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2010年7月 6日 (火)

ゆうパック遅配に見える、雇用破壊の悪弊。企業の「甘えの構造」。

 ゆうパック遅配がニュースとなっている。現場対応力が激しく劣化しているのだろう。

 合併、分社化、業法改正、大手サプライヤーのシステム変更、など仕事全般の大きな変更が行われるときには、実務に精通したマネージャーの課題発見能力と、そのマネージャーとしっかり連携をとる現場スタッフの適応力が必要不可欠となる。今回の件はそのどちらも欠けていたように見える。

 仕事全般の大きな変更の場合、まず社内システムの変更が行われる。その変更に対応するトレーニングはもとより、システム変更に伴う現場での手作業の見直し、必要書類の変更、書類内の項目の精査と変更、変更に伴うトラブルの想定と対応手順、顧客への説明とクレーム対応の統一基準の作成、現場スタッフへの周知など、あらゆる仕事の場面で何が起こるのかを見通し、対応をしなければならない。

 その仕事に30時間かかるとすれば、30日前から1時間ずつ、スケジューリングにそって着実に業務をこなさなければならない。5日前から一日6時間かけるとなると、日常業務、突発時の対応など目先の仕事に時間をとられ、大事な仕事がどんどん後回しになってしまう。長時間の残業をして、ぼんやりとした頭でさらに能率の悪い仕事を強いられてしまう。

 

変更事項を現場に浸透させるのにも時間はかかる。特に現在のように同じ職場に様々な雇用形態が混在する場合は細心の注意を払わなければならない。

 

これに失敗すると、変更当日はドタバタのやっつけ仕事になる。後から後から発生する問題にその場しのぎで対処しなければならない。顧客からのクレームもひっきりなし、現場スタッフに判断基準が周知されていれば、本来現場で処理できるクレームに、いちいちマネージャーの判断を仰ぐことになる。マネージャーの判断もその場しのぎとなり、何を基準にするかはマネージャーの胸先三寸、判断がぶれまくる。益々現場対応が粗雑になり、対応が遅れる。

 なんとか、その時期をしのいでも、非常にいびつで、統一感の無い、つぎはぎの作業行程が改善されずに放置され、時々思い出したように大きな事故やクレームを誘発する。

 郵政でも、民営化による雇用規制の破壊は進んだ。業務効率を上げるために、現場の知恵は無視し、トヨタのかんばん方式を手本にした業務改善が導入されたそうである。単なる労働強化に終わり、結果ははかばかしくなかったようだが。ザ・アールなどという胡散臭い人材派遣会社も接遇のトレーニングを受け持っていたようである。待遇が悪化する中でお辞儀の仕方や挨拶の仕方を仕込んで、本当にサービスが向上するとでも思っているのか。顧客満足度の向上のため、挨拶をきちんとしましょう。小学生でもあるまいし、噴飯物である。しかし、これが現実である。

 今回の例は郵政独自の問題ではないだろう。マスメディアでは郵政民営化是非の問題に矮小化されると思われるが、実は日本の産業全体に通じる弱体化の氷山の一角では無いかと思う。

 

雇用規制の破壊による賃金コストのカットという、企業にとっては大甘な政策が大手を振った結果だろう。贅肉を落とし筋肉質になったといわれる日本の企業は、実はトレーニングのための負荷を投げ捨て、筋肉も衰えぶよぶよの、体内脂肪でたぷたぷの脆弱な体になってしまったのだろう。

 まともなマーケティング能力も無く、コストカットと管理強化以外には頭の回らないマネージャー。待遇に不満を持つ、雇用形態の相違で分断された現場スタッフ。そこに協労のシナジー効果など発生のしようが無い。問題解決能力が育つはずが無い。

時々、トヨタのリコールや、欠陥製品による事故、工場の爆発炎上など、大会社の事件がニュースになる。しかし、周りを見渡してみれば、大型小売店での販売スタッフの商品知識の無さ、マニュアルから外れたときの対応の悪さと無能、最近などは、基本的な客動線、従業員動線を無視したいびつなレイアウトの店も増えてきた。消費の楽しみを阻害する出来事など日常茶飯事になっている。

日本人材ニュースHRN

日本の労働生産性はOECD30カ国中で20位、先進7カ国では15年連続で最下位2010-01-14 - 雇用・賃金

以下引用

「日本生産性本部(谷口恒明理事長)がまとめた、2009年版「労働生産性の国際比較」によると、2008年の日本の労働生産性は、3年連続でOECD加盟30カ国中第20位となり、引き続き低迷していることが分かった。先進7カ国の中では15年連続で最下位。」引用終わり

まともな感覚で、働く者を尊重する会社はどこでも手堅く地道にその命脈を保っている。

 「甘えの構造」にどっぷり浸かった、大企業の甘ったれた要求に応えてゆけば、さらに日本の経済の脆弱性は増大するだろう。

法人税減税など行うより、雇用規制の修復は、必ず日本経済の復活に繋がる。財務官僚の財政再建策などに踊らされず、雇用規制の修復に取り組めば、必ず企業の力も向上する。ネックになるのは高額の役員報酬と株主配当、使う当ても無く溜め込まれる内部留保だ。

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