だろう。選挙対策としてもあまりにあざとく惨めなやり方だ。

「政治と金」の問題の本質は検察権力の恣意的な行使により民主主義の根幹が破壊されるという問題である。

郷原氏などが繰り返して指摘しているように、政治資金規正法に基づく刑罰適用の要件の曖昧さ、それにつけ込む検察の恣意的な解釈、僕が527日のエントリーで述べたような、検察審査会に存在する構造的な欠陥により民主主義の根幹が破壊されるという問題である。

その根本を隠蔽し、人気取りに利用し、なおかつ人権派を気取り、刑事司法による最も苛烈な人権侵害には目もくれず、時効廃止の実績しか残せなかった千葉氏を法務大臣に残留させたつけは大きいだろう。

と思っていたら、あっという間にそのつけが回ってきた。荒井大臣の事務所費問題だ。どんなに問題が無いと主張しても、検察の捜査及び怪しげな市民団体の刑事告発の恣意性に、荒井国家戦略担当大臣はすでに絡めとられたということだ。荒井大臣が官僚の言うなりになるのならこの問題は立ち消え、反抗するようなら捜査権発動、どっちに転んでも官僚どもは大笑いという構造だ。本当にうんざりする。民主党の自業自得と突き放しても良いのだが、ことは、この国の民主主義という根幹に関る問題だ。今後の展開に憂慮が深まる。

そして、この内閣には消費税増税という最悪の要素が新たに加わった。

「きまぐれな日々」kojitakenさんが何度も指摘し、「菅首相は「金持ち増税」を打ち出して嘘つきのマスコミと戦え」でも述べているとおり、

引用はじめ

「政府税調専門家委員会の委員長を務める神野直彦教授らの考え方は、まず所得税や法人税の課税範囲を拡大し、さらには所得税の累進制を強化するなどして税収を増やすべき、というものだ。ひらたく言えば、まず富裕層に対する所得税の増税を行え、ということである。そして、もし日本が「小さな政府」を目指すなら、消費税を含む間接税の増税は抑えるべきだし、そうではなくて社会保障を充実させた「サービスの大きな政府」を目指す場合、直接税による税収では不足が生じるなら、その時初めて消費税増税も検討する必要が生じる。そういう道筋で議論がなされている。」

引用終わり

というのが本来の議論の道筋だった。

しかし、玄葉氏の入閣、政調会長兼任でこの方向性もかなり危うくなったというのが現状だ。消費税を公約に掲げることに意欲を燃やしている玄葉大臣が政調会長を兼務することで民主党内のまともな議論を菅総理自身が封殺しようとしている。

自民党政調のように官僚の掌上で利権の調整機関となりはて、消費税で巻き上げた金の分捕りあい機関にならないことを心より祈ることにしよう。

そして、このような布陣に勢いづいた閣僚達の発言がテレビを通して垂れ流される。

野田財務大臣はすっかり忘れているのか、忘れた振りをしているのか、昨日ニュースで「鳩山総理が任期中に消費税は増税しないと言っていたのは重い」などとほざいていたが、「鳩山首相、消費税「4年間上げない」」(asahi.com2010215日)と言っていたのではないのか。よくもぬけぬけとあんなウソをつけるものだ。それに比べれば前原大臣はまだかわいい。堂々と「法人税減税と消費税増税をセットで」などと嘯いていた。

おまけに「辻元清美が消費税増税容認論を言い始めた」そうである。(世に倦む日日財政赤字の原因を官僚から国民の責任にスリカエた菅直人の詭弁」より)

辻元氏については61日のエントリー「辻元清美の号泣と路上生活者の涙」で、議員が閣内に入るとどれほど容易く官僚に取り込まれ、底辺の生活感覚と乖離してゆくかを示す象徴として取り上げた。

その辻元氏は週間金曜日64日号P26「辻元清美の永田町航海記」でさんざん辺野古移設への言い訳を並べ立てた後「私は政権にいながら辺野古移設のおろかな案をとめられなかった責任を自覚しつつ、次のステージの闘いへ。」と結んでいる。

ほんっとにいいご身分だよな、としか言いようが無い。こっちはずーっとおんなじ、どん底のステージで闘っているのだ。僕の直感では、このどん底へこぼれ落ちる人々はどんどん増えているのだ。

議員も大臣も一度ハローワークや生活保護支給日の役所窓口へ行ってみたらよい。どれほど日本が壊れているか実感できるだろう。

そしてこれからはなんの批判精神もなく、メディアは事務所費問題だの消費税増税だの目先のことを垂れ流し愚民化洗脳を続けてゆくのだろう。

愚民化を喜んで受け入れる有権者に対しては以下のブログが鋭く迫っている。

Nothing Ventured, Nothing Gained 「菅直人内閣の顔ぶれと支持率上昇から見える『動物農場』」より引用

「『動物農場』の本質にあるのは、無批判に権力者を信じて、衆愚に陥ることの怖さだと私は思います。そして、問題点をいち早く見抜いていたロバのベンジャミンが黙ってしまったことにも、不幸な結果に拍車をかけたと解釈しています。

今、我々の目の前には、各社が連日報じる緊急世論調査で、一瞬にして、民主党政権の支持率が回復しているという事実が存在します。

しかし、民主党政権がこの数日の間に何をしたでしょうか。

権力者が変わっただけで、普天間の問題を解決したわけでもなければ、企業・団体献金禁止法案を成立させたわけでも、官房機密費の透明化を実現したわけでもありません。

にもかかわらず、権力者の顔が変わっただけで、それを無批判に喜ぶ有権者の姿は、オーウェルの描いた『動物農場』の世界で、無批判に豚のナポレオンを支持した動物たちに見えて仕方ありません。」

引用終わり

辻元氏のような不満分子を抱えながらも社民党の福島党首のみが筋を通している。

このままゆくと民主党が過半数を取っても地獄、過半数を割れば自民党から離脱した有象無象との連立を模索して過半数を維持するだろう。

社民党には現在の地位の優位性、社民党と、田中康夫や一部民主党議員が造反すれば今国会での審議を立ち往生させることができる、という優位性を十分に利用し、民主党の正気を取りもどす、現実的で効果的な国会内での権力闘争にまい進すべきだろう。そして選挙では議席を増やしキャスティングボードを握るべく最善の努力を尽くして欲しい。僕は、そのために有権者としてできる範囲で現実の行動を行ってゆく。

今回の組閣でとても良かったこと、それは今度の参議院選ではなんの迷いも無く社民党に投票できるということだ。

2010年6月 9日 (水)

RNAウイルスの疾病に官僚が介入すると問題は極めて重篤化する。終 口蹄疫の場合赤松は何故やめたのか

宮崎の口蹄疫問題で抱く素朴な疑問。

なぜ、これほど被害が拡大したのか。

なぜ、あれほど大量な家畜が殺処分されなければならないのか。

まず、口蹄疫という病気について整理してみる。

・口蹄疫とはどのような病気か

やはり口蹄疫ウイルスもRNAウイルスである。家畜の伝染病の中では最も伝染力の強い疾病とされる。

水疱が破裂した際の傷の痛み(細菌によるその後の二次感染も含む)で摂食や歩行が阻害され、体力を消耗する。幼畜の場合、致死率が50パーセントに達する場合もあるが、成畜では数パーセントである。しかし上の症状に伴い乳収量や産肉量が減少するため、畜産業に対しては大きな打撃となる。

人への感染は濃厚接触でも極めてまれ、牛肉や牛乳からの感染例はなく、牛→人→人という感染も確認されたことが無い。従って人間への影響は極めて小さい。

ウィキぺディア「口蹄疫」参照

 成蓄の死亡率は低く治る病気のようである。又、乳収量や産肉量が減少するといっても治癒すればそれも回復するのではないか。人間への感染もほとんど無い。

メディアでは感染力の非常に強い恐ろしい病気だといわれるが以下のような記事を見つけた。

家畜防疫関係者の皆さまへー再び口蹄疫清浄国に復帰してー 

平成12年9月27日 家畜衛生試験場長 寺門誠致 

引用はじめ 下線筆者

「本年3月25日に宮崎県宮崎市の肉用牛飼育農家において、92年ぶりに口蹄疫の発生が確認されて以来、6月9日の北海道本別町を中心とする移動制限地域の解除まで、国、県、市町村、生産者、民間団体等の畜産関係者は本病との闘いで「震撼の76日間」を送ることとなりました。最終的には、1道1県、4農家での発生の確認と患畜22頭、疑似患畜718頭、合計740頭の殺処分、236,531戸にのぼる農家での臨床検査、 52,894頭分の血清検査、輸入飼料を含めた疫源に関する疫学調査等が実施されました。

 その間、農林水産省畜産局衛生課をはじめ全国の家畜防疫関係者は一致団結し、見えない敵との戦いに全力をつくしてきました。わが家畜衛生試験場でも不眠不休の海外病研究部を中心に全場的に対応してきましたが、その詳細は「家畜衛試ニュース」No.103に報告されているとおりです。

  さて、ここで皆さんにうれしいニュースをお知らせいたします。それは6月9日の北海道での終息宣言から3ケ月が経過したわけですが、その間新たな発生がなく、また今回の発生時には蔓延防止のためのワクチンを使いませんでした。そこで、畜産局衛生課は国際獣疫事務局(OIE)に対して日本における口蹄疫清浄化復帰を宣言し、日本時間の昨晩(9月26日)OIEの口蹄疫委員会からもその認定をかちとることができたとのことです。発生以来半年といった短期間での清浄化が達成できました。これは世界的にみても快挙であり、オリンピックならさしずめ金メダルといえるでしょう。わが家畜衛生関係者にとって誇るべき防疫活動の結果を皆さんに報告し、喜びを分かち合いたいと思います。

 ただよく考えてみると、今回の発生は伝染力の弱い口蹄疫ウイルスによるものでしたし、豚の世界に侵入しなかったことなど、かなりラッキーな事柄が重なっていたことも事実です。いっぽう、依然として世界的なグローバル化が進展するなかにあって、今後も新たにウイルスが再侵入してくる可能性は否定できません。家畜衛生試験場はもとより、家畜防疫関係者にとっては、どんな事態に対面してもその役割は「動物を守る、ヒトを守る」につきると思います。そのためには、常日頃から「準備する心」が求められています。今回の清浄化復帰を素直に喜ぶとともに、今後もそれを継続するためには、今回の経験をいろんな面から総括して発生予防に生かす必要があります。未然の防疫こそが、われわれ家畜衛生関係者にとっての本当の金メダルです。皆さんのいま一層の精進をお願いしたいと思います。

 本当にご苦労様でした。有り難うございます。

引用終わり

この記事はいろいろな興味深い事実を伝えてくれる。

1.2000325日に宮崎で口蹄疫が発生し殺処分は740頭だった。

2.その時の口蹄疫ウイルスは伝染力の弱い口蹄疫ウイルスだった。全ての口蹄疫ウイルスが強い感染力を持つわけではないようだ。

3.国際獣疫事務局(OIE)という機関が終息宣言後3ヶ月で口蹄疫清浄化復帰を認定し、それはオリンピックの金メダルに匹敵する快挙だったようだ。

以上の事実をもとにまず、なぜ今回の口蹄疫はこれほど被害が拡大したのか、という疑問への答えを捜してみる。

上記記事中にある「家畜衛試ニュース」No.103及び「口蹄疫の発生及び対応状況等」農林水産省HP2000年(平成12年)の我が国における発生の経緯及び対応」より)とウィキペディア2010年日本における口蹄疫の流行」との比較表を作成した。

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比較表から沸き起こる疑問

1.なぜ、第一報から動物衛生研究所海外病研究部(小平市)への材料到着が遅れたのか?

  一応経緯についてはasahi.com「異変2度…でも「教科書と違う初期症状」 宮崎口蹄疫」2010519日でも説明されているが、ここで宮崎家畜保健衛生所職員の対応の過失の有無は明らかでない。今後、仮に国の補償に不満な方が、国賠訴訟を起こして初めて実体は明らかになるのではないか。そして、その実体をメディアが報じるかは分からない。

    

2.なぜ、移動制限地域、搬出制限地域が2000年より狭いのか?

  この疑問については産経ニュース「宮崎隣接の熊本県知事「家畜搬出制限が緩い」 口蹄疫対策に疑問 2010.5.10に「 農水省によると、12年までの同省の指針では搬出制限は「半径50キロ以内」としていたが、同年の口蹄疫発生後に「原則20キロ」と変更した。」とある。しかし、なぜ搬出制限を変更したのか理由は分からない。

ここからは僕の推測だが、まず、口蹄疫がRNAウイルスで変異が激しい、どれほどの感染力、毒性を持つのかは未知数だとの認識が欠けていたのではないか。それ故2000年の経験、感染力の弱いウイルスでの口蹄疫発生時の経験に寄りかかり初動が甘くなったのではないだろうか。新型インフルエンザへの対応とは対照的だということだ。

そして、東国原宮崎県知事、赤松農林大臣への官僚の報告も甘くなってはいなかったのか。この辺の事情についての確たる報道は現時点では見つからなかった。

そして、感染は拡大の一途をたどり大規模な殺処分が始まってしまった。

続いて次の疑問、なぜこれほど大量に殺処分しなければならないのか、の答えを捜してみる。これはわりと簡単に見つかった。

先に「国際獣疫事務局(OIE)という機関が終息宣言後3ヶ月で口蹄疫清浄化復を認定し、それはオリンピックの金メダルに匹敵する快挙だったようだ。」と記した。

 そこで国際獣疫事務局(OIE)という機関を調べたところ、その規約に答えが全て記されていた。以下、英文規約と筆者の翻訳を記す。翻訳には誤訳も含まれているかも知れないのでその点はご容赦願いたい。

以下OIEホームページからの引用及び筆者翻訳

Terrestrial Animal Health Code  Chapter 8.5.foot and mouth disease

Article 8.5.8. 

Recovery of free status 清浄地位の回復

1.When an FMD outbreak or FMDV infection occurs in an FMD free country or where vaccination is not practiced, one of the following waiting periods is required to regain the status of FMD free country or zone where vaccination is not practiced:

意訳

「ワクチン接種を行っていない口蹄疫清浄国」(日本)で口蹄疫が発生した場合、その地位の回復には次に掲げる待機期間のうち1つが必要となる。

a. 3 months after the last case where a stamping-out policy* and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.40. to 8.5.46.; or

8.5.40条から8.5.46条に一致する殺処分政策と血清学的調査が適用される場所では終息後3ヶ月。もしくは           *stamping-out policyの内容は後述

b. 3 months after the slaughter of all vaccinated animals where a stamping-out policy, emergency vaccination and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.40. to 8.5.46.; or

8.5.40条から8.5.46条に一致する殺処分政策、緊急ワクチン接種と血清学的調査が適用される場所ではワクチンを接種された全ての動物の解体処理後3ヵ月。もしくは

c. 6 months after the last case or the last vaccination (according to the event that occurs the latest), where a stamping-out policy, emergency vaccination not followed by the slaughtering of all vaccinated animals, and serological surveillance are applied in accordance with Articles 8.5.40. to 8.5.46., provided that a serological survey based on the detection of antibodies to nonstructural proteins of FMDV demonstrates the absence of infection in the remaining vaccinated population.

8.5.40条から8.5.46条に一致する殺処分政策、すべてのワクチン接種動物の解体処理をおこなわない緊急ワクチン接種、血清学的調査が適用される場所では、終息もしくは最後のワクチン接種(直近の事態がもたらしたもの)後6ヵ月。ただし、血清学的調査は口蹄疫ウイルスの構造に由来しない抗体の発見に基づき、ワクチン接種をした動物すべてが感染していない状態であることを証明することを条件とする。 

Where a stamping-out policy is not practised, the above waiting periods do not apply, and Article 8.5.2. or 8.5.4. applies.

  殺処分政策を行わないところへは上記の待機期間は適用せず8.5.2. or 8.5.4.条が適用される。

*Stamping-out policy 

means carrying out under the authority of the Veterinary Authority, on confirmation of a disease, the killing of the animals which are affected and those suspected of being affected in the herd and, where appropriate, those in other herds which have been exposed to infection by direct animal to animal contact, or by indirect contact of a kind likely to cause the transmission of the causal pathogen. All susceptible animals, vaccinated or unvaccinated, on an infected premises should be killed and their carcasses destroyed by burning or burial, or by any other method which will eliminate the spread of infection through the carcasses or products of the animals killed.

殺処分政策とは獣医機関の権威のもとに疾病が確認されたときに行われる動物殺処分すなわち、疾病に冒された動物または群れのなかで冒されたことが疑われる動物、動物と動物の直接接触によって感染の危険にさらされた他の群れ、もしくは原因病原体の伝染を引き起こしかねない直接的ではない接触をした他の群れを全て殺処分すること。汚染地区にいるすべての感染しやすい動物は、ワクチンを投与されたか否かに関わらず、殺処分されなければならず、その遺骸は焼却もしくは埋葬によって処分されなければならない。もしくは、何らかの他の方法により遺骸や殺処分された動物から作られた製品を通しての感染拡大を排除しなければならない。

以上引用及び翻訳終わり

日本は「ワクチン接種を行っていない口蹄疫清浄国」だった。2000年の口蹄疫の場合はArticle 8.5.8. 1 a すなわちワクチン接種をしないという条件で終息宣言後3ヶ月で「ワクチン接種を行っていない口蹄疫清浄国」に復帰した。

今回の口蹄疫でもワクチン接種が問題となった。ワクチン接種をしてその全てを殺処分しなければArticle 8.5.8. 1 cの適用となり6ヶ月の待機期間が必要となる。さらに、抗体検査でもそれが口蹄疫ウイルスに対する抗体なのか、それともワクチン接種による抗体なのかを厳密に把握しなければならない。そこでワクチンを接種した動物も殺処分する予定の今回の事例はArticle 8.5.8. 1 b の適用により、「(緊急に)ワクチンを接種された全ての動物の解体処理後3ヵ月」に「ワクチン接種を行っていない口蹄疫清浄国」復帰をもくろんでいることを示している。

そこで又疑問がわく。なぜ「ワクチン接種を行っていない口蹄疫清浄国」復帰にしかも短期間での復帰に日本はそれほどまでにこだわり、ものすごい数の牛や豚を殺しまくるのだろう。

その答えのヒントはOIEホームページのList of Foot and Mouth Disease Free Membersにあるように思える。

このリストを見ると「口蹄疫清浄国もしくは地域」には4つのカテゴリーがあることが判る。

1.FMD free where vaccination is not practised(緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国)

  このリストは20105月に改定されたものなので、もちろん日本の名前は無い。日本が多くの食肉を輸入しているオーストラリア、USAなどはこのカテゴリーに含まれる。

2.FMD free where vaccination is practised(ワクチン接種をしている清浄国)

  これはウルグアイのみだ。

3.FMD free zone where vaccination is not practised(緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄地域

  このカテゴリーには世界でも有数の牛の産地アルゼンチン、ブラジルの特定の地域が含まれている。

4.FMD free zone where vaccination is practised(ワクチン接種をしている清浄地域

  このカテゴリーにはアルゼンチン、ブラジルのより多くの地域が含まれている。

さて、以上4つのカテゴリーがあるにもかかわらず、日本は何故1.の「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」復帰に執念を燃やすのか。

一つには、輸出に障害が出るからということは言えるかもしれない。

産経新聞「ブランド牛肉、海外販路危機 口蹄疫「非清浄国」で輸出停止/再開厳しく」では比較的OIEについても詳しく掲載している。

しかし、何かおかしくはないか。食料自給率の低い日本にとって、輸出よりも輸入のほうが重要だと考えるのは普通ではないのか。この記事にもあるように国産高級ブランド牛肉の輸出はたったの565トンだ。日本の牛肉輸入量の国別割合 (2009)によると豪州363,909トン、アメリカ69,194トン、ニュージーランド29,556トン、その他18,477トン合計481,136トンとなる。明らかに輸出より輸入のほうが重要な問題ではないのか。

まず、口蹄疫清浄国のカテゴリーが輸入にどのように影響するのか。日本が「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」である場合上記2.3.4.のカテゴリーの国からの食肉輸入に対して日本政府はどのような規制をしているのだろうか。

家畜伝染予防法に基づく家畜伝染病予防法施行規則

(輸入の禁止)

第四十三条  次の表の上欄に掲げる地域(その地域に属する諸島を含む。)から発送され、又はこれらの地域を経由した同表の相当中欄に掲げる物は、法第三十六条第一項第一号の農林水産省令で定める地域から発送され、又はこれらの地域を経由した同号の農林水産大臣の指定する物とする。

という条文の後に呪文のような内容が書かれた表があり偶蹄類の動物の肉の輸入を禁止する国を下記以外の国と定めている。これをOIEの「List of Foot and Mouth Disease Free Members」と見比べてみると下線をつけた国以外は全て「FMD free where vaccination is not practised緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」に含まれている。

シンガポール、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ドイツ、デンマーク、イタリア(サルジニア島を除く。)、リヒテンシュタイン、スイス、オランダ、ベルギー、フランス、オーストリア、英国(グレート・ブリテン及び北アイルランドに限る。)、スペイン、アイルランド、アイスランド、カナダ、アメリカ合衆国(アメリカ大陸の部分、ハワイ諸島及びグァム島に限る。)、メキシコ、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国、チリ、北マリアナ諸島、ニュージーランド、バヌアツ、ニュー・カレドニア及びオーストラリア以外の地域

従って現在はOIEのリストにある2.3.4.のカテゴリーからの肉の輸入は呪文のような複雑な手続きを踏まないと輸入できないことになっている。

さて、ここからは又僕の推論だ。

牛肉はオーストラリア、アメリカ、ニュージーランドが主な輸入先、豚肉はアメリカ、カナダ、デンマークが主な輸入先だ。もし日本が「緊急時以外ワクチン接種をしていない清浄国」を放棄したら、家畜伝染病予防法施行規則にあるリストはどのように改変されるのか。例えば「ワクチン接種をしている清浄国」ウルグアイと同じカテゴリーに入ればウルグアイからの牛肉輸入は解禁されるのではないのか。

要するにこの家畜伝染病予防法施行規則リストの後ろ盾となる根拠が失われれば、ウルグアイ、アルゼンチンやブラジルなどを輸入国から除く根拠が失われるのではないか。もしそうなら、利にさとい商社などはどんどんウルグアイやアルゼンチンやブラジルから安くて品質の良い牛肉を(一応清浄国もしくは地域だ)輸入することになるだろう。そうすると、怒るのはどの国か。牛肉も豚肉も日本に輸出している、あのヤクザの国、アメリカではないのか。

このように考えてくると宮崎の口蹄疫の問題は日本の畜産の大打撃ということと共に、国の食料輸入政策、外交政策にも大きな影響を与える問題だといえるのではないか。

以上をまとめると赤松が閣僚として残らなかった訳も見えてくる。たぶん赤松は官僚から、事態の深刻さをきちんと説明されずにのこのこと外遊に出かけたのだろう。

そして、この口蹄疫の処理の背後に貿易問題や外交問題という国の根幹に関る問題があるということも知らずに、ただ被害が拡大した責任をとるという形で詰め腹を切らされたのではないか。

東国原もいつ事態の深刻さに気づいたのだろう。県の役人や農水省の官僚からきちんとした説明を受けているのか疑問である。

農林水産省がどのような力学のもと、どのように、何を根拠に家畜伝染病予防法施行規則のリストを改定しているのかは今までの報道を見てもさっぱり判らない。だからこそジャーナリズムは表面的な出来事ばかりではなく、公権力のあり方(この件では農水省や宮崎県庁)に突っ込んだ取材をすべきではないのか。役人や官僚の勝手なコントロール力をそぎ、有権者や有権者から選ばれた政治家や知事に正確な俯瞰を提供することが真のジャーナリズムの仕事ではないのか。

日本という身体は免疫不全を起こしている。官僚という悪性のウイルスによって。様々な薬害や訴訟などによって自然免疫は応答し、様々なサイトカインやウイルスの破片を提示する。しかし、その情報を受け取るべき適応免疫の要、T細胞は公権力の監視、批判という役割をきちんと教育されていないマスメディアである。しかも官僚ウイルスに激しく感染して機能不全に陥っている。従って一般国民であるB細胞にも的確な危険の伝達ができない。むしろ誤った情報を垂れ流す。B細胞も官僚ウイルスに侵され、公権力の監視、批判ということを学校でも社会でも学ぶことができない。それでマスメディアの誤ったもしくは的外れな情報を鵜呑みにし、全く方向違いの抗体を作って、間違った敵を攻撃する。間違った候補者に投票する。

エイズよりも恐ろしい免疫不全症候群がこの日本を蝕み続けている。

2010年6月 8日 (火)

RNAウイルスの疾病に官僚が介入すると問題は極めて重篤化する。その2.新型インフル死亡624名?

薬害エイズ事件の場合

エイズは先述したように、ウイルスとしての生存戦略がとても特殊で、当初は有効な治療法が無く、死に至る病として恐れられた。また、感染経路が性交渉や麻薬の回し打ちが主なものとされ、エイズ患者に対して謂れ無き差別が横行し、患者であることを明かすことには多大な勇気が必要だった。

このような恐ろしい病気だったにもかかわらず、国や製薬会社は、血友病患者に対し、外国の供血者からの血液を原料に製造され、加熱処理によるウイルスの不活性化を行なわない血液凝固因子製剤をそのままに流通させ、治療に使用した。しかも、加熱製剤が開発されてからも非加熱製剤を使用し続けたのは日本だけだった。

結局、薬事行政において、日本の官僚は国民の生命よりも製薬会社の利益を図ることを優先する体質だということが如実に示された。

薬害肝炎事件の場合

これも、薬害エイズと構造は一緒である。悪質なのは、薬害エイズ事件という経験がありながら、再び人命を軽視した怠慢な対応が繰り返されており、その対応が全く変わっていないということを示している。

新型インフルエンザ対応

上記2例の薬害事件については問題の隠蔽によって製薬業界権益に走った厚生労働省は、今度は不正確な情報を過剰に垂れ流すことにより国民の不安を煽り、製薬業界の利益のために暴走した。それが新型インフルエンザ騒動だ。

上述した免疫のシステムで説明したが、ヒトの免疫システムは非常に精緻で強力だ。たとえ新しい型のウイルスが進入したとしても、まず自然免疫系が応答する。そのウイルスの増殖能や毒性の強さにより自然免疫応答では防衛しきれない場合に隔離などの措置が適切に行われるべきだった。

今回の対応でまず問題となるのはWHOのパンデミックという言葉に便乗し、政府もメディアも正確な情報や知識を国民に伝えることを怠たり、過度の不安を煽ったことだ。

次に問題となるのは正確な情報に基づき柔軟かつ的確な対応をする能力がこの国の官僚は持ち合わせていない、そのことに対して批判的なメディアの報道が極めて少なかったことだ。

RNAウイルスはその不安定さにより新たな型ができやすい。これからも、どのような変異が起こるかは予測がつかない。それゆえ、的確な情報の把握と柔軟な対応、国民への情報と知識の伝達がこれまで以上に必要となる。

初期対応において、失策による多数の犠牲者を出さないために過剰な防衛をするというのはまだ理解できる。しかし、実際の感染者の動向をみれば、通常のインフルエンザと同程度、もしくは低い毒性だということは早い次期に分かっていたはずである。にもかかわらず不安を煽る情報発信をやめなかったのは、ワクチンを製造販売する製薬会社の利益を優先したととられても仕方が無いだろう。

・毒性についての報道

新型インフル、「弱毒型」でも重症化の例200952asahi.com引用開始

「WHOの緊急委員会委員でもある国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は28日、会見で、今回の新型インフルエンザウイルスは「弱毒型」だとした。」

引用終わり

死亡者数の結果

Photo

「超過死亡」の推計

インフル死 推計200人 低水準「新型は弱毒」裏付け 産経新聞2010/04/26

引用開始 

「インフルエンザの流行によって増加した死者数を推計する「超過死亡」が、新型が流行した今シーズンは約200人に留まり、昭和62年の調査開始以来3番目に低い水準だったことが26日、国立感染症研究所の調べで分かった。例年は1万人程度で推移しており、弱毒性といわれた今回の新型インフルの毒性が、季節性インフルよりも低かったことが裏付けられた。

超過死亡は、インフルが流行しなかったと仮定した場合の死者数と、流行時の実際の死者数を比較することでインフルによる死者を推計する手法。インフル感染者は毎年1千万人近くに上り、すべての死亡例を調べることが困難なため、毎年この手法で死者数を推計している。

 この手法で推計すると、今シーズンの超過死亡は約200人だった。例年の超過死亡は1万人程度で、インフルが大流行した平成10~11年のシーズンでは3万5千人を超えていた。」

引用終わり

・今後問題となりそうなワクチン在庫処理

大量の在庫ワクチン「買い取って」 病院要望、国は拒否 asahi.com201058

引用開始

「新型インフルエンザの感染者が国内で初めて確認されて9日で1年。流行が沈静化するなか、ワクチンが大量に余り、国に買い戻しを求める動きが広がっている。16都府県の医師会などが要望書を出したが、厚生労働省は「次の流行がくる可能性がある」などとして受け入れていない。」 

「新型インフルエンザのワクチンは、買い占めなどを防ぐため、国が製薬会社から買い上げ、都道府県が需給調整をして医療機関が購入する仕組みだった。昨年7月から製造された国産品は10月に供給され始めたが、ピーク時には足りず、11月下旬ごろから大量に供給された。厚労省によると、国産品だけで全国の医療機関に197万回分、約29億円相当(2月12日現在)の在庫がある。」 

「しかし国は、2月に出荷が始まった輸入ワクチンも5300万回分を在庫として抱える。厚労省の担当者は「ワクチンは保冷品で、仮に引きあげても品質管理が難しい。流行の第2波が来たら大変だし、買い戻す財源もない」。」

引用終わり 

 WHOは何といっているかというと

新型インフルエンザ:WHO事務局長「最盛期過ぎた」毎日新聞 201064日 東京朝刊 引用開始

「【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)のチャン事務局長は3日、新型インフルエンザの「世界的大流行」(パンデミック)について、「(ウイルスの)最も活発な活動時期は過ぎた」との声明を発表し、事実上、「最盛期」(ピーク)は過ぎたとの見解を示した。

 1日に行われた各国専門家による緊急委員会の討議結果を受けて、チャン氏が判断した。ただし、今後も「パンデミックは続くと予想される」とし、警戒水準は最高レベルの「フェーズ6」を維持。これまで使っていた「最盛期越え」(ポスト・ピーク)という用語はあえて避け、7月半ばまでに、改めて緊急委で感染状況を検証するとしている。

 新型インフルエンザは終息への移行期に入りつつあると見られているが、最終的なパンデミックの終結には、なお期間を要する見通しで、緊急委は「各国は警戒態勢をとり続けることが重要だ」としている。」

引用終わり

 確かに、新型インフルエンザはこれからも変異を続け「強毒性」に変化する可能性はある。今回の件で「強毒性」インフルエンザが出現した場合逆に国民がなめてかかる可能性も否定できない。とにかく、行政府やメディアの対応は非常にお粗末だったことだけは確かだ。ある程度、ウイルスや免疫についての知識を持ち、報道される内容を批判的に吟味してそれぞれが対応することが必要だということだ。「強毒性」を「弱毒性」と勘違いし、後で自己保身のためにそれを隠蔽する可能性が官僚どもには大いにありうるし、それをコントロールすべき閣僚も正確な報道が求められるメディアも無能をさらけ出しているというのが現在の状況だ。

(口てい疫へつづく)

2010年6月 7日 (月)

RNAウイルスの疾病に官僚が介入すると問題は極めて重篤化する。その1.

 まず本題に入る前にウイルスと免疫についての基礎知識を。

RNAウイルスとは

記憶に焼きついている疾患としてAIDS(エイズ)、SARS(サーズ)、C型肝炎、わりと記憶に新しいものとして麻疹、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザなどがある。これらの疾病原因となるウイルスは全てRNAを遺伝子として持つRNAウイルスである。

DNARNAよりも安定しており、ウイルスよりも複雑な構造を持つ生物はDNAを遺伝子として持つ。可変的なRNAは細胞内でたんぱく質を合成するときに利用される。逆にRNAウイルスはその不安定性を自らの強みとして、変異を繰り返しながら宿主生物の免疫系から逃れようとする。だからRNAウイルスでは新型のウイルスが発生しやすい。

・免疫の大雑把な仕組み

新型インフルエンザの報道で平気で「免疫が無い」という表現が使われていたが大変不正確な表現だ。

ヒトの免疫系はものすごく複雑だが主に自然免疫と適応免疫に分かれる。

自然免疫系では貪食細胞(マクロファージ、好中球、および樹状細胞)が病原体を文字通り貪り食らう。この応答はどんな病原体でも同じで、直ちに行われる。その過程で適応免疫を活性化する物質を放出したり、病原体の破片を適応免疫系のT細胞に提示する。

これらの刺激を受けたT細胞はB細胞に指令を出し、B細胞が抗体を大量に産出して病原体に付着させる。この抗体と病原体の結合を認識した貪食細胞がさらにこれらの病原体を貪り食って撃退する。従ってT細胞が免疫システムの中枢を担っているといっても過言ではない。以上が、ものすごく大雑把なヒトの免疫の仕組みだ。

B細胞には、過去に出会ったことがある病原体に対してはその記憶を保持しているのですぐに、また過去に経験の無い病原体の場合は1~2週間で抗体を産出する能力がある。抗体の種類は、病原体の種類ごとに一つ一つ違っていて、B細胞一つは一種類の抗体しか産出できない。だから100億以上の種類のB細胞が100億種以上の種類の抗体をつくることになると考えられている。こんなに多くの種類の抗体が、遺伝子の組み換えで行われていることを明らかにし、ノーベル賞をもらったのが日本の利根川 進教授だ。

「免疫が無い」という場合、後者の抗体生産に時間がかかる、つまりその間は自然免疫による防戦のみしかできないということを指していると思われる。

どんな病原体に対してもヒトは基本的に免疫を持っている。しかし、病原体が自然免疫ではとても追いつかない増殖能や強い毒性を持つ場合や、栄養不良やストレスで自然免疫や適応免疫が弱っている場合が危険だということだ。

ワクチンは毒性の少ない病原体の破片をあらかじめ投与して、適応免疫に記憶させ、いざその病原体が進入してきたら直ちに撃退する防衛体制を構築することだ。ワクチンが直接病原体をやっつけるわけではない。

・エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の特異点

以上のRNAウイルスと免疫のシステムを前提に驚くべき戦略を駆使するのがエイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)だ。

通常のRNAウイルスは宿主細胞のなかでRNAを転写合成し自己を複製する。しかし、エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は特異な自己複製システムを持っている。HIVはレトロウイルスと呼ばれる。その意味はDNAを合成する逆転写酵素を持つウイルスといことである。この逆転写酵素を使いHIVは自らのRNAからDNAを複写し宿主のDANに巧妙にもぐりこませて自己を複製する。DNAの二重螺旋構造を解明したクリックが、遺伝情報はDNA→(複製)→DNA→(転写)→RNA→(翻訳)→タンパク質の順に伝達されるとするセントラルドグマを主張していたが、これを覆したのが逆転写酵素の存在だった。

さらに驚くべきことに、このHIVは免疫のT細胞に選択的にとり付き、ヒトの免疫システムに壊滅的なダメージを与える。急性期を過ぎ、510年の潜伏期にもT細胞は破壊され続ける。そのため、エイズを発症すると、通常では全然問題にならない細菌やウイルスを撃退する力を失い、さまざまな感染症に罹患する。HIVRNAウイルスなので変異を繰り返し、巧妙に免疫システムをかいくぐりながら、免疫の中枢を破壊するという離れ業をやってのける。それゆえ現在はワクチンではなく逆転写酵素を阻害する薬剤による治療が一般的となり発症進行を大幅に抑えることができるようになった。

(つづく)

2010年6月 6日 (日)

週間金曜日の記事から「日米安保条約をめぐる4つのウソ」

週間金曜日64日号に日米安保条約について簡にして要を得た記事が掲載されたので一部抜粋する。

P18P19「勝手な思いこみとメディアの詐術を検証する 日米安保条約をめぐる4つのウソ」

ウソその1.米国が日本を防衛 

重大なのは日本が「攻める」危険性 水島 朝穂 早稲田大学教授

「米国の目的は、在日米軍基地をフル活用して、アジア、太平洋地域から中東までの軍事覇権を維持することにあります。」

「特に沖縄と岩国に駐留する海兵遠征軍(MFE)の本質は、いつでも、どこにでも殴り込みをかけられる介入軍であり、日本を「守る」部隊ではありません。

 むしろ重大なことは、「専守防衛」の建前を捨てた自衛隊が、米軍の軍事介入路線に便乗して、他国を「攻めてしまう」可能性が出てきたことです。」

ウソその2.米国の「核の傘」

 軍事力の対朝圧倒優位では意味をなさない 浅井 基文 広島市立大学広島平和研究所所長

「貧弱な海空軍力しかない朝鮮が、日本に戦争を仕掛けようがないことは、「北朝鮮脅威論」を唱える人たちもわかっています。だから彼らは、「北朝鮮には日本に届く核ミサイルがあり、金正日は何をするか分からない」というのです。でも、そんなことをしたら次の瞬間、米国はそれを格好の口実にして、圧倒的な軍事力で朝鮮を叩きつぶします。」

「金正日の唯一のよりどころは朝鮮という国家です。全てを失うことが分かっているのに、核ミサイル攻撃を仕掛けるはずがありません。米国が日本を「核の傘」で守っているから、朝鮮は核攻撃を仕掛けられないでいる、ということではないのです。」

ウソその3.中国・「北朝鮮」脅威論

 戦争する意図も能力も必要ない 山田 朗 明治大学文学部教授

「かりに日本が中国と戦争することになった場合、戦費のための国債を買ってくれる国は中国しかありません。中国にしても経済的・技術的に日本に依存している部分が多く、こういった相互依存関係の中で、戦争はできないでしょう。」

「(北朝鮮が)核兵器とミサイルに特化しているのは、逆に言えば通常戦力が無力化しつつあることを意味しています。」

「朝鮮の空軍力は機能しません。空軍力が機能しない中で、大規模な陸戦や海上戦はあり得ないし、そもそも不可能です。」

ウソその4.在沖海兵隊の抑止力

「抑止力」の概念の援用に問題あり 前田 哲男 軍事ジャーナリスト

「そもそも抑止論は・・中略・・マクナマラ米国防長官が提起した「確証破壊」(核報復力=相互抑止=恐怖の均衡)という概念です。だから日米安保条約の分野に抑止力の概念を持ち込むことじたい、歴史的に、又定義上おかしい。」

「二番目に、そのような抑止の概念を米海兵隊の日本駐留意義にまで拡大して、あたかも海兵隊が「日本防衛」に不可欠の存在であるかのように描くメディアのいい加減さです。」

「海兵隊は、先制攻撃、敵前強襲を専門とする水陸両用の殴りこみ部隊なのです。」

「このような部隊を、「日本共同防衛」が目的であるはずの安保条約の下で、「抑止力」とみなし、新基地建設の根拠とすることなど間違いもいいところです。鳩山首相は、・・中略・・じつのところ、まだ何も学んでいないようです。」

週間金曜日は、マスメディアでは報道されない事件やメディアを批判的に見る視点を提供してくれるということで、優れた雑誌だと思って、講読している。(時々、なんじゃこりゃーという記事もあるが。)新聞なんか読むよりずっと精神衛生上よろしいので購読をお勧めする。経営は苦しいようでとうとう店頭販売価格は72日号から580円(税込)になるそうだ。定期購読は今までどおり500円(税込)。DAYS JAPANといい、週間金曜日といい、まともなメディアが苦戦を強いられるのは忍びない。「金もあるし暇もある」という人、「金はあるけど暇は無い」という人、「金も暇も無い」という僕のような貧乏人にも是非ご購読いただきたい。週間金曜日公式サイト

2010年6月 5日 (土)

マスコミを監視・批判するための視点。ミステリ「ミレニアム」に見るジャーナリズムの本質

マスコミは相変わらず、菅総理大臣誕生!小沢氏の影響は?組閣人事は?などなど壮大な井戸端会議のような駄弁をとうとうと垂れ流している。

そんな中でちょっと目を引いた記事があった。

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「政治沖縄の基地問題が引き続き大きな課題」2010 6 3日 

「【東京】鳩山首相の辞任によっても、沖縄の米軍基地移設問題が日米双方にとって大きな課題であることに変わりはない。沖縄県が県内移設への反対を弱めておらず、米軍普天間飛行場を辺野古周辺に移設することをうたった日米共同声明の履行は極めて困難な状況だからだ。」

引用終わり

日本のマスコミが無視し続けている「米軍普天間飛行場を辺野古周辺に移設することをうたった日米共同声明の履行は極めて困難な状況」を一応取り上げている。後半はアメリカの恫喝の報告記事に終わっているが。

63日のエントリーにおいて民主主義を破壊するという観点で3点の問題点を述べた。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロールが封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢

まず今回は「3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢」を批判するために1.2の点でどのような報道がされているのか印象を述べてみたい。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロールが封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

この点については、かろうじて社民党の福島党首の発言、及び沖縄、徳之島の声が報道されているのみである。これは、すでに普天間移設問題は決着済みであり、社民党と不利益を被る沖縄、徳之島に限定された問題だというメッセージだ。菅総理は、テレビの報道を見る限り、この問題では異様に歯切れが悪いように見えた。しかし、前政権の日米同意は尊重する姿勢を示している。

 そして、普天間問題が鳩山辞任の核心問題にも関わらず、ほとんどの報道が消費税を政策の注目ポイントとして喧伝している。確か民主党は次期衆議院選まで消費税は導入しないはずだったのでは。にもかかわらずマスコミは消費税増税を盛んに喧伝し、それに乗るように民主党の議員もはばかること無く消費税を口にするようになってきた。次期政権の課題としても取り上げ、消費税導入止むなしとのメッセージをさかんに流している。NHKnews9では玄葉光一郎のインタビューを流し、消費税という言葉をインタビュアーが一生懸命誘導していたことが印象的だった。

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

「政治と金」という問題へのすり替えが極端である。小沢氏の政治手法への批判という観点をからめ、「政治と金」の問題よりもずっとずっと深刻な、特捜、検察審査会の問題点は従来どおり全く見向きもされていない。

小沢氏に対抗心むき出しの渡部 恒三の露出が異様に多かった。「小沢氏の影響は?」というテーマの中で無邪気に小沢氏辞任を大喜びする渡部の満面の笑みは相当なバカに見えるのだがこの笑顔と対比して、小沢氏の動向を報道することによって、今後小沢氏への批判を燃え立たせるぞというメディアの心情が透けて見える。

様々な利害得失を腹に秘める議員達からも「政治と金」「小沢氏の政治費手法」への批判という発言をさせ、特捜、検察審査会の深刻な問題点はすっかり覆い隠されている。

菅総理をはじめ民主党議員、野党の議員に関わらず検察、特捜が好きなときにスキャンダルを捏造する危険はいつでもあるということだ。

以上のような問題意識にたち詳細に述べているブログがある。

晴耕雨読さん「鳩山内閣を追い込んだのは、米国(米軍)、官僚、検察、メディアの連合軍」 を是非ご参照ください。

 いずれにしても、魑魅魍魎が跋扈する政界をああだこうだと論評するマスメディアには距離を置き、考えなければならないことは「反戦な家づくり」明月さんの述べていることに尽きるのではないだろうか。

「米上院軍事委員会と「聞く耳持たず」  追記あり」

「日米安保の変容ということは、私を含めて反戦平和を信条とする人間に、新しい問題を突きつける。

鳩山の演説を借りるならば、日本の平和を自分たちで作る ということだ。

これが、単純に自衛隊の増強と日本軍への昇格を意味するのか、まったく違うパラダイムが存在するのか。

日米安保に反対しながら、それに「守られて」きた日本の平和主義は、新しい扉を開けなくてはならない。

安保そのものを見直すような国民運動に広がっていかなかった、一つの原因は、ここにもあると思う。

本来は、もっとも強く反対しなければならない反戦平和を言う勢力が、日米安保がアブナイというひとことにびびってしまった。

福島さんは最後まで突っ張ったけれども、社民党の中だってけっこうぐらついていたはずだ。

自衛隊の増強や、もんじゅを使った核開発などではない、オルタナティブな平和の途。

覚悟をもって考えて行かなくてはならない。

これが、いわば鳩山から私への置き土産だ。」

全く同感である。

最後にジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢を批判、監視する視点をスウェーデン作家のベストセラーミステリ「ミレニアム」から見てみたい。ジャーナリズムの本質について理解を深め、堕落した日本のマスメディアを批判的に眺めるための有用なメディア・リテラシーを獲得するために有用だと思われる。

以下引用してみよう。

主人公サランデルがもう一人の主人公、雑誌「ミレニアム」の気鋭のジャーナリスト、ブルムクヴィストの著述について調べているくだり。

「スウェーデンの経済ジャーナリストは近年、無能な下僕に成り下がっている、自らを過大評価するばかりで批判精神がまったくない、と(ブルムクヴィスト)はいう。特に最後の点、批判力に欠けていることは、企業の経営陣や投資家が明らかに事実に反し誤解を招く発言をしていても、多くの経済ジャーナリストは少しも異論を唱えようとせず、発言をそのまま伝えて満足しきっている、という事実からも明らかだ。そんなに愚直でだまされやすいのならジャーナリストを続ける資格は無いが、それ以上に厄介なのは、物事を批判的な目で検討し、正確な情報を報道する、というジャーナリストとしての使命を、故意に怠っている者がいることだ。」(下線筆者以下同)

「ブルムクヴィストは経済ジャーナリストの仕事を、犯罪記者や外国特派員の仕事と比較している。例として、かりに大新聞の裁判担当記者が、例えば殺人事件の公判の報道で、弁護側の情報を入手したり被害者の家族を取材したりして自分なりに何が正当であるかをつかむ努力を全くせず、検察側の情報だけを真実として示し、何の検討も加えずに記事にした場合どれほどの抗議が起こることになるかをざっと描写して見せている。そして裁判報道と同じルールを、経済ジャーナリストにも適用すべきだと述べる」ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女 上P148P149スティーグ・ラーソン著

日本と同じようにスウェーデンでも経済ジャーナリストへ官房機密費が流れているのだろうか。

日本とは全く違って、スウェーデンではジャーナリストが検察の情報を鵜呑みにして垂れ流すと大反発を食らうらしい。

サランデルは公安警察内の秘密組織が画策する大陰謀に巻き込まれ窮地に陥る。その秘密組織に利用された警察官が大新聞「SMP」の記者にサランデルを陥れるための情報をリークする。その記者に対する、「SMP」現編集長、雑誌「ミレニアム」の元編集長エリカ・ベルジュの言葉。

「話を一言にまとめるわね。あなたはジャーナリストとして、当局の中枢にいる人物が与えてくれた情報であっても、それを鸚鵡みたいに繰り返すのではなく、疑問視し、批判的まなざしで見直す義務があるの。これを絶対に忘れないで。」ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 P325P326スティーグ・ラーソン著

日本と全く違って、スウェーデンでは公権力の中枢から与えられた情報であっても、疑問視し批判的に見直すことがジャーナリストの「義務」らしい。

ちょっと付け加えておくと、スウェーデンでは犯罪報道は匿名報道が原則で事件発生時の報道よりも裁判報道に重きがおかれている。

「スウェーデンの報道界は①報道界全体で報道倫理綱領を制定②報道被害者からの苦情を受け付け、同綱領違反の有無を裁定する市民参加の報道評議会の設置-を柱としたメディア責任制度を持っている。

倫理綱領は、「圧倒的に重要な人民の権益」がある場合を除いて、被疑者・被告人の姓名を掲載しない匿名報道主義(公人の職務上の嫌疑は顕名)を規定している。」週間金曜日2010423日号P56 「10万人近い難民を中東から受け入れた国の「犯罪報道」」浅野健一・同志社大学教授 より引用

にもかかわらず、ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士では、サランデルが逃亡中の凶悪な連続殺人犯として名前も顔写真も、そして、あること無いことがスキャンダラスに報道される。それは何故か。公権力とメディアの関係を考えながら読み解くのも一興だろう。  

また、その流れに逆らって闘い続ける、女たらしだが気骨のあるブルムクヴィスト、その確固としたジャーナリスト精神に注目するのもこのミステリの楽しみ方だろう。

ミレニアムは三大ミステリ大賞(「ミステリが読みたい」「文春ミステリ」「このミス」)を独占したベストセラーだそうだ。確かにエンターテイメントとしても一級であろう。

日本の読者はこの本に述べられているジャーナリズムの本質や、警察の中に「憲法保障課」などというものが存在する、この物語をどのように読んだのだろうか。

2010年6月 4日 (金)

菅?樽床?どうでもいい民主党代表選。沖縄差別に対する「善意」と「悪意」

「善意」知らないこと。「悪意」知っていること。法律上に表現される言葉の意味である。

刑務所から出所し、住む所も職も金も無く、引受人も身寄りも無く、そのような事情からまず生活保護を受給せざるを得ないことを説明した刑務所発行の文書を持ち、役所へ生活保護の申請に赴く。役所の窓口で住居を決めてから申請せよという違法な説明を受けて追い払われる。何日も野宿をしながら不動産屋を回る。双方の意思の合致が原則の私的契約の原則から、当然に相手にされない。仮に相手にされたとしても保証人を求められる。すでに親は他界し、兄弟も無く、親類からは拒絶される。保証をする組織に保証を申請してもどういうわけかブラックリストが完備され直ちに却下される。

至極常識的で温厚な、差別に「善意」の人々が、契約上のリスクを回避するという、これまた、善悪の価値判断が入り込む隙の無い、私的契約上の極々常識的な判断に基づき、寛容をあっさりと廃棄する。鉄壁、強固な排除の壁を構築してゆく。

生活保護受給者、路上生活者、ワーキングプアの人々に対して、「自己責任」を公言し、その考えに基づき施策を行う「公人」は、差別に「悪意」でありその「悪意」を実際の権力行為を通じて徹底的に現実化してゆく。

普天間問題の本質の一つは沖縄県民に向けられた差別である。

「抑止力」のことは良くわからないがとりあえず自らの被害は回避するという一般の人々の「善意」に基づく、しごく常識的な判断に基づく差別である。普天間移設に関する日米共同声明は、時の行政府が沖縄差別に対する「善意」を装いながらその差別を現実化する強力な権力行為である。

樽床伸二議員は沖縄差別に対しては「善意」を装い、普天間移設は鳩山総理が職を賭して決めたことなので尊重するという。菅直人副総理も沖縄差別に対しては「善意」を装い、外交の重要性という曖昧な煙幕を張る。自民、公明、みんなの党、たちあがれ日本、共産党の野党五党は沖縄差別への「悪意」を徹底的に隠蔽しつつその「悪意」を現実化しようと、民主党糾弾の虚妄を弄する。

社民党のみが沖縄差別に「悪意」でありその差別に立ち向かおうとしている。僕にはそんなふうに見える。

確信・革新無党派層の僕にとっては民主党の代表が誰になろうと正直どうでも良いことだ。

僕は、自分の中にある差別に「悪意」でありながらもその「悪意」に抗い、現実の行為で排除の壁をほんの少し掘り崩す。

反貧困の活動は様々な「差別」に対して「悪意」になることだ。自らの「差別」意識に対しても「悪意」となることだ。反貧困の活動に、微力を捧げることは、全国にそのネットワークが構築されつつある現在、それほど難しいことではない。

2010年6月 3日 (木)

鳩山氏辞任、小沢氏辞任。辺野古移設閣議決定は覆せるか

鳩山総理、小沢幹事長の辞任が決まった。

民主党内では様々な思惑で権力闘争が激化するだろう。野党は批判を強めるだろう。

マスコミはその権力闘争や野党の言動を面白おかしく伝え、そして誰が総理になるにしても辺野古問題は決着済み、もしくは日本の安全保障のために辺野古移設閣議決定維持を覆すことはまかりならん、というトーンでメッセージを流し情報操作をするだろう。

民主党の代表、総理が誰になろうとそれは民主党自身が決める問題である。自民、公明それに連なる有象無象の難癖などどうでも良い。

僕が注目するのは、これまでの経緯の中で明らかとなった、憲法が規定する民主主義を破壊するという観点で問題となる以下の三点である。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロールが封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢

1.について重要なのは普天間の辺野古移設の閣議決定を次期内閣が覆せるかどうかだ。それに社民党がどのように影響力を発揮できるのかだ。それによって官僚による外交案件に対する国会のコントロール封殺を破ることができるかということだ。マスコミにこの観点での報道を期待することができない以上、このことは何度でも強調してゆきたいと思う。

それでは、なぜ普天間の辺野古移設が覆されなければならないのか。今日はもうひとつの視点を提供したい。

 

そもそも、「日本の安全保障」のために、「抑止力」のために広大な土地を提供し、あまつさえ「思いやり予算」で金まで出してやっているアメリカという国はどういう国なのか。

 本当に自由と民主主義の国なのか。

日本はどういう国のための兵站機能を担っているのかということである。

その答えがDVD「テロリストは誰?」に描かれている。アメリカの正体が余すところ無く暴露されている。

 このDVD10本のドキュメンタリー映画を2時間に編纂したものである。

「アメリカの最大の問題は、海外で米軍が本当は何をしているかをアメリカ人自身が知らされていないことにつきる。」この問題意識のもとにこのDVDは編纂された。

 米軍基地を抱える日本に置き換えれば

「日本の最大の問題は、在日米軍基地から出撃した米軍が海外で本当は何をしているかを日本人自身が知らされていないことにつきる。」ということだ。「日本の安全保障」「抑止力」という言い訳のもとに、在日米軍が出撃先でどんな暴虐をしているのか、それをうかがい知ることのできるDVDだ。日本がその兵站機能を担わされて、在日米軍の何に加担しているかを示すDVDだ。これは、国民の平和的生存権を規定した憲法9条に明確に反する状態だ。だから、戦争体験の深い悲しみを共有する沖縄県民が、海外へ出撃する米軍の基地を望まないのは当たり前のことである。

 沖縄県民の怒りと悲しみには、①何故我々だけが重い負担を負わなければならないのかという差別に対する怒りと、②第二次世界大戦の激戦地となり深い傷を負った沖縄の民が、何故海外で戦闘行為をする米軍に加担しなければならないのかという悲しみ2つが絡み合っていると思う。この②の悲しみを無視して沖縄の基地問題が解決するわけがない。単なる負担軽減だけでは全然足りないのである。

このDVDが発売されてすでに6年が経過した。その間にアメリカではオバマが大統領となりアフガニスタンでの戦乱を拡大しながら、ぬけぬけと「核兵器を無くし、安心して戦争のできる世界にしましょう」とのたまい、ノーベル平和賞を受賞し賞賛をあびている。

アメリカの戦争中毒は何も変わってはいない。

 DVDの理解を深めるために編纂された「テロリストは誰?ガイドブック」から引用しよう。

第三章       影の政府:憲法の危機

「全てのルールの基礎となる我々の憲法を書いた者たちは、権力が制限・監視されるように配慮した。政府のどの部署もどの人物も、たとえ大統領であっても、守るべき法律を自分勝手に選んではならない。」P23

「影の政府は、合法的な政府機関の外で活動する秘密ネットワークで、官僚、スパイ、傭兵、元将軍、暴利をむさぼる者、過激な愛国者たちがそれぞれの思惑で複雑に絡み合っている。歴代大統領は、議会や国民の支持をえられないとき彼らの力を借りてきた。それはまさに憲法の草案者たちが恐れていたノーチェックの権力だ。」P12

「テロリストは誰?」に込めた私の思い きくち ゆみ

「アメリカと一緒に軍事行動をするということが、どういうことなのか、この映画を観て考えて欲しいと思ったのです。」P107

「沖縄で訓練した海兵隊がファルージャに無差別攻撃をし、2004年の4月だけで1400人も殺しました。そのほとんどが女性とこどもでした。」

「私は日本の政治家全員この作品を観てもらい、「こんなアメリカと一緒に軍事行動をする覚悟が本当にできているのですか」と問いたいのです。「それが日本にとって、私たちにとって、何の益があるのですか」とも。」P108

 現在、北朝鮮と韓国との確執が取りざたされている。このような状況に対応するためにも、日米同盟は重要だとヒラリー・クリントンは言う。しかし、考えてみて欲しい。アメリカがこのDVDにあるような暴虐を世界で繰り返してきたことを考えると、米軍基地があること自体が多大なリスク要因になる可能性がある。戦争中毒国家アメリカが朝鮮半島での動乱を画策し、紛争が発生した場合、北朝鮮にとっての重要攻略拠点は日本にある在日米軍基地となる可能性は高いのではないか。そうであるならば、「日本の安全保障」についてももっともっと真剣に検証されるべきではないのか。そんな視点をこのDVDは与えてくれる。

このDVDは通販でしか買えない。アマゾンではガイドブックのみ販売しているようだ。

通販はGlobal Peace Campaign Store が扱っている。

 また、「戦争中毒―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由 」もアメリカの正体についての理解を深めてくれる。一応コミックだが内容は豊富で平易である。

 もう一つ最近出版された「アメリカン・ドリームという悪夢―建国神話の偽善と二つの原罪 」藤永 茂著を紹介しておこう。 

藤永 茂氏のブログ 「私の闇の奥」から引用させていただく。

「アメリカ合州国史を学び直す」 

「今の、そして近未来の日本にとって最大の問題は「アメリカをどう考えるか」ということです。それに較べれば、鳩山総理大臣が嘘をついたかどうかなどはどうでもよい問題です。アメリカについての適切な判断を下すためには、アメリカの本当の姿を良く見極めなければなりませが、そのためには、アメリカ合州国の歴史についての私たちの知識は余りにも貧しく、そして誤っていることが多すぎます。」

「アメリカン・ドリームという悪夢」からは以下を引用しておこう。

「二十一世紀初頭の現時点で、我々一般の日本人がアメリカという国の政治形態の実体をイメージする場合、まず、「アメリカ合州国は民主主義国家ではない」という認識から出発すると万事がはっきりする。」P225

再度繰り返す。最も重要な点は普天間の辺野古移設の閣議決定を次期内閣が覆せるかどうかだ。

2010年6月 1日 (火)

辻元清美の号泣と路上生活者の涙

asahi.com 20105311245

辻元・国交副大臣が辞表提出、号泣「さみしい、つらい」

所属する社民党が連立政権を離脱するのに伴い、前原誠司国土交通相に正式に辞表を提出した辻元清美・国交副大臣は31日の登庁時、記者団に「国交省は利権の巣窟(そうくつ)みたいなイメージがあったが、そうではなかった」などと述べ、号泣しながら在任8カ月余を振り返った。

 辻元氏は「不安いっぱいでここに入ってきたが、多くの職員が『変えていこう』という私たちの思いに賛同してくれた。辞めるのはさみしいし、つらい」と、突然の辞任に無念の思いをにじませた。辞表を受け取った前原国交相は「連立離脱は大変残念だが、一緒にまとめてきたことをやり抜くことで恩返しにしたい」とねぎらった。

引用終わり

ため息をつくしかない。

「国交省は利権の巣窟(そうくつ)みたいなイメージがあったが、そうではなかった」

現役の国交省官僚が利権の金にまみれているわけが無い。政策を遂行する過程で土建屋に金を落とし、議員の集票に協力してこれを黙らせ、退官後に出来上がった箱物に陣取りたっぷりとその余禄に預かるのが官僚の利権の構造ではないのか。八ツ場ダムは一体どうなった?大赤字の地方空港の乱立、採算の取れない路線設定、そしてJALの破綻。副大臣という職務はそういうことをすっかり忘れ果てさせるほどにも魅力的なのだろう。

「多くの職員が『変えていこう』という私たちの思いに賛同してくれた。」

 それは楽しかったことだろう。自らのリーダーシップに多くの人々が共鳴し、共に仕事を成し遂げてゆく、それほどの喜びはない。

しかし、物事を変えられたくないときに面と向って反対するほど馬鹿なことは無い。「そのとーり!一緒にがんばりましょう」と満面の笑みで応え、最も本質的なことには絶対手を触れさせない。この面従背反、組織を変革しようとするとき出てくる極当たり前、日常茶飯の反応に対して「私たちの思いに賛同してくれた」とはよく言ったものだ。

変革の本質をいつも見据えながら、反発を敢えて誘発し、誰が敵で誰が見方なのかを見極め、自分の持っている権限を行使しながら目的を達成してゆく、そこにあるはずの厳しさが微塵も感じられない。

 生活保護を受け何とか生活を立て直そうとしている方の涙ながらに語った「炊き出しがなければとっくに死んでいたと思う」という言葉。

 癌に侵され会社を辞めざるを得なくなり、パート掛け持ちの妻の収入だけではとても子供を養っていけない、しかし、その妻の収入がネックとなり世帯として生活保護が受けられない。敢えて離婚をして家族と離れ、生活保護を受給しての生活が始まり、ぽつんと放った「なぜ、こんな終わり方をしなければならないんだろう」という言葉。

 どちらも、非正規雇用ではなく正社員だった方々である。

 このような生活の苦悩とあまりに無邪気、無頓着、無自覚な政治家の振る舞い、この落差に暗澹たる思いが募るばかりだ。

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