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2010年6月 8日 (火)

RNAウイルスの疾病に官僚が介入すると問題は極めて重篤化する。その2.新型インフル死亡624名?

薬害エイズ事件の場合

エイズは先述したように、ウイルスとしての生存戦略がとても特殊で、当初は有効な治療法が無く、死に至る病として恐れられた。また、感染経路が性交渉や麻薬の回し打ちが主なものとされ、エイズ患者に対して謂れ無き差別が横行し、患者であることを明かすことには多大な勇気が必要だった。

このような恐ろしい病気だったにもかかわらず、国や製薬会社は、血友病患者に対し、外国の供血者からの血液を原料に製造され、加熱処理によるウイルスの不活性化を行なわない血液凝固因子製剤をそのままに流通させ、治療に使用した。しかも、加熱製剤が開発されてからも非加熱製剤を使用し続けたのは日本だけだった。

結局、薬事行政において、日本の官僚は国民の生命よりも製薬会社の利益を図ることを優先する体質だということが如実に示された。

薬害肝炎事件の場合

これも、薬害エイズと構造は一緒である。悪質なのは、薬害エイズ事件という経験がありながら、再び人命を軽視した怠慢な対応が繰り返されており、その対応が全く変わっていないということを示している。

新型インフルエンザ対応

上記2例の薬害事件については問題の隠蔽によって製薬業界権益に走った厚生労働省は、今度は不正確な情報を過剰に垂れ流すことにより国民の不安を煽り、製薬業界の利益のために暴走した。それが新型インフルエンザ騒動だ。

上述した免疫のシステムで説明したが、ヒトの免疫システムは非常に精緻で強力だ。たとえ新しい型のウイルスが進入したとしても、まず自然免疫系が応答する。そのウイルスの増殖能や毒性の強さにより自然免疫応答では防衛しきれない場合に隔離などの措置が適切に行われるべきだった。

今回の対応でまず問題となるのはWHOのパンデミックという言葉に便乗し、政府もメディアも正確な情報や知識を国民に伝えることを怠たり、過度の不安を煽ったことだ。

次に問題となるのは正確な情報に基づき柔軟かつ的確な対応をする能力がこの国の官僚は持ち合わせていない、そのことに対して批判的なメディアの報道が極めて少なかったことだ。

RNAウイルスはその不安定さにより新たな型ができやすい。これからも、どのような変異が起こるかは予測がつかない。それゆえ、的確な情報の把握と柔軟な対応、国民への情報と知識の伝達がこれまで以上に必要となる。

初期対応において、失策による多数の犠牲者を出さないために過剰な防衛をするというのはまだ理解できる。しかし、実際の感染者の動向をみれば、通常のインフルエンザと同程度、もしくは低い毒性だということは早い次期に分かっていたはずである。にもかかわらず不安を煽る情報発信をやめなかったのは、ワクチンを製造販売する製薬会社の利益を優先したととられても仕方が無いだろう。

・毒性についての報道

新型インフル、「弱毒型」でも重症化の例200952asahi.com引用開始

「WHOの緊急委員会委員でもある国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は28日、会見で、今回の新型インフルエンザウイルスは「弱毒型」だとした。」

引用終わり

死亡者数の結果

Photo

「超過死亡」の推計

インフル死 推計200人 低水準「新型は弱毒」裏付け 産経新聞2010/04/26

引用開始 

「インフルエンザの流行によって増加した死者数を推計する「超過死亡」が、新型が流行した今シーズンは約200人に留まり、昭和62年の調査開始以来3番目に低い水準だったことが26日、国立感染症研究所の調べで分かった。例年は1万人程度で推移しており、弱毒性といわれた今回の新型インフルの毒性が、季節性インフルよりも低かったことが裏付けられた。

超過死亡は、インフルが流行しなかったと仮定した場合の死者数と、流行時の実際の死者数を比較することでインフルによる死者を推計する手法。インフル感染者は毎年1千万人近くに上り、すべての死亡例を調べることが困難なため、毎年この手法で死者数を推計している。

 この手法で推計すると、今シーズンの超過死亡は約200人だった。例年の超過死亡は1万人程度で、インフルが大流行した平成10~11年のシーズンでは3万5千人を超えていた。」

引用終わり

・今後問題となりそうなワクチン在庫処理

大量の在庫ワクチン「買い取って」 病院要望、国は拒否 asahi.com201058

引用開始

「新型インフルエンザの感染者が国内で初めて確認されて9日で1年。流行が沈静化するなか、ワクチンが大量に余り、国に買い戻しを求める動きが広がっている。16都府県の医師会などが要望書を出したが、厚生労働省は「次の流行がくる可能性がある」などとして受け入れていない。」 

「新型インフルエンザのワクチンは、買い占めなどを防ぐため、国が製薬会社から買い上げ、都道府県が需給調整をして医療機関が購入する仕組みだった。昨年7月から製造された国産品は10月に供給され始めたが、ピーク時には足りず、11月下旬ごろから大量に供給された。厚労省によると、国産品だけで全国の医療機関に197万回分、約29億円相当(2月12日現在)の在庫がある。」 

「しかし国は、2月に出荷が始まった輸入ワクチンも5300万回分を在庫として抱える。厚労省の担当者は「ワクチンは保冷品で、仮に引きあげても品質管理が難しい。流行の第2波が来たら大変だし、買い戻す財源もない」。」

引用終わり 

 WHOは何といっているかというと

新型インフルエンザ:WHO事務局長「最盛期過ぎた」毎日新聞 201064日 東京朝刊 引用開始

「【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)のチャン事務局長は3日、新型インフルエンザの「世界的大流行」(パンデミック)について、「(ウイルスの)最も活発な活動時期は過ぎた」との声明を発表し、事実上、「最盛期」(ピーク)は過ぎたとの見解を示した。

 1日に行われた各国専門家による緊急委員会の討議結果を受けて、チャン氏が判断した。ただし、今後も「パンデミックは続くと予想される」とし、警戒水準は最高レベルの「フェーズ6」を維持。これまで使っていた「最盛期越え」(ポスト・ピーク)という用語はあえて避け、7月半ばまでに、改めて緊急委で感染状況を検証するとしている。

 新型インフルエンザは終息への移行期に入りつつあると見られているが、最終的なパンデミックの終結には、なお期間を要する見通しで、緊急委は「各国は警戒態勢をとり続けることが重要だ」としている。」

引用終わり

 確かに、新型インフルエンザはこれからも変異を続け「強毒性」に変化する可能性はある。今回の件で「強毒性」インフルエンザが出現した場合逆に国民がなめてかかる可能性も否定できない。とにかく、行政府やメディアの対応は非常にお粗末だったことだけは確かだ。ある程度、ウイルスや免疫についての知識を持ち、報道される内容を批判的に吟味してそれぞれが対応することが必要だということだ。「強毒性」を「弱毒性」と勘違いし、後で自己保身のためにそれを隠蔽する可能性が官僚どもには大いにありうるし、それをコントロールすべき閣僚も正確な報道が求められるメディアも無能をさらけ出しているというのが現在の状況だ。

(口てい疫へつづく)

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