虐待の背景には貧困問題がある。自殺の背景には貧困問題がある。犯罪の背景には貧困問題がある。なぜ目をそらすのか。なぜ激昂するのか。異常な行動を非難する人々の精神病理にもっと光を当てるべきではないのか。
今日から10日間ほど夏休みに入りますのでブログはしばらくお休みにします。
虐待の背景には貧困問題がある。自殺の背景には貧困問題がある。犯罪の背景には貧困問題がある。
僕の周りの反貧困ギョーカイでは通説なのだが、この通説をうっかり口に出すと激昂する輩がたくさんいる。
リストラに勝ち抜き悠々自適の勝ち組団塊世代、全共闘世代にこのむかつく人種が多い。下手に反論しようものなら若造!?(もう40代後半ですぜ、あたしゃ)呼ばわりされて罵倒されるのだが、あの怒りの背景には何があるのだろうか。
若い人々にはえらく自尊感情を喪失している人がたくさんいる。自己責任の罠に嵌って、全く労基法を逸脱した労働条件も唯々諾々と従い、不思議と怒りの表出は無い。しかし、虐待、自殺、犯罪に対しては極めて冷徹な反応を示すものも多い。
なぜ、極当たり前に感得できる根本原因、貧困化という問題から簡単に目をそらすことができるのだろうか。
官僚を源とするメディアの情報操作、情動面に訴えるテレビの報道が大きく影響していることは間違いないのだが、それだけでは説明できない、受け手の激情、もしくは冷淡さの背後には何があるのか。
真に邪悪な人々というのは間違いなく存在する。主に精神病の臨床や心理臨床、犯罪心理学からその実態は明らかにされてきた。また、脳の器質的な異常と精神障害の相関関係も明らかになってきた。しかし、社会の権力者、平常に暮らす普通の人々についての心理的病理についてはあまり語られることがない。
97年の消費税増税、98年の極端な財政赤字の増大と、それにもかかわらず継続する経済の停滞。自殺の激増、虐待の激増、経済・雇用環境の激変、98年はまさしくエポックメイキングな年だったといえる。90年代半ばから始まった雇用環境の不安定さは、普通の人々にどのような心理的トラウマを与えたのだろう。
小泉の登場に熱狂した人々、小泉自身にもどのような心理学的な病理があったのだろう。
サイコパス的な人々は、大変に生きやすく、社会的な地位も得やすくなった。共感能力の欠如はリストラ社会においては得がたい資質となった。
サイコパス的なリーダーの下では、服従実験が示すような権威への盲従と、自己規範の喪失が顕著になる。
それとともに、心理的トラウマが日常的に与えられる。
自らへの嫌悪や憎悪を他人に投影し、過剰に攻撃を加える投影同一視という心理的な防衛機制が過剰に働くかもしれない。トラウマの記憶を切り離し、別の区画に保存して、全体の保護を図るという水密区画化とう防衛機制が働いているかもしれない。そして、ある刺激に、日常的にフラッシュバックが起こり立ちすくんでいる人がいるのかもしれない。
普通と見られている人々に生起する心理的な病理現象にもっと光を当てることが必要ではないのだろうか。
雨宮 処凛さんの著書「生き地獄天国」を読んだだけで、リストカットを止める若者がいるという。自分の心をまず認知することが心の傷を癒すとっかかりだといわれる。
社会的に衝撃を与える犯罪や事件の背景を個人の問題に収斂させて説明することは不可能になっているのではないか。様々な形で表出される自己責任に立脚した「もの騙り」では説明できないことが多すぎるのではないか。
本来じっくりと腰をすえて、社会の問題に取り組み、警鐘を発すべき、学者といわれる大学のセンコも目をそらしている。オーバードクターがごまんといる。非常勤講師という非正規雇用がごまんといる。国立大学の独法化で、金を握った文部科学省の天下り役人が大学を牛耳っている。少子化で大学経営も青息吐息だ。どうやって問題の本質から目をそらすかというところで熾烈な論争に明け暮れる、もしくは理念に固執して実を伴わない議論を声高に叫ぶ。
法科大学院などというものには、なんと現役の裁判官や検事が、どういう小細工か知らないが実務家教授として出向してきて、素晴らしく偏向した授業をしているそうな。
みんなで目をそらしていても、問題は消えてなくなるわけではない。その問題を見据える強さが、この停滞する社会ではすでに失われつつあるのだろうか。
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