« 消費税10%増税についてのとりあえずのまとめと問題点の投げかけ | トップページ | 日本の財政をざっと俯瞰する。2.歳出 国家支出は富裕層へ、そして巨大な個人金融資産というプールへ流れ込む  »

2010年6月22日 (火)

日本の財政をざっと俯瞰する。1.歳入 消費税増税、法人税減税で財政再建は不可能だ。

消費税増税が規定路線であるかのようなマスコミの論調が喧伝されているが、日本の財政状況を大まかにでも把握しなければマスコミへの有効な反論ができない。

借金の累計が900兆に近い、ギリシャよりも深刻だ、だから消費税増税と法人税減税で解決するという政治家の言葉も鵜呑みにはできない。

そこで、自分の勉強のためにも、財務省のデータから一般会計の歳入歳出の動向を大雑把に把握し、消費税増税、法人税減税の妥当性について、とりあえず1.歳入 2.歳出3.国債の正体の3回に分けて検証してゆく。

日本の財政をざっと俯瞰する。1.歳入 消費税増税、法人税減税で財政再建は不可能だ。

税率が変化した年度を中心に一般会計の歳入状況は棒グラフで、各種税率は折れ線グラフで同時に把握できるようにグラフを作成した。(財務省HP 予算・決算より筆者作成)

又、このグラフと同じ年度の実質GDPウィキペディア国内総生産参照)と個人金融資産の推移(備忘録-日本の個人金融資産1979-2004 金融資産と負債参照)を作成した。

Ippankaikeisainyuu_6

Ippansainyukouseihi_4

Gdp_4

Kojinkinyushisan_4

まず吃驚したのは、86年の中曽根政権下では所得税、法人税の合計が約29.5兆円あるのに対し、GDP1.4倍から1.5倍になっているにもかかわらず、バブル崩壊後この額を上回ったのは、このグラフでは06年のみだ。鳩山政権になってからは約18兆円しかない。

 また、吃驚したのは法人税、所得税、など減税を行っても必ずしも後の税収には結びつかず、むしろ国債費の増大を招いていることだ。要するにGDPが増加しているにもかかわらず減税分はそのまま減収と公債費の激増に結びついている。

 そして、その公債費の原資となる個人金融資産が99年に1,400兆円を超え以後も1,400兆円前後で推移している。

 少し細かく見てゆく。

 税収の構造が、がらっと変わったのは97年~98年だ。

 97年に橋本内閣は消費税を3%~5%へ増税した。‘98年には法人税最高税率を37.5%から34.5%へ減税し、公債費が突然前年の約二倍に激増している。表面的には消費税増税による景気後退に対応するため、法人税を下げ、公共事業を増額したといえるかもしれない。しかし、効果は無かった。所得税と法人税の下落分を消費税が補っただけだった。

99年には小渕政権に変わり、さらに所得税最高税率を34.5%から30%へ、法人税最高税率を34.5%から30%へ減税した。公債費は前年の34兆円を凌駕し386千億円、しかし、これも効果が無かった。

 ここで注目されるのは公債費が‘98以降歳入の40%以上を占めるようになり、逆に所得税、法人税の合計は30%前後2009年以降はなんと20%前後に落ち込むようになってしまったことだ。‘98年以降所得税、法人税の減税、公債費の拡大は全くといって良いほど税収の増加に貢献していない。

 逆に公債費の原資となる個人金融資産は99年以降1,400兆円前後で推移し公債費の増加を支えている。

00年森政権下ではようやく税収増効果が現れたのか、法人税、所得税が若干回復し始めた。しかし小泉政権の構造改革路線、緊縮財政下、再び所得税、法人税の税収は落ち込んだ。

特に小泉政権下では輸出依存型のGDP上昇が見られたため法人税収は持ち直したが、キャピタルゲイン課税を10%に下げたことでGDP上昇に見合うだけの所得税増収は無かった。キャピタルゲイン課税最大の特徴は。大金持ちが金融商品の売買で大もうけしても、多額の配当金を得てもたった、10%の税率で済むことでありこれが今でも続いている。資金力があればあるほど、信用取引や空売りで、例え株価が下がっても大もうけできる資産家の税負担が最も軽くなってしまっている。

 06年に再び増収傾向が見えたが翌年のサブプライムローン問題、08年のリーマンショックにより外需依存型の日本経済はかなりの打撃を受け、09年の法人税は5兆円まで激減した。

以上、歳入の推移を見ると、法人税減税が必ずしも経済の強化には結びつかず従ってその後の税の増収に結びつく構造にはなっていないことが指摘できる。従って、消費税増税はその増税分のみが所得税、法人税の減少を補うだけに終わる可能性が高い。

 民主党は消費税増税と法人税減税で経済の強化と財政再建を果たすというが、98年の橋本政権と同じ轍を踏むことになるのではないか。

それにしても、なぜ、98年以降減税や公債費の増大にもかかわらず経済が浮揚し後の税収増に結びつかなかったのか、むしろ公債費の肥大化が止まらないのはなぜか。その答えのヒントは以下の図に示されている。(財務省HP租税負担率の内訳の国際比較参照)

Sozeifutan2007_4

Sozeifutanritsu2009_4

端的にいうと日本の個人所得課税が極端に低いのである。先に挙げたキャピタルゲイン課税が大きな役割を果たしている。法人税減税論者は他国と比較して法人税率が高いので競争力が損なわれるというが所得税に言及されることは無い。

異様に低い個人所得課税は個人金融資産増大につながり公債費の増大を支える。

次回は個人所得課税が低いことと労働分配率に着目しつつ、資金の分配、歳出について見てゆきたい。

« 消費税10%増税についてのとりあえずのまとめと問題点の投げかけ | トップページ | 日本の財政をざっと俯瞰する。2.歳出 国家支出は富裕層へ、そして巨大な個人金融資産というプールへ流れ込む  »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/558791/48692409

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の財政をざっと俯瞰する。1.歳入 消費税増税、法人税減税で財政再建は不可能だ。:

» 【消費税増税】「国民の生活が第一」の理念を旗印に闘い抜かねばならない!【妄言そのもの】 [ステイメンの雑記帖 ]
 24日の参院選公示を目前にして、与夜盗各党の党首が日本記者クラブ主催の討論会に出席したようである。  その討論会の中心議題となったのはやはり「消費税」の問題であったようだが、所詮は フリー記者が参加できない「記者クラブ」主催の討論会 であってさしたる興味が湧かないのも事実である!  そんな中、亀井国民新党代表に代わって金融担当相に就任した自見大臣のオープン会見が行われ、 すっかり財務官僚に毒された菅「暫定」首相に対し強烈な批判 が行われたようだ! (以下、引用開始)  これから、金融庁へ、自見庄三... [続きを読む]

« 消費税10%増税についてのとりあえずのまとめと問題点の投げかけ | トップページ | 日本の財政をざっと俯瞰する。2.歳出 国家支出は富裕層へ、そして巨大な個人金融資産というプールへ流れ込む  »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近の記事

国民の生活が第一

マガジン9条

無料ブログはココログ