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2010年6月 5日 (土)

マスコミを監視・批判するための視点。ミステリ「ミレニアム」に見るジャーナリズムの本質

マスコミは相変わらず、菅総理大臣誕生!小沢氏の影響は?組閣人事は?などなど壮大な井戸端会議のような駄弁をとうとうと垂れ流している。

そんな中でちょっと目を引いた記事があった。

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「政治沖縄の基地問題が引き続き大きな課題」2010 6 3日 

「【東京】鳩山首相の辞任によっても、沖縄の米軍基地移設問題が日米双方にとって大きな課題であることに変わりはない。沖縄県が県内移設への反対を弱めておらず、米軍普天間飛行場を辺野古周辺に移設することをうたった日米共同声明の履行は極めて困難な状況だからだ。」

引用終わり

日本のマスコミが無視し続けている「米軍普天間飛行場を辺野古周辺に移設することをうたった日米共同声明の履行は極めて困難な状況」を一応取り上げている。後半はアメリカの恫喝の報告記事に終わっているが。

63日のエントリーにおいて民主主義を破壊するという観点で3点の問題点を述べた。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロールが封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢

まず今回は「3.ジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢」を批判するために1.2の点でどのような報道がされているのか印象を述べてみたい。

1.普天間基地の辺野古移設についての閣議決定=行政府の外交案件に対して、国会のチェック、コントロールが封殺された。=官僚組織による内閣コントロールの浸透

この点については、かろうじて社民党の福島党首の発言、及び沖縄、徳之島の声が報道されているのみである。これは、すでに普天間移設問題は決着済みであり、社民党と不利益を被る沖縄、徳之島に限定された問題だというメッセージだ。菅総理は、テレビの報道を見る限り、この問題では異様に歯切れが悪いように見えた。しかし、前政権の日米同意は尊重する姿勢を示している。

 そして、普天間問題が鳩山辞任の核心問題にも関わらず、ほとんどの報道が消費税を政策の注目ポイントとして喧伝している。確か民主党は次期衆議院選まで消費税は導入しないはずだったのでは。にもかかわらずマスコミは消費税増税を盛んに喧伝し、それに乗るように民主党の議員もはばかること無く消費税を口にするようになってきた。次期政権の課題としても取り上げ、消費税導入止むなしとのメッセージをさかんに流している。NHKnews9では玄葉光一郎のインタビューを流し、消費税という言葉をインタビュアーが一生懸命誘導していたことが印象的だった。

2.民主党議員に対する警察、検察官僚の直接攻撃

「政治と金」という問題へのすり替えが極端である。小沢氏の政治手法への批判という観点をからめ、「政治と金」の問題よりもずっとずっと深刻な、特捜、検察審査会の問題点は従来どおり全く見向きもされていない。

小沢氏に対抗心むき出しの渡部 恒三の露出が異様に多かった。「小沢氏の影響は?」というテーマの中で無邪気に小沢氏辞任を大喜びする渡部の満面の笑みは相当なバカに見えるのだがこの笑顔と対比して、小沢氏の動向を報道することによって、今後小沢氏への批判を燃え立たせるぞというメディアの心情が透けて見える。

様々な利害得失を腹に秘める議員達からも「政治と金」「小沢氏の政治費手法」への批判という発言をさせ、特捜、検察審査会の深刻な問題点はすっかり覆い隠されている。

菅総理をはじめ民主党議員、野党の議員に関わらず検察、特捜が好きなときにスキャンダルを捏造する危険はいつでもあるということだ。

以上のような問題意識にたち詳細に述べているブログがある。

晴耕雨読さん「鳩山内閣を追い込んだのは、米国(米軍)、官僚、検察、メディアの連合軍」 を是非ご参照ください。

 いずれにしても、魑魅魍魎が跋扈する政界をああだこうだと論評するマスメディアには距離を置き、考えなければならないことは「反戦な家づくり」明月さんの述べていることに尽きるのではないだろうか。

「米上院軍事委員会と「聞く耳持たず」  追記あり」

「日米安保の変容ということは、私を含めて反戦平和を信条とする人間に、新しい問題を突きつける。

鳩山の演説を借りるならば、日本の平和を自分たちで作る ということだ。

これが、単純に自衛隊の増強と日本軍への昇格を意味するのか、まったく違うパラダイムが存在するのか。

日米安保に反対しながら、それに「守られて」きた日本の平和主義は、新しい扉を開けなくてはならない。

安保そのものを見直すような国民運動に広がっていかなかった、一つの原因は、ここにもあると思う。

本来は、もっとも強く反対しなければならない反戦平和を言う勢力が、日米安保がアブナイというひとことにびびってしまった。

福島さんは最後まで突っ張ったけれども、社民党の中だってけっこうぐらついていたはずだ。

自衛隊の増強や、もんじゅを使った核開発などではない、オルタナティブな平和の途。

覚悟をもって考えて行かなくてはならない。

これが、いわば鳩山から私への置き土産だ。」

全く同感である。

最後にジャーナリズムの原則を全く喪失したマスコミの報道姿勢を批判、監視する視点をスウェーデン作家のベストセラーミステリ「ミレニアム」から見てみたい。ジャーナリズムの本質について理解を深め、堕落した日本のマスメディアを批判的に眺めるための有用なメディア・リテラシーを獲得するために有用だと思われる。

以下引用してみよう。

主人公サランデルがもう一人の主人公、雑誌「ミレニアム」の気鋭のジャーナリスト、ブルムクヴィストの著述について調べているくだり。

「スウェーデンの経済ジャーナリストは近年、無能な下僕に成り下がっている、自らを過大評価するばかりで批判精神がまったくない、と(ブルムクヴィスト)はいう。特に最後の点、批判力に欠けていることは、企業の経営陣や投資家が明らかに事実に反し誤解を招く発言をしていても、多くの経済ジャーナリストは少しも異論を唱えようとせず、発言をそのまま伝えて満足しきっている、という事実からも明らかだ。そんなに愚直でだまされやすいのならジャーナリストを続ける資格は無いが、それ以上に厄介なのは、物事を批判的な目で検討し、正確な情報を報道する、というジャーナリストとしての使命を、故意に怠っている者がいることだ。」(下線筆者以下同)

「ブルムクヴィストは経済ジャーナリストの仕事を、犯罪記者や外国特派員の仕事と比較している。例として、かりに大新聞の裁判担当記者が、例えば殺人事件の公判の報道で、弁護側の情報を入手したり被害者の家族を取材したりして自分なりに何が正当であるかをつかむ努力を全くせず、検察側の情報だけを真実として示し、何の検討も加えずに記事にした場合どれほどの抗議が起こることになるかをざっと描写して見せている。そして裁判報道と同じルールを、経済ジャーナリストにも適用すべきだと述べる」ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女 上P148P149スティーグ・ラーソン著

日本と同じようにスウェーデンでも経済ジャーナリストへ官房機密費が流れているのだろうか。

日本とは全く違って、スウェーデンではジャーナリストが検察の情報を鵜呑みにして垂れ流すと大反発を食らうらしい。

サランデルは公安警察内の秘密組織が画策する大陰謀に巻き込まれ窮地に陥る。その秘密組織に利用された警察官が大新聞「SMP」の記者にサランデルを陥れるための情報をリークする。その記者に対する、「SMP」現編集長、雑誌「ミレニアム」の元編集長エリカ・ベルジュの言葉。

「話を一言にまとめるわね。あなたはジャーナリストとして、当局の中枢にいる人物が与えてくれた情報であっても、それを鸚鵡みたいに繰り返すのではなく、疑問視し、批判的まなざしで見直す義務があるの。これを絶対に忘れないで。」ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 P325P326スティーグ・ラーソン著

日本と全く違って、スウェーデンでは公権力の中枢から与えられた情報であっても、疑問視し批判的に見直すことがジャーナリストの「義務」らしい。

ちょっと付け加えておくと、スウェーデンでは犯罪報道は匿名報道が原則で事件発生時の報道よりも裁判報道に重きがおかれている。

「スウェーデンの報道界は①報道界全体で報道倫理綱領を制定②報道被害者からの苦情を受け付け、同綱領違反の有無を裁定する市民参加の報道評議会の設置-を柱としたメディア責任制度を持っている。

倫理綱領は、「圧倒的に重要な人民の権益」がある場合を除いて、被疑者・被告人の姓名を掲載しない匿名報道主義(公人の職務上の嫌疑は顕名)を規定している。」週間金曜日2010423日号P56 「10万人近い難民を中東から受け入れた国の「犯罪報道」」浅野健一・同志社大学教授 より引用

にもかかわらず、ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士では、サランデルが逃亡中の凶悪な連続殺人犯として名前も顔写真も、そして、あること無いことがスキャンダラスに報道される。それは何故か。公権力とメディアの関係を考えながら読み解くのも一興だろう。  

また、その流れに逆らって闘い続ける、女たらしだが気骨のあるブルムクヴィスト、その確固としたジャーナリスト精神に注目するのもこのミステリの楽しみ方だろう。

ミレニアムは三大ミステリ大賞(「ミステリが読みたい」「文春ミステリ」「このミス」)を独占したベストセラーだそうだ。確かにエンターテイメントとしても一級であろう。

日本の読者はこの本に述べられているジャーナリズムの本質や、警察の中に「憲法保障課」などというものが存在する、この物語をどのように読んだのだろうか。

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» 鳩山内閣を追い込んだのは、米国(米軍)、官僚、検察、メディアの連合軍 [晴耕雨読]
岩上安身 氏のツイートから。 > 最近のTVや新聞は、毎週の様に怪しい支持率とネガティブキャンペーンばかり。肝心な機密費や、検察・警察問題、テニアンへ基地移設の可能性等は一切なし。仕分けをすれば選挙対策だとか… 民主党支持でも小沢信者でもないが、最近の報道は本当に異常だと思います。 異常ですよ、本当に。 朝刊を読みながら、打ち合せ先の新宿に向かう。 首相続投の意思、という記事。 そして駅について地上に出たら,鳩山辞任の速報。 今日、一時半からだった環境大臣の会見は中止。 ポスト鳩山... [続きを読む]

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